不動産売却のコツ2025.04.03
リースバックは住宅ローンが残っていても可能?利用の注意点を解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 札幌北店の蛸星です。
「住宅ローンの支払いが厳しくなってきたけれど、できれば今の家に住み続けたい…」
「老後資金のために家を売却したいが、引越しはしたくない…」
「まだローンが残っているけれど、リースバックは利用できるのだろうか?」
このような不安をお持ちではないでしょうか。
実は、住宅ローンの残債があっても、一定の条件を満たせばリースバックの利用は可能です。
今回は、リースバックの基本的な仕組みや、住宅ローンが残っている場合に利用できる条件、注意点までわかりやすくご紹介します。
住宅ローンが残っていてもリースバックは利用可能?
リースバックとは、所有している不動産を売却し、その買主と賃貸契約を結ぶことで、売却後も自宅に住み続けられる仕組みです。
「家を売りたいけれど、住み慣れた場所から離れたくない」という方にとって、有力な選択肢の一つですね。
では、住宅ローンが残っている状態でもリースバックを利用できるのでしょうか。
「アンダーローン」であればリースバックを利用できる
結論から言いますと、売却価格がローン残債を上回る「アンダーローン」の状態であれば、リースバックは可能です。
例えば、ローン残債が1,500万円で売却価格が2,000万円であれば、差額の500万円を手元に残しつつ、ローンも完済できます。
このように、売却代金で住宅ローンを完済し、抵当権を抹消できることがリースバック利用の前提条件となります。
「オーバーローン」でリースバックの利用は厳しい
一方で、住宅ローンの残債が売却価格を上回る「オーバーローン」の状態では、リースバックの利用は基本的に難しくなります。
その理由は、住宅ローンには「抵当権」が設定されているためです。
抵当権とは、ローンの返済が滞った場合に金融機関が物件を競売にかけて優先的に回収できる権利のことです。
第三者に所有権を移すには、この抵当権を抹消する必要があります。
リースバック会社は通常、抵当権付きの物件は買い取りません。
そのため、売却代金で住宅ローンを完済し、抵当権を外すことが前提となるのです。
例えば、ローン残債が2,000万円、売却価格が1,500万円というケースでは、差額の500万円を自己資金で補えない限り、完済はできません。
このような状況では、リースバックの利用は現実的に困難です。
任意売却との併用でリースバックが可能な場合も
一部のリースバック会社では、例外的に「任意売却」との併用によって対応可能な場合もあります。
任意売却とは、住宅ローンが残っている状態でも、債権者(主に金融機関)の同意を得た上で物件を売却する方法です。
通常、オーバーローンの状態(売却価格よりローン残高が多い)ではリースバックの利用は難しいとされていますが、任意売却を活用することで、リースバックが可能になるケースもあります。
ただし、任意売却を行うと、信用情報機関に「異動情報(いわゆる事故情報)」が登録される可能性があり、将来的な住宅ローンやクレジットの利用に影響を与えることがあります。
また、任意売却とリースバックの併用は、金融機関の了承やリースバック事業者の判断によって可否が分かれます。
そのため、具体的な利用可否については、住宅ローンの債権者や専門の不動産会社に事前に相談することをおすすめします。
任意売却や相談先については、「任意売却するなら誰に相談すべき?相談先別のメリット・デメリットも」で詳しく解説しています。
住宅ローンが残っている状態でリースバックを利用するメリットと注意点
住宅ローンの残債がある状態でリースバックを利用する場合、さまざまなメリットがありますが、注意すべき点もあります。
メリット1|住み慣れた家にそのまま住み続けられる
リースバックの大きな魅力は、自宅を売却してもそのまま住み続けられることです。
引越しの費用や手間がかからず、子どもの転校や通勤ルートの変更も不要です。
特に、ご近所との関係や生活リズムを大事にしたい高齢者や子育て世帯にとっては、大きな安心材料になるでしょう。
メリット2|ローン完済後の資金を自由に使える
リースバックでは、アンダーローンの状態であれば、売却代金からローン残債を完済し、残りの資金を自由に活用することができます。
資金の使途に制限がないため、自分のライフステージに合わせた柔軟な資金計画が可能です。
メリット3|現金化までがスピーディーである
通常の不動産売却では買い手探しや内覧などに時間がかかりますが、リースバックでは売却先(リースバック事業者)がすでに存在するため、手続きが早いのも特徴です。
注意点1|売却価格は市場価格より低くなる傾向がある
リースバックの売却価格は、一般的に市場価格の60〜80%程度となるため、想定より手元に残る資金が少ない可能性があります。
このため、ローンが残っている場合は、リースバックでの査定価格がアンダーローンかどうかを基準に判断する必要があるでしょう。
注意点2|買戻しは割高で、契約によってはできないこともある
リースバック契約では、将来的に物件を買い戻すことも可能ですが、その価格は売却時の1.1〜1.3倍程度になるケースが一般的です。
ただし、買戻しが可能かどうかは契約内容によって異なり、すべてのリースバックで買戻しが保証されているわけではありません。
事前に買戻し特約の有無や条件をよく確認しておくことが大切です。
注意点3|家賃が相場より高くなることもある
売却価格に対する利回り(年率6〜13%)をもとに家賃が設定されるため、エリアの賃貸相場よりも割高になることがあります。
長期入居を検討する場合は、将来の家賃負担も確認しておきましょう。
実際の家賃はリースバック会社ごとに異なるため、契約前に複数社へ相談・比較するのがおすすめです。
注意点4|契約形態によっては長く住めない可能性もある
多くのリースバックは定期借家契約となっており、契約期間終了後の更新ができない場合もあります。
長く住み続けたい場合は、普通借家契約かどうかの確認が必要です。
リースバック契約の継続性について詳しく知りたい方は、「リースバック契約後はいつまで住める?長く住み続ける方法とは」もご参考にしてくださいね。
住宅ローンが残っていなくてもリースバックが利用できないこともある
住宅ローンの返済が終わっていても、物件や契約者の状況によってリースバックが利用できないケースがあります。
代表的な理由を「建物」「土地」「契約者(利用者)」の3つのカテゴリーに分けて解説します。
リースバックの仕組みなど概要については、「不動産売却後も住み続けるリースバックとは?メリット・デメリットも」で解説しています。
ぜひこちらもあわせてご覧ください。
建物に関する条件
リースバックでは、将来的な再販も見据えて物件を買い取るため、建物の状態が悪い場合や、特殊な構造を持つ物件は対象外とされることがあります。
以下のような条件に該当する建物は、利用が難しい可能性も。
条件1|瑕疵(かし)のある物件
雨漏りやシロアリ被害などの欠陥があると、再販リスクが高く敬遠されやすいです。
心理的瑕疵(自殺・事件など)も対象外になることがあります。
条件2|既存不適格・特殊な物件
建築基準法に適合しない「既存不適格物件」や、賃貸併用住宅・築古マンションなどの特殊物件も、対応不可のケースがあります。
土地に関する条件
建物だけでなく、土地の性質によってもリースバックの可否が左右されるケースも存在します。
再建築や転売に不利な土地は、リースバック会社から敬遠される傾向があります。
条件1|市場価値が低い土地
市街化調整区域、接道義務を満たしていない土地、土壌汚染がある土地などは、再販が難しいためリースバック対象外となることがあります。
条件2|借地権の土地
借地権付きの場合、地主の同意がなければ売却自体ができません。
契約者(利用者)側の条件
リースバック後は所有者が賃貸人となるため、契約者本人にも一定の条件が求められます。
信用状況や所有権の形態によっては、審査に通らず利用できない場合もあります。
条件1|共有名義物件
所有者全員の同意がなければ売却できないため、共有状態のままではリースバックを進められません。
条件2|与信(信用)に問題がある場合
リースバックの賃貸契約では、通常、家賃保証会社による審査が行われます。
そのため、収入状況や過去の支払い履歴によっては、利用が難しくなるケースもあるようです。
特に高齢者や生活保護受給者を受給している方などは、審査基準が厳しく設定されていることもあり、個別の対応が必要になる場合があります。
対処法はある?利用をあきらめる前に相談を
住宅ローンの有無にかかわらず、物件や契約者の状況によってリースバックが難しいケースは少なくありません。
しかし、物件の状態によってはリフォームや整備で対象になることもありますし、家賃保証の審査も保証人の追加や支払方法の工夫で対応可能な場合があります。
「リースバックは無理かもしれない」と思っても、まずは専門業者に相談して、ご自身の状況でも利用できるかどうかを確かめてみることをおすすめします。
なお、北章宅建でもリースバックに対応していますので、お気軽にご相談くださいね。
詳細は、「不動産買取について」をご覧ください。
まとめ
●住宅ローンが残っていてもリースバックは利用できる
住宅ローンの残債が売却価格より少ない「アンダーローン」状態であれば、リースバックが可能です。
売却代金でローンを完済できることが条件となるからです。
●リースバックのメリットと注意点を理解しよう
住み慣れた家に住み続けられる、まとまった資金を確保できるというメリットがある一方、売却価格が市場より低い、家賃が発生するなどの注意点もあります。
自分の状況に合わせて検討することが大切です。
●物件の状態や個人の状況によってはリースバックを利用できない場合もある
住宅ローン以外にも、物件の瑕疵や個人の与信力によってリースバックが難しい場合があります。
専門業者や専門家に相談して、ご自身の状況に合った最適な選択をしましょう。
北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
空き家に関する相談や無料査定、相続問題など、どんなことでもお気軽にご相談ください。
著者

札幌北店 蛸星 香奈実日々、お客様とのふれあいを通じて、新たな発見ができることを楽しみながら仕事をしています。 ご売却、ご購入に限らず、お住まいでお悩みのことがありましたら何でもご相談ください。 過去の経験や知識を活かし、お客様の希望をかなえられるよう、より良い提案をさせていただきます。どうぞ宜しくお願いいたします。
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