不動産売却のコツ2023.04.14

自然死があった家は事故物件? 売却時に告知義務はあるのか、家の価値はどうなるのかを解説〜前編

事件や事故などにより土地や建物内で人が亡くなった物件は、通称「事故物件」と呼ばれます。では、家で家族を看取った場合も、「事故物件」になるのでしょうか?

老衰や病死などによる自然死は、原則として事故物件に該当せず、告知義務はありません。ただし、状況次第では事故物件とみなされるため、自己判断は禁物。今回は、自然死で告知義務が発生するのはどのようなケースか、また自然死があった家やマンションを売却した場合、いくらくらいで売れるのかについて解説していきます。

自然死があった家は事故物件?

原則として、自然死のあった家のほとんどは事故物件にはならず、告知義務はありません。しかし中には事故物件とみなされるケースもあります。そもそも「事故物件」の定義とは何か、そして自然死でも告知義務が発生するのはどのようなケースでしょうか。

自然死は事故物件にならないケースが多い

2021年10月に国土交通省が発表した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によると、事故物件とは「自然死や不慮の事故死“以外”の死」や「特殊清掃が必要になる死」が発生した物件のこと。事故物件の場合は、不動産取引においては売主が買主にその事実を告げる「告知義務」があります。
【事故物件に該当するケース】
・他殺
・自殺
・火災による死亡
・事故死
・不審死(原因が明らかでない死亡)
・長い間発見されなかった自然死・事故死(特殊清掃が必要な場合)
※賃貸の場合は、事故の発生から3年以内は告知義務あり

一方、人の死があった物件でも、日常生活の中で起こりうる自然死や不慮の事故死は、自宅での死因の9割を占める一般的なもの(令和元年 人口動態統計)。不動産取引の契約判断に重要な影響を及ぼす可能性は低いため、国交省のガイドラインでは「告知義務はない」とされています。具体的には以下のケースです。

【事故物件に該当しないケース】
・自然死:老衰、病死
・不慮の事故死:自宅の階段などからの転落事故、入浴中の転倒事故や溺死、食事中の誤嚥など
※いずれも、死後すぐに発見された場合

ただし、ガイドラインが示している通り、自然死であっても一定期間発見されず、特殊清掃やリフォームが行われた場合は、事故物件に該当する可能性が高くなります。

事故物件は「心理的瑕疵」を伴う物件

心理的瑕疵とは、借主・買主に心理的な抵抗が生じる可能性のあることを言います。具体的には先のガイドラインで挙がった自殺や他殺などの人の死があったことのほかに、近隣にゴミ焼却場や墓地、刑務所、暴力団事務所、さらにゴミ屋敷がある場合なども心理的瑕疵にあたります。
こうした物件に対して「安ければ構わない」という人もいれば、「住みたくない」という人もいるなど、人によって感じ方は様々です。嫌悪感・抵抗感が個人によって千差万別である以上、個人的な感覚で判断するとトラブルの元になるため、心理的瑕疵の告知義務が法律で定められているのです。

自然死で告知義務が発生するケースとは

すでに述べた通り、自然死であっても心理的瑕疵が伴えば「告知義務がある」と判断されます。それは以下のような場合です。

告知すべきケース1:発見が遅れた「自然死」「孤独死」
たとえ事故や事件性がない自然死でも、亡くなってから一定期間発見されなかった場合は「事故物件」と判断される可能性があります。「一定期間」といっても日数に明確な基準はなく、亡くなった人が長期間にわたって人知れず放置され、家に染みや臭いがついてしまったような場合が該当します。染みや臭いを取り除くために特殊清掃やリフォームなどが行われた場合は、売買契約に大きな影響を及ぼす可能性があるため、告知義務を果たす必要があります。

ただし事故物件とみなされなくても、人の死に関わることはとてもデリケートな問題だけに注意が必要です。売却の仲介を依頼する不動産会社には、自然死や孤独死があった事実を伝えておくべきでしょう。その上で買主に告知するかどうかを判断してもらうことをおすすめします。

告知すべきケース2:「突然死」は発見までの期間により必要
突然死も、自然死や孤独死と同様、一定期間発見されなかった場合は告知義務が発生する可能性があります。とはいえ、浴室での心筋梗塞や乳幼児突然死症候群、原因不明の急な死亡といった突然死には事件性がなく、すぐに発見されれば事故物件に該当する可能性は低いと思っていいでしょう。

このように、家で起こった人の死がすべて告知義務に該当するわけではありませんが、心理的瑕疵に当たるかどうかはケースバイケース。個人では判断が難しいため、自然死のあった家を売却する場合は、不動産会社に相談しましょう。

次回は、自然死のあった一戸建てやマンションはいくらくらいで売れるのか、気になる売却額について解説します。

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著者
自然死があった家は事故物件? 売却時に告知義務はあるのか、家の価値はどうなるのかを解説〜前編

札幌手稲店 野口 祥子

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