不動産売却のコツ2022.02.17
親が亡くなった後の二世帯住宅の問題。親世帯の部分はその後売却?賃貸?ひとまず保留?
かつての日本では、両親と同じ屋根の下で子世帯も同居をするという住まいがスタンダードでした。
その後、時代の変化と共に、家族の在り方も変化を遂げ、現在は核家族化が進行しています。
減少傾向にあると言われる二世帯住宅ではありますが、二世帯住宅に住むことで、親世帯・子世帯それぞれがお互いを支え合うことができ、また間取によってプライバシーの確保も保てるのはメリットの1つでもあります。
そんな二世帯住宅においてリスクとして挙げられるのが、親が亡くなり親世帯部分が空室になってしまうというケースです。
本記事では、空いてしまった世帯分を1売却、2賃貸、3ひとまず保留をする場合について解説しています。
また、二世帯住宅の中には大きく分けて3つの種類の間取りに区分けされており、空いた世帯をどうするかの問題に直結します。
まずは、二世帯住宅の3種類の間取りをご説明していきましょう。
二世帯住宅の3種類の間取り
間取りの種類は大きく分けると3種類になります。
1:完全分離型
2:部分共有型
3:完全同居型
1:完全分離型
完全分離型とは、玄関、水回りなど共有するスペースはなく、お互いに独立をした空間を保つ形の二世帯住宅です。
メリットの最大ポイントは、3種類の中で最もプライバシーの確保ができるという点です。一緒に住んでいるという感覚より、マンションのお隣同士というイメージに近いでしょうか。
完全分離型は後に説明をする賃貸として募集をするにも一番適しているタイプとなり、売却も3種類の中ではしやすい傾向にあります。
2:部分共有型
部分共有型は、住宅の一部分のみを親世帯と子世帯で共有をするという種類となります。例えば、玄関は1つにしたり、水回りのみを共有したり、リビングを共有するなど、ご家族がどの程度、共有したいかによってバリエーションを変えることができます。
お互いの暮らしを尊重しながら、家事育児などをうまく支え合うことが可能なタイプと言えるでしょう。
3:完全同居型
1つの住宅を全て共有をする住宅が完全同居型となります。お互いの世帯が同居をしているのを一番感じることができるのは完全同居型ではないでしょうか。
また工夫次第で住宅内でプライベートを確保することもできます。
ただし、売却をする場合、一般的に求められる間取りは4LDKとなり、仮に部屋数の多い間取りを全部売却するとなると長期戦となる可能性もあります。
親が亡くなったら?二世帯住宅はその後どうする?
親の年齢にもよりますが、高齢な親を持つ場合、どうしても子世帯よりも先に親世帯が亡くなってしまうリスクが高くなります。
親世帯が先に亡くなってしまったら、親が住んでいた部分はどのように対処すれば良いのでしょうか。
片方もしくは全部を売却する
親世帯が亡くなってしまった場合、居住スペースの余剰から管理の負担が増える場合も多いため、親世帯が住んでいた部分もしくは家全体を売却してしまうという選択肢があります。
ただし、通常の住宅に比べて二世帯住宅は広さ、価格、間取りといった条件の関係で売却が難しいとされています。
二世帯住宅には完全分離型、部分共用型、完全同居型の3つのパターンがありますが、部分共用型や完全同居型は現代人のライフスタイルの理想からは外れてしまいがちですので、特に売却が難しいかもしれません。
その点、玄関から水回りの設備などが全て2つずつある完全分離型であれば、親世帯との同居はもちろん、兄弟との同居も視野に入れやすくなり、買い手が付きやすい傾向にあります。
空いたスペースを賃貸にする
空いた親世帯の部分を賃貸にするのも一つの方法です。
完全分離型であれば、いわば何もかも別となっていますので、そこに他人が入居しても実質問題はありません。
敷地内同居とはなりますが、玄関も別であればあまり顔を合わせることがありませんので、条件によっては借り手が付きやすいです。
ひとまず保留しても良いが相続は確実に
親世帯との思い出が詰まっているスペースをそのまま残しておきたいという方もいらっしゃるかもしれません。
そういった場合、ひとまず「保留」という選択肢になりますが、そこで問題となるのが相続です。
もし同居していた子世帯に名義変更されていれば問題は起こりませんが、万が一名義変更されていなかった場合、兄弟がいればトラブルの元となることがあります。
兄弟が「相続分をしっかりと等分してほしい」と言い出したら断る術はないので、遺産分割協議を行い、しかるべき行動を取る必要があります。
そうならないためにも、名義変更をしておくか遺言書に親の意志を反映しておくことをおすすめします。
日ごろからの話し合いが重要!
世代や価値観が違う世帯が同じ家で生活する二世帯住宅では、将来のリスクに備えて、「その後どうするか」という事を日ごろからしっかりと話し合っておく必要があります。
兄弟がいる場合は、必ず兄弟も交えて相続時にトラブルが起こらないようにしましょう。