不動産売却のコツ2021.12.02
借地権付き建物の売却は可能?
不動産には、土地を借りて建物を建てる「借地権付き建物」があります。
普通の物件とどのように違うものか、わかっている方は多くないでしょう。
今回は、借地権付き建物を売却する時のポイントについてご紹介します。
借地権でも売却することは可能です
売却をすることは可能ですが、売却方法は通常の不動産物件と同じように考えてはいけません。
以下の3つのパターンを覚えておきましょう。
① 借地権と表記した上で売却をする
② 建物を地主に買ってもらう
③ 更地にして土地の借地権を地主に買ってもらう
①借地権と表記した上で売却をする
通常の物件のように、中古不動産市場で売却をすることは可能です。
ただし、その際は借地権と表記して売却に出さなくてはいけません。
土地が手に入るわけではないため、同じエリアの通常の物件と比べると、価格は低くなってしまいます。
また、所有権のある物件より売れづらい一面があることも理解しておきましょう。
地主への承諾料など費用が発生する場合もありますが、そのような時は売り主負担となるケースが多いです。
②建物を地主に売却する
建物代を含めて借地権を地主に買ってもらうということです。
地主側に優位性があり、売り主としては高く価格を付けたいところですが、価格設定の折り合いが難しいケースがあります。
③土地を更地にして地主に返却する
更地にするということは、建物を壊して綺麗にしなくてはいけないので解体費用が発生します。
借地契約期間内であれば、建物を含めた借地権の売却を地主と交渉した方が良いでしょう。
借地権付き建物の売買メリット・デメリット
借地権の建物を売買する時には、通常の不動産物件とは異なるメリット・デメリットがあります。
メリット
① エリアの相場よりも安い物件価格で売却ができる
② 土地分の税金はかからない
③ 契約を更新することができれば長く使用できる
①相場よりも低価格に売却ができる
借地条件があるため、相場よりも安い価格で売却できるということは大きな特徴です。
土地の所有権を持つことができないため、必然的に価格が安くなります。
相場よりも安い価格設定となるため、購入者にとっては買いやすくなるでしょう。
②土地分の税金はかからない
本来であれば、不動産を所有すると固定資産税がかかりますが、土地の所有権はないため土地分の固定資産税、都市計画税の負担はありません。
建物分の固定資産税、都市計画税は課税対象となるので注意しましょう。
③契約が更新できれば長く使用できる
更新もできますが、借地権は期間が決まっているため、最終的に土地を返さなくてはいけないという不安要素があります。
とはいえ基本的には、建物の老朽化や地代の未払いなどといった、正当な理由がない限り更新可能です。
デメリット
① 地代の支払いが必要になる
② 建物の改装、建て替えなどは地主の許可が必要
③ 住宅ローンの審査が通りにくい
①地代の支払いが必要である
土地が借地となっている状態のため、毎月地主に地代の支払いが発生します。
借りている土地代であり、ランニングコストとなるため購入者は毎月の支出として計算をしておく必要があります。
②建物の改装、建て替えなどは地主の許可が必要
借りているのは土地だけだから、建物は自由に改装ができると思いがちですが、そこは注意をしなくてはいけません。
単純なリフォームなら別ですが、床面積が変更になる場合や利用形態が変わる場合には、地主の許可が事前に必要です。
この許可を得るために「増改築承諾料」がとられる場合もあり、相場としては更地価格の2~4%程度とされています。
③住宅ローンの審査が通りにくい
借地権の建物を購入する時にネックになりやすいのが、住宅ローン審査が通りづらいところです。
所有権の不動産であれば物件を担保にすることができますが、土地が借地のため担保にすることができず、抵当権が設定できないのでローン審査が厳しくなってしまいます。
いくつかの要因はあるが売却は可能
相場よりも安い価格に設定することができますが、借地権で土地を所有することができないため売却のしづらさがあります。
それは、多くの人が所有権を希望していることが多く、借地権に抵抗がある人も多いからです。
売却をする際には、購入者がメリットに感じる部分を存分に活かして売却ができると良いでしょう。