ローンやお金のこと2021.12.25
住宅ローン減税の縮小が検討・・・不動産売却にはどう影響が出る?
不動産購入者にとって大きな負担軽減となっている「住宅ローン減税」。
しかし、2022年度税制改正により、住宅ローン減税の控除率が1%から0.7%に縮小する方針を固めています。
住宅ローン減税は、不動産市場の大きな下支えであるため、今後の影響が気になるところです。
では、住宅ローン減税が今回の改正でどのように変わってしまうのでしょうか。
今回は、住宅ローン減税の縮小がもたらす影響についてご紹介します。
住宅ローン減税がどう変わってしまうのか?
2022年税制改正により、住宅ローン減税がどのように変わってしまうのか覚えておきましょう。
今回変わってしまう大きなポイントは3つ。
①住宅ローン減税控除率1%→0.7%に縮小
②新築物件の対象期間を原則10年→13年に延長
③減税対象となる借入残高の上限額が4,000万円→3,000万円に変更
①の控除率と③の上限額は縮小されており、②の対象期間は延長されていますが、途中で売却するケースが多いため、すべてマイナスだと印象悪いので、ひとつだけでもプラスをいれたように見受けられます。
では、そもそも住宅ローン減税の改正はなにが原因なのでしょうか?
大きなポイントとされているのが、住宅ローン減税の節税が多くなる「逆ざや」についてです。
住宅ローン減税は、住宅ローンの抵抗を軽減させて不動産購入を促進するためのひとつの手法でした。
しかし、低金利の状況が続き、多くのケースが変動金利であれば1%を下回る水準です。
そのため住宅ローン減税の控除率よりもローン金利の方が低いため、利息よりも減税額の方が大きくなる現象となっていました。
これを「逆ざや」と言い、今回の控除率縮小でバランスがとられています。
政府としては、税金の使い方を調整したのでしょうが、一般消費者としては控除率が下がり厳しくなってくるでしょう。
住宅ローン減税縮小で考えられる影響とは?
住宅ローン減税縮小で、不動産購入をためらう人は一定数いるでしょう。
しかし、国としては低金利が続く以上、そちらのメリットの方が大きく、1%→0.7%の縮小であれば大きな影響はでないと踏んだ結果がこの改正です。
では、実際の控除額はどのように変わるのか見ていきましょう。
今までの控除額は、ローン残高上限最大4,000万円の控除率1%で、最大40万円の控除額でした。
今回の改正によりローン残高上限最大3,000万円に縮小され、その0.7%が最大控除額となるため40万円→21万円になります。
その差19万円の差額は非常に大きなデメリットとなるでしょう。
現在の制度の内容では、年収500万円以下の所得者の場合、控除する所得税や住民税が20万円にも満たないケースもあり、高収入層が恩恵を有利に受けやすい条件とも言われていました。
改正後の制度は、対象期間が3年伸びたことで、控除総額が現制度よりも増えるケースもあります。
住宅ローン減税縮小は中古物件が不利
今までの改正の説明は新築物件の条件です。
中古物件の場合は下記のように改正されました。
①住宅ローン減税控除率1%→0.7%に縮小
②新築物件の対象期間を原則10年のまま据え置き
③減税対象となる借入残高の上限額が2,000万円のまま据え置き
もともと新築物件に比べて良い条件ではありませんでしたが、今回の改正で控除率が縮小されて、その他でカバーはなく据え置きという条件です。
最大控除額は20万→14万に下げられ、期間は10年のままと不利な条件となっています。
新築物件の方が中古物件に比べて、経済影響が出やすいので考慮されたのでは?と推測されます。
購入者層が足踏みする可能性も
住宅ローン減税の縮小が検討され、不満の声が多く上がっています。
ただし、対象期間が伸びることで、長期的に見れば恩恵を受ける層もあります。
それも新築物件のみなので、中古物件の控除に対しては不利な条件が続いてしまうでしょう。