土地や空き家のこと2022.04.14
空き家を無償譲渡したい。注意点や相談先は?
空き家は所有しているだけでも税金などの費用がかかり、手入れや管理し続ける必要があります。そのため、将来的にも使用予定がなければ売却を考える人もいるでしょう。
しかし、なかなか買い手がつかずに売却することができないままというケースも珍しくありません。
このように、空き家の処分に困っている場合には無償での譲渡という選択肢も考えられます。
無償譲渡とは、金銭のやりとりが発生する売買ではなく、「無料で不動産を譲る」ということです。
個人間を始め、不動産会社が無償譲渡を受け付けてくれる場合もあります。
今回は、空き家を無償で譲渡するケースについて、注意点や相談先をご紹介します。
空き家を無償譲渡する方法とは?
空き家を無償譲渡する方法と譲渡先は次の3つとなります。
①不動産会社に無償譲渡
下記のようなケースでは不動産会社が空き家を無償で譲り受けてくれることもあるようです。
古い空き家の場合、不動産会社が転売するには建物を取り壊して更地にする必要があります。
更地として売却する価格が、空き家を取り壊す解体費用を上回り、収益が出そうな場合には不動産会社が譲渡を受け付けてくれるケースとなる可能性が見込めるでしょう。
②個人間での無償譲渡
不動産会社で譲渡を受け付けてもらえなかった場合、知人や近隣の事業者に譲渡の話をしてみるのも一つの方法です。
単純に無償で土地が手に入るなら、個人・法人を問わず、ほしいという相手方が見つかるかもしれません。
③空き家バンクでの無償譲渡
空き家バンクとは、地方自治体が運営する空き家専門の情報サイトです。
不動産会社で譲渡ができなかった時や、個人間・近隣でも難しい時には、ぜひ活用を検討してみて下さい。
ユーザーは安い空き家を求めてサイトを見にくるため、無料であれば可能性はあるでしょう。
無償譲渡でも税金がかかる場合があります
無償での譲渡なので税金がかからないと思っている方も多いとは思いますが、譲渡する関係によって売り主にも税金が発生します。
①個人から個人への無償譲渡の場合/売り主:非課税、買い主:贈与税
②個人から法人への無償譲渡の場合/売り主:所得税、買い主:法人税
③法人から個人への無償譲渡の場合/売り主:法人税、買い主:所得税
④法人から法人への無償譲渡の場合/売り主:法人税、買い主:法人税
こちらの4つの例を見ていると、無償なのになぜ所得税が発生するのか気になるところでしょう。
この場合、無償での譲渡とはいえ、時価で売却したものとみなされ「みなし譲渡所得」が発生します。
計算式としては、「譲渡所得 = 時価 ― 取得費 ― 譲渡費用」として算出。
取得費は物件を購入した際の価格で、土地は購入費ですが、建物は購入費から減価償却された価格です。
譲渡費用は、印紙税や建物を取り壊す場合の解体費用などが当てはまります。
時価よりも取得費や譲渡費用が上回っていれば、譲渡所得が発生することはありません。
また、不動産会社が無償譲渡を受け付けてくれない場合には、時価が限りなくゼロに近いという可能性もあります。
また①のような場合は、贈与にあたり贈与税が発生します。
売り主側は非課税ですが、譲渡された側には贈与税が発生するので、個人間のトラブルにならないよう事前に説明しておくと安心でしょう。
また、個人間での譲渡の場合は、贈与となるので不動産会社が間に入りません。
民法では「書面によらない契約」または「贈与の履行が終わっていない場合」には契約の解除が認められています。
特に他人との個人間で無償譲渡する場合、書面での贈与契約が確実で、トラブル回避にも役立つでしょう。
無償譲渡についての相談先
無償譲渡は手続きが煩雑なことが多いので、多岐に渡り、各専門家への相談が必要となります。
その分コストがかかりますが、後々のトラブルや「こんなはずじゃなかった」という予期せぬ事態を防ぐためにも、不明な点は専門家に相談しながら進めるのが安全です。
なお、下記にご紹介する各専門家は不動産会社と提携している場合もあります。ご自身で探す手間を省くには、一度不動産会社に相談してみるのも良いでしょう。
税金に関する相談:税理士
契約書や権利に関する相談:司法書士
契約上や隣地とのトラブルに関する相談:弁護士
維持費がかかる不要な空き家の場合は無償譲渡の検討を早めに
不動産は空き家であったとしても、所有しているだけで固定資産税や物件の管理費など費用が発生します。
将来的にも使用する見込みがない場合には、無償譲渡も視野に入れ、早期に手放すことを検討するのがおすすめです。
まずは査定を依頼して物件の価値を確認し、無償譲渡を考える場合には不動産会社に早めに相談するとよいでしょう。