土地や空き家のこと2025.11.04

不動産売却で地目変更は必要?手続きの流れや注意点も解説

こんにちは。イエステーション北章宅建 美唄店の前平です。

土地の売却を考えている中で、「地目を変更したほうが良いのだろうか?」「手続きが複雑そうで不安…」と感じていませんか?

地目は「土地がどのような用途で使われているか」を示す大切な情報で、売却時の価格・買い主の利用目的・住宅ローンの可否などに影響する重要な要素です。

ただし、必ずしも全てのケースで地目変更が必要になるわけではなく、状況によっては変更せずに売却できる場合もあります。

そこで今回のコラムでは、不動産売却時に地目変更が必要なケース・不要なケース、手続きの流れや必要書類をご紹介。
地目変更を行う際の注意点と、不動産売却を有利に進めるコツも解説します。
区画

 

そもそも地目とは?主な地目の種類を解説

地目(ちもく)とは、土地がどのような用途に使われているかを示す情報のことです。

厳密には、次の2種類に分かれます。

  • 登記地目:登記簿に記載されている地目
  • 現況地目:現在、その土地が実際にどう使われているかを表す地目

そして「地目変更」とは、登記簿に載っている「登記地目」を現況に合わせて変更する手続きのことを指します。

 

不動産売却に関係する主な地目の種類

地目は全23種類ありますが、不動産売却の場面で特に関係するのは次のようなものです。

  • 宅地:建物の敷地として使う土地
  • 田:水を使って耕作する農地
  • 畑:水を使わず耕作する農地
  • 山林:木・竹が自然に生育する土地
  • 原野:雑草が生えるなど、自然のまま利用されている土地
  • 雑種地:駐車場・資材置き場など、他の地目に当てはまらない土地

雑種地については「雑種地の売却を解説。土地の特徴や売却のコツをわかりやすくご紹介」で解説しています。

 

売却時に地目が重要になる理由

売却時に地目が重要になるのは、地目によって土地の利用可能用途や取引条件、評価の基準が大きく変わるためです。

特に下記3つの観点で、不動産売却に直接影響します。

  1. 売却価格に影響する
  2. 買い主の利用目的に影響する
  3. 税金の負担や評価に影響する

 

①売却価格に影響する

地目が違うと、土地の評価額の基準が変わります。

  • 宅地:需要が高いため評価額が高くなりやすい
  • 農地・原野:利用者が限られるため評価額が低くなりやすい

つまり、同じ広さの土地でも、登記地目によって査定額が大きく変わることもあるのです。

 

②買い主の利用目的に影響する

地目が「買い主の土地の利用目的」に一致していないと、下記の点により売却がスムーズに進みにくくなります。

  • 地目が「田・畑」のままだと、一般の人はそのまま住宅を建てられない
  • 雑種地や山林の場合、宅地として利用するには造成や許可が必要になる
  • 農地は農家でないと買えないケースが多く、買い主の選択肢が限られる

そもそも住宅を建てる予定の買い主の場合、地目が宅地でない土地は住宅ローンの審査に通りにくい傾向があるため、買い手が見つかりにくくなる可能性もあります。

 

③税金の負担や評価に影響する

地目によって税金の評価方法が異なるため、固定資産税・都市計画税・相続税・譲渡所得税などの金額が変わる可能性があります。

また、登記地目と現況が異なると、税務手続きで時間がかかることもあるため、売却前に整えておくことが望ましいです。

 

不動産売却で地目変更が必要になるケースとは?変更せずに売却できるケースも確認

地目は、不動産の売却価格、買い主の利用目的、税金などに影響します。

ここからは、実際に不動産売却で地目変更が必要なケースと、変更せずに売却できるケースをご紹介します。

 

不動産売却時に地目変更が必要になるケース

地目変更が必要になるのは、主に次のような場合です。

  • 登記地目と現況が一致していない場合
  • 買い主の希望用途と地目が一致していない場合

まず、登記地目と現況が一致していない場合は、早めに変更手続きを行う必要があります。

不動産登記法では、土地の地目や地積など、表示に関する事項に変更があった場合は、1カ月以内に変更登記を申請する義務が定められているためです(不動産登記法第37条)。

この義務を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります(不動産登記法第164条)。

そのため、下記のようなケースでは地目を整えておくと、売却がスムーズに進みやすくなります。

  • 実際には住宅が建っているのに、登記地目が「田・畑」になっている
  • 地目が畑や山林だが、買い主は住宅利用を希望している

 

地目変更を行わなくても不動産売却できるケース

以下のような場合は、地目変更を行わなくても売却できる可能性があります。

  • 登記地目と現況が一致しており、用途にも問題がない場合
  • 買い主が地目変更を行うことを前提に購入する場合
  • 現況のままの地目で買い主ニーズに合っている場合(駐車場・資材置き場など)

このように、登記地目と現況が一致していて、買い主の用途にも支障がない場合は、地目変更を行う必要はありません。

ただし、用途が限定される土地では、売却先が限られることがあります。
購入後のトラブルを避ける意味でも、不動産会社などのプロに相談しながら判断するのがおすすめです。

 

不動産売却時の地目変更の流れと必要書類

地目変更登記は、所有者自身で行うことができます。

ただし、農地から宅地への変更をする場合や、測量が必要なケースもあり、手続きが複雑になることも多いため、専門家である土地家屋調査士への依頼がおすすめです。

依頼報酬として、土地一筆あたり5〜6万円程度かかるものの、時間短縮やミス防止につながります。

 

地目変更の一般的な流れ・必要な書類を確認

地目変更は、一般的に次のような流れで進みます。

 

①現況確認(登記内容と実際の利用状況を照らし合わせる)

まず、登記地目と現況地目に不一致があるかを確認します。

 

②測量・境界確認(土地の範囲を正確に把握する)

必要に応じて、土地の境界や面積をはっきりさせるために測量を行います。

特に古い土地・境界が曖昧な土地では、申請後のトラブル防止のために重要です。

 

③申請書類の作成し、法務局へ申請する

地目変更登記申請書を作成し、土地の所在地を管轄する法務局に申請します。

 

申請に必要な書類
必要書類は以下の通りです。

  • 地目変更登記申請書
  • 登記原因証明情報(例:農地転用許可書など)
  • 公図の写し
  • 現況を示す図面や写真
  • 委任状(代理申請の場合)

 

登記申請にかかる費用
地目変更の登記申請に際し、登録免許税はかかりません。
自分で手続きを行う場合は、必要書類の取得費用や法務局などへの交通費など、実費のみが必要です。

※司法書士など専門家に代理申請を依頼する場合は、別途報酬がかかります。

 

④登記完了(登記完了証の受け取り)

審査が終わると登記が完了し、「登記完了証」が発行されます。

申請から登記完了までは、1〜2週間程度が目安です。

 

地目変更を行う際の注意点は?不動産売却を有利に進めるコツや準備も紹介

TIPS
地目変更を行う際には、いくつか押さえておきたい注意点があります。

不動産売却を有利に進めるコツ、トラブル回避のためにしておきたい準備についてもご紹介します。

 

地目変更を行う際の注意点

地目変更に関して、次の3つの注意点を知っておきましょう。

  • 変更手続きには「地目が変わった日から1カ月以内に申請を行う」という期限がある
  • 農地から宅地などにする場合は「農地転用許可」が必要になる
  • 農振農用地(農業振興地域の農用地区域)は原則転用不可のケースがある

特に気を付けたいのが、地目が「田」や「畑」の土地を宅地として利用したい場合など、農地を農地以外に変更する場合です。

地目変更手続きを行うには、「農地転用許可」を農業委員会(または都道府県知事)から得ておく必要があります。

農地の売却・転用は専門的な手続きが多いため、早めに土地家屋調査士や不動産会社に相談すると安心です。

農地転用については「農地を売却する方法とは?手続きの流れと売買の条件を解説」で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご参照ください。

 

地目変更が必要な不動産売却を有利に進めるコツ

売却を成功させるために、下記のポイントも押さえておきましょう。

 

①適正価格を把握するために複数社へ査定依頼する

同じ土地でも、不動産会社によって見立てが違う場合があります。

複数社の査定を比較すれば、適正な売却価格の目安がつかめ、「高すぎて売れない」「安く売りすぎる」といった失敗を防ぐことができます。

 

②地目変更や農地転用に詳しい不動産会社を選ぶ

地目変更が必要な不動産売却は、一般的な売却よりも確認事項が多くなります。

経験豊富な会社・担当者なら、最適な売却方法の提案や必要書類の段取り、土地家屋調査士などの専門家との連携といった部分までスムーズに対応してくれるでしょう。

また、査定時に複数社を比べて、誠実な対応であったか、査定額の根拠をきちんと説明してくれたかなどを確認し、信頼できる不動産会社を選ぶことも大切です。

不動産会社の選び方は、「不動産売却時の査定は何社に依頼する?不動産会社の選び方も」で詳しくお伝えしています。

 

トラブル回避のための準備

不動産売却において、地目変更が必要な場合は、トラブル回避のために事前準備をしっかり行うことが大切です。

  • 事前に登記地目と現況の一致を確認しておく
  • 必要な書類や手続きを早めに整理する
  • 地目の状態や変更予定について、買い主に正確な情報を共有し、契約書にも明記する

「登記簿に記載されている地目」と「実際の利用状況」が一致していないと、契約時にトラブルや価格交渉の要因になりやすいため、早めに地目変更手続きを済ませておくと安心です。

そして、地目変更が必要とわかった時点で、必要な書類をリスト化し、不足がある場合は早めに入手を進めておくとスムーズです。

また、地目変更する・しないに関わらず、地目について買い主と共有しておくことが、売却後のトラブル回避に役立ちます。
売買契約書に、地目変更の有無や引渡しまでの対応内容を明記することも効果的です。

 

まとめ

●地目とは土地の利用状況を示す情報のことで、売却価格・需要・税金に影響する
地目は土地の利用状況を示す基本情報であり、登記地目と現況地目のどちらになっているかで、売却価格・需要・税金の扱いが変わります。

●不動産売却で地目変更が必要なケース不要なケースを正しく理解しよう
例えば、登記地目と現況が異なる場合、早めに地目変更が必要になります。
買い主の利用目的に合わない場合は、地目を整えておくと売却がスムーズに進みやすくなるでしょう。
登記地目と現況が一致していて用途にも問題がない場合や、買い主が地目変更をすることを前提に購入する場合は、変更する必要なく、そのまま売却が可能です。

●不動産売却時の地目変更手続きは計画的に進める
地目変更は自分でも行えますが、複雑な場合は土地家屋調査士など専門家への依頼も検討しましょう。

●不動産売却時には、トラブル回避のため事前準備と情報共有が重要
売却前には地目の状態を確認し、必要書類を整理しておくことがトラブル回避のために大切です。
地目変更や農地転用に詳しい不動産会社を選ぶことが、売却成功の大きなポイントとなります。

北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
空き家に関する相談や無料査定、相続問題など、どんなことでもお気軽にご相談ください。

 

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不動産売却で地目変更は必要?手続きの流れや注意点も解説

美唄店 前平 竜斗土地の売却をお手伝いさせて頂く際は仲介販売がメインとなります。売却に関する相談や不動産査定、仲介販売開始から成約までにかかる広告費用はすべて無料となっています。不動産の売却を行った事が無い為、解らない事が多くて不安という方は、是非弊社までお気軽にお問い合わせください。

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