不動産売却のコツ2021.10.07

入院中でも家を売却する方法はある?〜その2

名義人が入院中の場合でも、不動産を売却することは可能です。前回の記事では、仲介する不動産会社に病院まで来てもらう方法や、代理人を立てる方法を紹介しましたが、ほかに子や孫に名義変更してから売却する方法もあります。

ただ、これらは本人が意思疎通できる場合の方法です。名義人が認知症で入院している場合や、意識がなく、判断能力や意思能力が不十分であれば、別の方法が必要です。

今回は、名義変更後に売却する方法と、本人の判断能力が不十分な場合の対処法を解説します。

子や孫に名義を変更してから売却する

所有する不動産を入院中に売却するには、家や土地の名義を、子や孫に変更し、その後で子や孫が売却するという方法もあります。具体的にはどのような方法なのでしょうか。

贈与で名義変更

名義を子や孫に変更するには、「無償で譲り渡す」という方法があります。ただし、無償で譲り渡すことは「贈与」になるため、贈与税が課されます。

贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間に110万円を超える贈与があった場合、その超えた額に対して10〜55%の税率でかかります。ほとんどの場合、家の資産価額は110万円を超えますので、必ず贈与税がかかると思った方がいいでしょう。

〈贈与税の計算例〉
●500万円の資産価額の家を、20歳未満の子に贈与した場合

500万円 - 110万円 (基礎控除額)= 390万円
この額に贈与額に応じた税率を乗じて、控除額を差し引いた額が譲与税額になります。
390万円 × 20% - 25万円 (控除額)= 53万円(贈与税額)

贈与税を納めるのは、贈与を受けた人です。この場合だと、子は53万円を納税することになります。

売買で名義変更

子や孫に家や土地を売却する、という方法も挙げられます。売却手順は通常と同じで、売却益(譲渡所得)が出た場合は、売却した翌年の確定申告で譲渡所得税を納めなければならない、という点も同様です。

デメリットは、子や孫がまとまった購入資金を用意する必要があること。そして子や孫に家を売却した際は、マイホームを譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例を受けることができない、という点です。

通常は、特例の適用によって譲渡所得から3,000万が控除されるため、所得税が課せられるのは3,000万円を超える部分のみ。しかし子や孫に売却した場合は、譲渡所得額すべてに譲渡所得税が課せられます。親側に譲渡所得が出た場合は、譲渡所得税を納付することになります。

また、子や孫だからといって、相場とかけ離れた安い金額で売却してしまうと、たとえ「売却」であっても「贈与」とみなされ、贈与税が課せられることがあるので注意しましょう。

入院中の売主が認知症、または意識がない場合は?

ここまで解説してきたのは、所有者本人の意思確認ができる場合の売却方法です。売主本人が入院中かどうかに関わらず、認知症で判断能力がない、意識がないという場合には、どのようにして不動産を売却すればいいのでしょうか。

成年後見制度を利用する

「成年後見制度」は、認知症などで十分な判断能力や意思能力がないとみなされる人が不利益を被ることがないよう、後見人を選定し、支援・保護することを目的とした制度です。

成年後見制度には2種類あります。一つはすでに判断能力が不十分とみなされる場合の「法定後見制度」、もう一つが判断能力に問題がない場合の「任意後見制度」です。後見人を選定する流れを見ていきましょう。

〈成年後見人を決める〉
成年後見制度を利用するためには、家庭裁判所に申立てをする必要があります。申立てができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、検察官などです。

申立てには、主に次のような書類が必要です。
・申立書
・戸籍謄本
・後見登記事項証明書

ほかにも、申立て手数料、登記手数料、通信費用などが必要です。場合によっては売主本人の診断書や財産目録などが必要になることもあります。

〈裁判所の許可を得る〉
申立てをしたら家庭裁判所で後見人の審理が行われます。

申立てをする際に後見人の候補を記載して提出しますが、必ずしも候補者がそのまま選定されるとは限りません。裁判所の審理によっては、親族ではなく弁護士や司法書士などが後見人になることがあります。審判が下って後見人が決定されると、裁判所から審判書謄本が送られてきます。後見登記されると手続きが完了です。

後見人の選定には、申立てから裁判所の審判まで、およそ1~2カ月程度の時間がかかります。その期間も考慮して、事前に適切な売却スケジュールを立てるようにしましょう。

成年後見人に選定された人は、売主に代わって不動産を売却することができますが、売買契約を締結する際には家庭裁判所の許可が必要です。

まとめ

紹介してきたように、売主が入院中や契約の場に立ち会えない場合でも、家やマンションを売却することは可能です。しかし、入院中とひと口にいっても、状況は人それぞれ。選定する方法により必要な手続きも異なります。

適切に売却を進めるためには、専門知識を持った人へ相談することが大切です。

北章宅建でも、不動産に関する様々なご相談に無料で対応しておりますので、いつでもお気軽にお問い合わせください。

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著者
入院中でも家を売却する方法はある?〜その2

札幌手稲店 野口 祥子

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