不動産売却のコツ2023.03.10
不動産売却の前には名義・土地建物の状態と、周辺環境を確認すべき
不動産の売却をスムーズに進めるためには、売り出す物件の状態をよく理解しておくことが大切です。見た目にきれいな家でも、実は権利関係に問題がある、ゴミや騒音など近隣トラブルを抱えている…といったケースもあるのではないでしょうか。
初めての不動産の売却は、わからないことだらけですよね。今回は、事前に何を確認しておけば良いのか、4つのポイントを解説します。
【確認事項1】名義
権利関係は売却の手続きがスムーズに進むかどうかに大きく影響するため、最初に不動産の名義が誰になっているか確認します。名義人の氏名は登記簿謄本や権利証(登記識別情報通知)に記載されています。
不動産が本人の名義と異なる場合は、売却の前に名義変更が必要です。よくあるのは遺産相続した不動産の名義が、亡くなった方のままになっているケースです。これまでは相続登記が任意だったため、そのままにしている人が多くいましたが、法改正により2024年4月1日からは相続登記の申請が義務化されます。もちろん義務化が開始する前であっても、相続した不動産を売却するには事前に相続登記を済ませておかなければなりません。
また、共有名義の場合であれば、売却には共有者全員の合意が必要です。さらに、土地と建物は自分の名義でも、前面道路が隣接する複数の住人と共同で所有している持分道路の場合は、インフラ整備に必要な掘削承諾などの書類を、共同名義人からもらう必要が生じることもあります。
名義に関する疑問や不明点はそのままにせず、不動産会社や司法書士などの専門家に相談しましょう。
【確認事項2】土地の状態
確認すべき「土地の状態」は、主に「土地の境界」を指します。
自分と他人の土地の境目が曖昧だと、これまでは問題がなかったとしても、隣地所有者が変わるとトラブルになることがあります。買主が購入をためらう一因にもなりますので、不動産を売却するなら境界を明確にしておくべきでしょう。
何十年も前に建てた家で、境界が確定していない、あるいは境界線上にブロックを積んでいるというケースは決して珍しくありません。境界が曖昧であれば確定測量を行って明確にしておく、境界線の真ん中に境界ブロックがある場合は隣地所有者と話し合って撤去し、ブロックの所有者や境界線を明確にするために、改めて境界の内側にブロックを施工した方が良いでしょう。
境界に関して言えば、樹木の枝や屋根のひさしなどが境界を越えて隣家にはみ出している「越境」もトラブルの元になります。植物のように剪定・撤去で済むものもあれば、建物の一部や配水管のように工事が必要になるものもあります。もし越境がある物件であれば、隣地所有者と買主が納得できるよう説明した上で売却を進めてください。
【確認事項3】建物の状態
建物の確認で特に重要なのは、住まいのどこにどのような欠陥があるかをチェックすることです。雨漏りや設備の老朽化はもちろん、住んでいる時には気づかなかったシロアリ被害なども含め確認し、買主にあらかじめ伝えておく必要があります。
契約時にこうした欠陥を説明しないと、売却後に契約不適合責任に問われ、補修や代替物の引き渡しなどを請求される可能性があります。必要に応じて事前に補修などを行い、事実を隠蔽することは絶対に止めましょう。
【確認事項4】周辺環境
周辺環境は、不動産の購入を左右する重要な要素の一つです。売却時のアピールポイントになりますので、物件周辺にはどのような施設や交通機関があるのかなど、利便性を確認しておきましょう。
駅や病院、商業施設までの距離や、保育園、小学校、公園といった子育て環境の充実度などのほか、周辺道路の状況や日照を遮る建物の有無なども把握しておいた方が良いと言えます。
嫌悪施設や近隣トラブルなど、ネガティブな要素も重要な情報です。「これを言ったら売れないかも」と隠さずに、不安な要素があれば不動産会社の担当者に相談するようにしてください。