不動産売却のコツ2020.09.24

築年数の古い家の売却・買取は可能?不動産の活用方法を解説

田舎の実家など、築年数が古い家の扱いに困っていませんか?

築30年以上も経てば、老朽化による問題も多々あるはず。売却しようにもなかなか買い手が見つからない気がしますが、解体して更地にするしかないのでしょうか。実は必ずしも更地にした方が良いわけではありません。

築年数が古くても売却できる具体的な事例と、古い家の解体に伴うデメリットについて説明します。

意外と知らない?古い家の解体にはデメリットがある

老朽化が進んだ古い家を買う人など誰もいないだろうと、更地にして売り出すことがあります。

確かに不動産売却に有効な手段の一つではありますが、更地にすることで大きなデメリットがあることはご存知でしょうか?

デメリット①更地にすると固定資産税が6倍に

建物がある土地の固定資産税は、土地だけの場合に比べて6分の1まで軽減されています。

これは「住宅用地の軽減措置特例」によって、200平方メートル以内の敷地に適用されている特例。200平方メートルを超える部分についても、3分の1まで減額されます。

建物を取り壊して更地にすると、この軽減措置は受けられないため、固定資産税は最大で6倍に跳ね上がってしまうのです。

ただし家が建っていても、特例が適用されないケースもあります。それは「特定空家」に指定された場合。

「空家対策特別措置法」によって、自治体から倒壊の危険がある「特定空き家」に指定されてしまうと、住宅用地の軽減措置特例が適用されなくなり、更地にした場合と同様の扱いになります。

朽ち果てるほど放置していては意味がありませんが、家を定期的にメンテナンスして維持できるなら、売却できるまでは古い家をそのまま残しておいた方が、固定資産税の節税になるのです。

デメリット②再建築不可物件を更地にすると家が建てられない

再建築不可物件とは、建築基準法上の接道義務を果たしていない土地に建つ建築物のこと。道路に2m以上接していないなど規定を満たしていない物件は、リフォームは可能ですが、一度解体してしまうと建築許可が下りず、新築を建てることはできません。

現在の建築基準法が施行される前に建てられた、築年数の古い物件の中に多く見受けられます。

新たに家を建てられない土地は資産価値が低いため、相場より大きく価格を下げても、購入希望者がまったく現れないという事態もあり得るのです。

デメリット③解体費用がかかる

更地にする場合は、当然のことながら家の解体費用がかかります。

さらに塀や庭木などがあれば、それらも撤去して見栄え良く整地する必要があります。

こうした費用負担もデメリットのひとつです。

築年数の古い家でも売却できる4つの事例

国土交通省の統計によると、2013年の全住宅流通量のうち、既存住宅が占める割合は14.7%となっています。これはアメリカの83.1%、イギリスの87.0%、フランスの68.4%と比較すると、極端に低い数値です。

一方、10年単位でみていくと、1993年の10.15%、2003年の13.1%と、少しずつではありますが既存住宅のシェアは伸びています。

ここから、中古住宅を購入する層は着実に増えており、築年数の古い家も売却できていることがうかがえます。

新築を購入する人が圧倒的に多い日本で、なぜ築年数の古い家が売却できるのでしょうか。その要因をみていきましょう。

ケース①立地に魅力がある

築年数が古い家の中には、周囲をビルに囲まれた都会の中心部に建っている家もあります。

一般的に、鉄道駅が徒歩圏内にあり、商業施設や医療機関が近くにある都心部の物件は高すぎて手が出せません。しかし、築年数の古い家だと比較的廉価なため、売却しやすくなります。

郊外の一軒家はどうでしょう。利便性重視の方には興味を持たれなくても、第二の人生として農業や林業に従事したいと考える人にとっては魅力的に映るはずです。また、また定年後は自然豊かな場所で余生を過ごしたいと考え、見晴らしの良い中古住宅を探す人もいます。

今はライフスタイルも多様化しています。新築物件にこだわらず、重視するポイントに合わせて物件探しをする人には、築年数の古い住宅でも十分に購入の選択肢に入るのです。

ケース②古い建物自体に魅力がある

現在の住宅は、外壁をサイディングボード張りにした無機質な建物が主流になっていますが、味のある古民家を探している人も増えています。

古い家に多いのは、外壁が土塗り壁や焼き杉板張りなどの自然素材を用いた仕上がり。柱や梁が露出した真壁造りが主流です。

こうした工法は、現在では工事ができる職人も少なく、かなりの費用がかかります。今では手に入りにくくなった伝統的な木造住宅に魅力を感じる人は大勢いるのです。

ケース③用途変更によって再生可能である

住まいとしてだけでなく、店舗や事務所としての用途にも大きな可能性があります。

ビルのテナントではなく、こぢんまりとした空間を自分好みにリノベーションしたいというニーズは少なくありません。立地や環境など、条件が合う古い家を探している人がいることも覚えておきましょう。

ケース④買取専門の業者に売却する

築年数の古い家には、ケース③のように住宅よりも別の用途の方が活きてくる物件もあります。店舗や宿泊施設、福祉施設、貸家、シェアハウスなど、新たな用途に活用して蘇る例は数多くあります。

とはいえ、個人がその需要をキャッチして買主を探し出すのは至難の技。その点、中古住宅の買取専門業者であれば、全国規模の情報網で利用者の最新ニーズを把握しているため、最適な活用法を見出すことができます。

買取専門業者に売却すると一般的な査定価格よりは安値になりますが、買主がまったく現れないケースを想定すると、有効な選択肢のひとつだといえます。

築年数の古い家が敬遠される6つの要因

総務省の住宅・土地統計調査によれば、空き家の総数は、この20年で448万戸から820万戸に増加しています。

この中には、売却したくてもまったく売れない、築年数の古い家が相当数含まれています。

なぜ古い家は売れにくいのか、その要因を探っていきましょう。

原因①耐震性能に不安がある

日本は東日本大震災などいくつもの震災を経て、耐震基準が引き上げられてきました。

そのため昔に建てられた家は、現在の耐震基準を満たさないものも含まれており、中には構造用合板やホールダウン金物等の耐震性の要となる建築資材が、まったく用いられていない物件もあります。

震災の多い国だけに、住まいの耐震性は買い手にとって重要な条件の一つ。味のある和風テイストが魅力だとしても、今の耐震基準を満たしていない建物は不安です。購入を敬遠されるのも無理はないでしょう。

原因②構造材が腐朽している可能性がある

築年数が古い家は、構造材である木材もダメージを受けている可能性があります。

特に大敵なのは水。雨漏りや水道管の漏れの発生などにより木材が長期間湿気を帯びていた場合、腐食が進むだけでなく、シロアリを招く原因にもなります。

目に見えない所で木材が朽ちているかもしれない。それが購入希望者にとって不安材料となる場合もあります。

原因③断熱材が入っていない

築年数の古い家は、断熱材が一切入っていないことがあります。

木造住宅の場合、壁や床に断熱材が入っていないと、寒さや暑さが直に伝わってきますので、冬の底冷えや夏の猛暑を懸念して購入を敬遠することがあります。

原因④設備機器がいつ故障するか分からない

建物同様に、付帯している設備機器も旧式タイプであることが多いです。故障による買い替えで、入居後に負担が増えるのは誰でも避けたいもの。その点を危惧する人も少なくありません。

原因⑤再建築不可物件である

再建築不可物件は、建て替えも増改築も禁じられているため、いくら古くなってもリフォームで延命するしかありません。

ですが、どの程度のリフォームが許容範囲なのか素人には分からないため、古い家を買い取る人はなかなか現れません。

原因⑥敷地境界があいまい

現在、地積測量図はGPSを活用した精度の高いものになっています。

しかし古くからある住宅は、隣地の持ち主と何となく決めただけで、境界を確定させていないケースが意外と多いのです。

隣近所が顔見知りであれば問題も起こりにくいのですが、土地の売却によって所有者が変わると、敷地境界のあいまいさがトラブルを招く可能性があります。不安要素が大きいため、売りに出してもなかなか買主は見つかりません。

古い家の売却には購入希望者の不安を払拭すること

築年数の古い家には、古い家ならではの魅力があり、購入を希望をしている人は大勢います。

しかも新築と比べて廉価で購入できるため、先に挙げたような不安さえ払拭できれば、売買が促進する可能性がさらに大きく広がるはずです。

ではどうすれば、不安を解消できるのでしょうか。

①土地家屋調査士に依頼して境界確定

築何十年も経つような古い家の場合、土地が古い測量技術で測られた不正確な面積であったり、そもそも地積測量すら行われていないことも少なくありません。

敷地境界があいまいな場合は、後々隣地との無用なトラブルが起こらないよう、土地家屋調査士に調査を依頼して測量し、境界を明らかにしてもらいましょう。

隣地の所有者立会いの下で境界を確定することで、土地の境界にまつわるトラブルは解消できますし、その際に隣地の所有者と境界確認書を交わしておくと、さらに購入希望者の危惧が軽減できます。

②建築士に依頼して用途変更のリノベーション

住宅から店舗や宿泊施設など、購入希望者が求める用途に変更し、リノベーションするのも手です。

その場合、建築士に相談するのが最適。古い家の柱や間仕切りの撤去など、どこまで実施が可能か検証してもらうことができます。

なお、100平方メートル以上の面積を飲食店、物販店舗、旅館等に用途変更する場合は、用途変更の建築確認申請が必要です。

建築士に依頼すれば、こうした手続き面でのアドバイスを受けることもできます。

③ホームインスペクターに依頼して不安を解消

ホームインスペクター(住宅診断士)とは、第三者的な立場で住宅に欠陥や劣化などがないか診断・アドバイスを行う有資格者。売主側、買主側どちらにとっても、ホームインスペクターへ依頼することはとても重要です。

売主が依頼した場合、売却前に住宅の状況を把握することができるので、状況次第では、修繕をした上で売却に臨むことができます。

あるいは事前にこうした不備を明らかにすることにより、契約不適合責任(瑕疵担保責任)に問われるリスクを軽減できるのです。

また、購入希望者にとっては、ホームインスペクションを実施した証明書の提示があれば安心感が違います。

買主側が依頼する意義は、購入を決断する重要なデータになるという点にあります。住宅の不備状況を把握することで、許容範囲を超えているかの判断が可能になります。

まとめ

築年数の古い家は、売却や買取が可能かどうかについて解説してきました。

「こんなに古い家は誰も買わない」「更地にしないと売れない」と思いがちですが、築年数のかなり経った住宅も立地や用途変更次第では、まだまだ需要が見込めます。

実際の購入になかなか結び付かないのは、中古住宅への信頼性が大きく損なわれていることが主な要因。

築年数の古い家も安心して購入できる環境を実現するため、専門家を積極的に活用していきましょう。

イエステーションでもご相談に応じております。古い家の扱いにお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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築年数の古い家の売却・買取は可能?不動産の活用方法を解説

美唄店 赤井 圭一出会うお客様は一人一人違う想いを持っていらっしゃると思います。それぞれのお客様に共感し、最後には「任せて良かった」とご納得していただける様日々取り組んで参ります。 空知エリアの不動産に関する事は私にお任せください。

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