ローンやお金のこと2023.01.20

独身者は住宅ローンを組める? 知っておくべき審査ポイントと結婚後の注意点~後編

かつては結婚や出産を機に購入する人が多かったマイホーム。近年は「暮らしをより楽しむため」や「資産性」を考えて独身で住宅を購入する人が増えています。そのため住宅ローンを組む独身者も珍しくありません。

「独身者は住宅ローンの審査が厳しそう」と思われがちですが、実際に審査で重視されるのは「完済できるかどうか」という点です。家族構成や性別よりも、年齢や年収、健康状態や勤続年数などから、長期間安定した収入が得られるかどうかが審査のポイントになります。

今回は、独身者が住宅ローンを組む際の具体的な注意点について掘り下げます。

独身で住宅ローンを組む場合の注意点

未婚・既婚に関わらず住宅ローンを利用することはできますが、独身者には既婚者にはない注意点があります。

生命保険の加入には万全を期して

前回の記事で解説した通り、住宅ローンの利用にあたっては団体信用生命保険(団信)への加入が義務付けられています。しかし団信で対応しているのは、基本的に利用者の死亡や高度障害のみ。その他の病気でローン返済ができなくなっても残りの返済は免れません。
団信でカバーできない「もしも」の時のために、ガンや脳卒中などに対応できる「三大疾病特約」や、さらに広範囲の病気に対応する「八大疾病特約」を付加しておくという手があります。万が一の備えは万全にしておきましょう。

保証人が必要なこともある

住宅ローンを組む時は保証会社に申し込み、加入します。返済ができなくなった時は、保証会社が残債を肩代わりする仕組みになっており、保証会社は担保の住宅を競売にかけて代金を回収します。
とはいえ、実際に競売にかけてみなければ全額回収できるかどうかは分からないもの。住宅ローン利用者が独身の場合は、収入が減ったり途切れた時にフォローできるパートナーがいない分、保証会社にとっては「貸し倒れ」のリスクが高いという点が心配です。そこで、保証会社が連帯保証人を求めてくるケースもあります。独身者は必ず連帯保証人が必要なのではなく、あくまでも保証会社の個別の判断によるものです。

保証人を求められるかどうかは、個々人の状況によります。ある金融機関では必要、別の金融機関では不要ということもあるので、事前審査は複数の金融機関で受けておく方が安心です。

ローン返済中に結婚した場合の注意点とは

独身時代に住宅ローンを借入し、その後に結婚するケースもあるでしょう。その場合のローンの扱いや注意点について見ていきます。

結婚後に物件の名義変更はできる?

自分が購入した物件を、結婚を機に夫婦の共有財産にすることがあります。
不動産の名義変更はローンとは直接関係がないため、手続きすることは物理的に可能です。しかし、住宅ローン返済中の物件については抵当権が設定されているため、勝手に名義変更することはできず、金融機関の許可が必要です。もし無断で名義変更を行うと、万が一金融機関に知れた場合は、契約違反としてローンの一括返済を求められる可能性があります。不動産の名義変更を住宅ローンの名義変更と一緒に進められるかどうかは、借入先の銀行に直接相談してみましょう。

また、住宅ローンの名義は自分単独のままで不動産の名義(所有権)を共有にすると、配偶者への贈与とみなされ、贈与税の対象になりますので気をつけましょう。

【補足】旧姓からの名義変更について
結婚により名字が変わったら、通帳や住宅ローン契約者の名義変更届が必要です。また住宅に抵当権が設定されていますので、登記の所有者名義も旧姓から現姓へ速やかに変更する必要があります。

結婚後、ローンを配偶者名義で借り換えできる?

独身時代に組んだ住宅ローンを、結婚後に「金利が下がったから借り換えたい」というケースもあるでしょう。この場合、自分ではなく配偶者の名義で借り換えるつもりなら、注意が必要です。
借り換え自体は金融機関の審査に通れば可能ですが、ここでも贈与税の問題が発生します。例えば住宅の名義は妻、ローンの名義を夫に変更するとなれば、住宅は「夫から妻への贈与」とみなされるためです。贈与と判断されないためには、借り換えと同時に住宅の所有権も夫に移さなければなりません。

しかし実際のところ、名義変更を伴う借り換えはほとんどの金融機関が消極的。審査に通らないか、そもそも審査自体を受け付けてもらえないことが多いです。

結婚を機に住み替えはできる?

結婚後は間取りや立地などの面で事情が変わることから、別の物件に住み替えたいという希望も出てくるでしょう。その場合、住宅ローン返済中の物件は、「売却」か「賃貸に出す」という二択が思い浮かぶと思います。
売却は、ローンの残債があっても可能です。その場合、残債は売却代金からまとめて支払うことになります。売却価格が残債に満たないオーバーローンの場合は、不足分を自己資金でまかなえば問題ありません。

一方で、賃貸は、住宅ローンが残っている限り認められません。住宅ローンは「自分が住むための家を買う資金を融資する」という契約だからです。他人に貸し出すにはローンを完済していることが絶対条件のため、もし無断で賃貸に出したことが発覚すると、契約違反として一括返済を求められます。

まとめ

独身でも、住宅ローンの審査基準を満たしていれば借り入れは可能です。審査で重視されるのは家族構成や性別ではなく、完済時年齢や健康状態、担保評価、年収、勤続年数といった項目。つまり肝心なのは「完済できる能力があるかどうか」という点です。

独身というだけで審査が厳しい・通らないということはありませんが、独身だからこその注意点もあります。特に、住宅ローン返済中に結婚し、名義変更や住み替えの必要が生じた場合は、慎重な対処が必要な事柄もありますのでしっかり覚えておきましょう。

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著者
独身者は住宅ローンを組める? 知っておくべき審査ポイントと結婚後の注意点~後編

札幌手稲店 野口 祥子

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