不動産売却のコツ2021.10.07

入院中でも家を売却する方法はある?〜その1

不動産の所有者が病気などで入院中の場合でも、家やマンションを売却することはできるのでしょうか?

原則として、不動産の売買契約を結ぶ際には所有者の立ち会いが必要です。そのため、入院中で契約の場に出向くことができなければ、売却は無理なのではないかと考える人は多いでしょう。

しかし結論から言えば、所有者が入院していても売却は可能です。病院で契約したり、代理の方に委任するなど、方法はいくつかあります。このような状況で家を売却する場合、どのようにすれば良いのか詳しく説明していきましょう。

病院で契約手続きを行う

売主が入院中でも、買主や不動産仲介業者に病院まで出向いてもらえば、病院で契約することが可能です。

不動産の売買契約を結ぶ場所は、法律で定められているわけではありません。重要なのは場所ではなく、買主と売主が顔を合わせた状態で契約すること。そのため、両者が顔を合わせて合意すれば、たとえ売主が入院中の病院でも売買契約を締結することができます。

売却を依頼した不動産仲介業者に、契約場所を病院に変更してもらいたい旨伝え、買主にお願いしてもらいましょう。

持ち回り契約をする

「持ち回り契約」とは、なんらかの事情で売主と買主、またはどちらかが売買契約締結日に立ち会うことができない場合、不動産仲介業者がその両方へ足を運んで契約書に署名・押印をもらう方法です。

売主が入院中など、両者が同じ場所で顔を合わせることが難しい場合や、どちらかが遠方に住んでいる場合は、両者が合意すれば、別々に署名・押印することもできるのです。不動産会社に持ち回り契約を申し出て、病院まで出向いてもらうことが可能です。

持ち回り契約の押印の順番は、買主と売主のどちらが先でも問題ありませんが、手付金授受のタイミングには要注意。契約時に手付金が支払われることになっている場合は、不動産会社から必ず預かり証を発行してもらうなど、「払った・受け取っていない」などのトラブルが起こらないよう気をつけてください。

代理人に売却を委任する

売主の容体によっては、たとえ病院でも契約の手続きが難しい場合があるでしょうし、買主が病院に出向くことができないケースもあるでしょう。そのような場合は、代理人に契約を委任することもできます。代理人に売却を依頼する場合、どのような流れなのか解説します。

委任状が必要

売買契約の実務を代理人に委ねるためには、売主による委任状が必要です。代理人に付与する権限を明確にするため、委任状には以下の項目を記載しましょう。

・「不動産の売却を代理人に委任する」という旨の記載
・売却する土地などの情報(地番、地目、地積など)
・売却の条件(売却価格、手付金額、引き渡し予定日、など)
・委任の範囲などあらかじめ決めておいた内容について
・委任状の有効期間
・委任者(売主本人)の住所、氏名および実印での捺印
・代理人の住所、氏名

委任状ほかに、以下も必要です。
・委任者(売主)の印鑑証明書と住民票(3ヵ月以内のもの)、実印
・代理人の印鑑登録証明書(3ヵ月以内のもの)と身分証明書(免許証やパスポートなど)、実印

本人確認が必要

売主からの委任状があれば、代理人による土地の売買契約は可能です。しかし書類申請だけで売却ができるとなれば、所有者本人になりすました人物が勝手に委任状を作成し、知らぬ間に売却されるという事態を招きかねません。

こうした「なりすまし」による犯罪を防止するために定められているのが、「犯罪収益移転防止法」による本人確認です。契約を仲介する不動産会社(宅建業者)や司法書士などの特定事業者には、売主の本人確認をすることが義務付けられています。本人確認の具体的な方法を見ていきましょう。

〈不動産会社による本人確認〉

法律では、仲介をする不動産業者(宅建業者)が、売主の本人確認をすることが義務付けられています。これは代理人が売買契約を行う時だけでなく、売主本人が契約する場合も必ず行われます。

本人確認の際は、運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなどの提示が求められます。宅建業者はその本人確認書類の写しを保管しなくてはいけません。

売主本人に直接会えない場合は、契約関係書類を書留による転送不要郵便で送り、本人確認をするといった方法をとります。

〈司法書士による本人確認〉

不動産登記を独占業務とする司法書士も、「犯罪収益移転防止法」により特定事業者に指定されています。宅建業者同様、マイナンバーカードや運転免許証などの顔写真付き証明書、実印や印鑑登録証明書などで売主の本人確認を行います。

本人確認をするための調査方法はほかにもあります。本当に売主がその土地の持ち主であるかどうかを確認するために、生年月日や干支、過去に住んでいた住所、当該不動産の取引経緯などを直接ヒアリングして確認することもあります。

なりすましが司法書士を騙して、不動産名義を変更させることを未然に防ぐため、慎重な確認が行われるのです。

売主本人が入院中でも売却が可能な3つの方法を解説してきましたが、ほかにも方法があります。次回は、子や孫に名義変更してから売却する方法、さらに売主の意識がない場合や認知症と診断された場合は、どうすれば売却できるのかについても解説します。

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著者
入院中でも家を売却する方法はある?〜その1

札幌手稲店 野口 祥子

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