不動産売却のコツ2023.06.01
シロアリ被害のある家は売却できる?売却方法や注意点を解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 石狩店の古木です。
「シロアリ被害のあった自宅の売却を考えているが、売れるのだろうか?」
不動産売却を検討中の方には、そんな悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
シロアリ被害が被害がある家は一般的には売りづらい物件ですが、売却自体は可能です。
今回のコラムでは、シロアリ被害のある家を売却する方法を解説します。
シロアリ被害が家に与える影響や、売却の注意点もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
シロアリ被害が家に与える影響とは
シロアリは、「アリ」という名前が付いているものの、実はゴキブリの一種。
湿度・温度が高い地域を中心に生息している昆虫です。
成長した姿である羽アリが巣を分ける際、巣作りに適した木材のある家に侵入します。
新しい巣で生まれたシロアリが、家の部材を中から食い荒らしてしまうため、建物の耐久性・耐震性を大きく損ねる原因になります。
内側から食われていくので、被害は外観からはわかりにくく、ある日突然床が抜けたり、家が傾いたりするリスクがあります。
中には寒さに耐性を持つシロアリも
シロアリにはいくつか種類があり、その内ヤマトシロアリは全国に分布しています。
総じて寒さには弱いのですが、近年では北海道でも被害報告が出ており、寒い地域で生まれたことで、寒さへの耐性を身につけたと考えられています。
ヤマトシロアリは、4〜5月(北海道は6月頃)に羽アリが発生するので、シロアリ発生のサインを見逃さないことが重要です。
シロアリ発生のサインとは?
被害を防ぐ・最小限に留めるには、シロアリ発生の予兆やサインを見逃さないことが大切。
まず発生の予兆となるのが、羽アリの存在です。
家の周囲や室内で羽アリを見かけたら、これから侵入してくる、もしくはすでに巣作りをはじめている可能性があるので、家の内部を確認したほうが良いでしょう。
シロアリは湿気を好むので、庭に池がある場合は要注意です。
シロアリは直射日光を嫌うので、家の基礎の立ち上がり部分や配管の隙間などにシロアリの専用通路「蟻道(ぎどう)」を発見したら、シロアリが発生しているかもしれません。
蟻道とは、見た目は地面から伸びる土でできた道で、ヤマトシロアリの蟻道は細長い紐状をしていますが、シロアリの種類によっては、幅広い土の塊の場合もあります。
家の状態でシロアリ被害の発生がわかる場合も
シロアリ被害は見た目にはわかりにくいですが、家の状態が次の点に多く当てはまる場合は、被害発生を疑ったほうが良いかもしれません。
- 家の内部の湿度・室温が高い
- 雨漏り・水漏れがある
- 外壁や基礎にひび割れがある
- 柱や壁が変色している
- 押し入れがカビ臭い
- 床板が不安定できしんでいる(浮いている)
- 柱を叩くと中が空洞のような音がする
外壁や基礎、屋根にひびや破損があると、雨水が侵入します。
湿気が多い家は、シロアリに最適の環境です。
サインを放置するとシロアリ被害が知らない間に進む可能性が高いので、なるべく早く専門業者に調査を依頼することをおすすめします。
シロアリ被害を受けた家は売却できる?売却方法を確認
シロアリ被害を受けていても、家の売却自体は可能です。
ただし、「シロアリ被害があっても買いたい」と思う買い手は少ないため、通常の家より売却の難易度は高くなる可能性があります。
買い手がついたとしても、シロアリ被害を理由に値下げ交渉され、安値で売却するケースもあります。
なるべく高く売りたい、スムーズに売りたいという場合には、次のような方法を講じてみてはいかがでしょうか。
- 古家付き土地として売る
- 建物を解体し、更地にして売る
- シロアリを駆除し、修繕して売る
1つずつ解説していきます。
古家付き土地として売る
古家付き土地とは、建物に価値を付けず、土地に建物をおまけで付ける売り方です。
売り主側のメリットとして、修繕や解体に費用がかからないことが挙げられます。
中古物件としては買い手が付かなくても、建物価格が値引きされた分、DIYなど、建物を何らかの形で利用したい買い手に需要が生まれる可能性があります。
手間をかけたくないが、なるべくスムーズに売却したいという人に向いています。
建物を解体し、更地にして売る
シロアリ被害の影響があるのは建物部分であるため、家屋を解体して更地にすれば売却しやすくなります。
新築希望の買い手にも需要が高まり、立地など条件が良ければ高値で売れる期待も。
ただし、解体には費用がかかり、例えば木造30坪の一戸建ての場合、90〜150万円ほどが相場です。
また、建物を壊すと「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」が適用されなくなります。
1月1日時点で家があれば、税金の負担が最大6分の1に軽減されるので、解体のタイミングにも注意が必要です。
解体すべきかの判断は難しい点もあるので、不動産会社とよく相談して検討しましょう。
シロアリを駆除し、修繕して売る
売却の問題点となるシロアリを駆除し、被害を受けた部分を修繕すると、通常の売却価格に近い金額で売れる可能性があります。
きちんと改善したと示すことで、買い手の不安を解消し、居住に問題ないなら購入したいという希望者の幅を広げられるからです。
巣穴に殺虫剤を散布するなど自分で駆除を行うとシロアリが逃げてしまう恐れがあるので、専門家である駆除業者に依頼することをおすすめします。
駆除の費用は、使用する薬剤や家の広さなどにもよりますが、1坪あたり5,000円〜1万円ほどが相場です。
業者によってもかかる金額は違うので、複数社に見積もり依頼し、サービス内容や価格を比較すると良いでしょう。
シロアリ被害を受けた柱や梁の交換など、修繕にも費用がかかります。
家の傾きは大掛かりな工事を必要とするので、費用も高額になるケースがほとんど。
家が売却できても、修繕費用を含むと赤字になる可能性もあることを知っておき、複数の修繕業者に査定を依頼しましょう。
修繕費用やシロアリの駆除費用(予防対策の費用は除く)は、業者発行の領収書など金額を示す書類を添付して確定申告すると、「雑損控除」の対象として総所得金額から差し引くことができますよ。
不動産会社に直接買い取ってもらう方法も
不動産売却には、不動産会社に買い手を探してもらう「仲介」が一般的ですが、不動産会社に直接売却する「買取」という方法もあります。
シロアリ被害などといった不具合がある住宅(欠陥住宅)の買取をしている不動産会社がありますので、探してみることをおすすめします。
不動産会社は買取後、リフォームなどを行なって再販するのが一般的なので、売り主が解体や修繕などの負担をせず、現状そのままの状態で買取してもらえるメリットがあります。
買取は仲介での売買よりも安くなる傾向がありますが、シロアリ被害といった通常より条件が悪い物件でも、物件の状態や需要によっては一般的な仲介の取引より高く買い取ってもらえるケースも。
なにより、すでに買い手がいるので売却までスムーズです。
手間をかけずに売却したいという人は、買取を扱う不動産会社に相談してみましょう。
買取のほか、欠陥住宅の売却方法は「欠陥住宅は売却できる?売却方法や注意点を詳しく解説!」でも解説していますので、ぜひあわせて参考にしてください。
シロアリ被害のある家を売却する際の注意点
シロアリ被害は、住宅の大きな「瑕疵(かし)」に当たります。
瑕疵とは、居住用の建物としての耐久性、耐震性など、あるべき機能や品質を損なう欠陥のことです。
そのため、シロアリ被害のある家を売却する際は必ず、被害がある事実を買い主に告知しなければいけません。
シロアリ被害があるのに故意に隠した場合、買い主に「契約不適合責任」を問われる可能性があります。
「瑕疵を知っていれば購入しなかった」と責任を問われると、損害賠償や契約解除などを請求される恐れも。
売買契約時には、雨漏りやシロアリ被害の有無などを記入した「物件状況等報告書(告知書)」を買い主に提出します。
被害報告はもちろん、予防工事や駆除・修理をした履歴を詳しく記入し、問題点を余さず伝えることが、将来のトラブル回避につながります。
まとめ
●シロアリの発生は、建物耐久性・耐震性を大きく損ねる原因に。寒さに耐性を持つ種類もいるので、羽アリが周囲にいないかなど、シロアリ発生の予兆・サインを見逃さないことが大切です。
●シロアリ被害があっても家の売却自体は可能ですが、通常の取引よりも買い手が少ないことが予想されるため困難です。古家付き土地として売ったり、解体して更地にしたり、シロアリを駆除して、ダメージを負った部分の修繕を検討してみても良いでしょう。手間をかけずに早く売りたいなら、不動産会社に直接売却する「買取」も手段の一つです。
●シロアリ被害は瑕疵に当たるので、買い主への告知が必要です。告知を怠ると契約不適合責任を問われ、損害賠償などを求められる恐れがあります。
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著者
石狩店 古木 篤広過去の経験や知識を活かして、お客様のお悩みや不安を解消する、最善と思われるご提案をさせていただきます。 お住替えや不動産売却などのお取引を通じて皆様のお役に立てるよう頑張ります。 不動産に関するご相談お待ちしております。
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