不動産に関する手続き2025.06.17

不動産売買の決済は売主不在でも大丈夫?対応方法や注意点を解説

こんにちは。イエステーション北章宅建 小樽店の柴田です。

「不動産売却の決済日、どうしても仕事で立ち会えそうにない…」
「遠方に住んでいるから、出席が難しい」

そんな悩みをお持ちではありませんか?

実際に、体調の都合、地理的な制約、スケジュールの調整が難しいなどの理由から、売主が決済日に立ち会えないケースもあるでしょう。

そこで今回のコラムでは、不動産売買の決済において売主が不在でも対応可能な方法や、不在で行う際の注意点について詳しく解説します。
売却を検討中の方は、ぜひご参考にしてください。
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不動産売買の決済で売主の立ち会いが必要な理由から確認

不動産の売買における「決済」とは、売買代金の支払いと所有権の移転が同時に行われる、最も重要な手続きです。

決済当日の主な流れは以下のとおりです。

1.司法書士が登記関係の書類をチェック
2.所有権移転登記の申請手続き
3.売買代金の支払い、固定資産税などの精算
4.不動産会社へ仲介手数料の支払い
5.売主の住宅ローン返済と、返済に伴う抵当権の抹消登記手続き
6.鍵を渡して引き渡し完了

 

では、なぜ不動産の売買の決済時に、売主本人の立ち会いが求められるのでしょうか。

その理由は、決済時に行う重要な作業の多くが、売主本人でなければ対応できない、あるいは本人がその場にいることでスムーズかつ安全に進行するためです。

ここからは、売主が決済時に担う代表的な作業について紹介します。

 

作業① 司法書士による本人確認と意思確認

司法書士による本人確認・意思確認は、売主本人が「この物件を自分の意思で売却する」と明確に認めていることを、面前で確認する法的手続きです。

これは、不動産登記法に基づく法的義務であり、なりすましや不正売却の防止を目的としています。

売主本人がその場にいなければ、司法書士は確認作業を行えず、登記申請を進めることができません。

その結果、所有権の移転ができず、決済自体が完了しない可能性もあるため、非常に重要なポイントといえます。

 

作業② 登記書類への署名・押印および内容の最終チェック

登記書類や売買契約書の内容確認、振込先口座のチェックなどは、事前にやり取りしていたとしても、最終確認で思わぬミスや認識のズレが見つかる場合もあります。

売主がその場に立ち会っていれば、即時に訂正や説明が可能となり、手続きの遅れやトラブルを防げます。

 

作業③ 売買代金の受領確認と領収書の発行

売主が直接立ち会い、売買代金の入金をその場で確認できます。
振込名義の間違いや入金漏れといったトラブルも、すぐに対応できるため安心です。

また、領収書の発行もその場でスムーズにできるため、買主側の安心感にもつながります。

 

作業④ 鍵の引き渡し、設備・近隣情報の申し送り

立ち会いの場で売主が鍵を直接引き渡すことで、不動産の引き渡しが確実に行われたことの証明にもなります。

また、ゴミ出しのルールといった近隣情報の申し送り、ご近所付き合いの注意点など、売主だからこそ伝えられる生活情報も、その場で共有することができます。

このように、売主本人の立ち会いは、法的・実務的な観点からも非常に重要な意味を持っているのです。

なお、決済当日の具体的な進行や準備については、「不動産売却の決済の流れは?売主がすべきことや必要書類、注意点も」で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

 

不動産売買の決済は売主不在でも対応は可能?

「どうしても決済当日に立ち会えない…」というケースでも、代理人を立てることで、売主不在のまま決済を進めることは可能です。

ただし、決済手続きをスムーズかつ確実に行うためには、事前にいくつかの準備が必要です。

ここでは、代理人を活用して決済を行う場合の基本的な流れを、順を追ってご説明します。

 

① 代理人を決める

まずは、決済に立ち会ってもらう代理人を選びます。

一般的には、家族や親族、もしくは司法書士など、信頼できる人物に依頼します。

※代理人を選ぶ際の注意点は、次のブロックで解説します。

 

② 司法書士による本人確認・意思確認を受ける

たとえ代理人を立てて売買契約・決済を進める場合でも、売主本人が司法書士による「本人確認」と「売却の意思確認」を受ける必要があります。

これは不正防止のために法律で定められており、登記を行う上で欠かせない手続きです。

具体的な確認方法は司法書士によって異なりますので、早めに司法書士に連絡して段取りを相談しておくことが大切です。

 

③ 委任状を作成する

代理人に売却手続きを任せるには、委任状の作成が必要です。

定められた様式はありませんが、以下の内容を網羅していることが望ましいです。

【委任状に記載すべき主な項目】

  • 不動産売却を代理人に委任する旨の記載
  • 売却する物件の情報(住所、地番、地目、地積、建物の種類・構造・床面積など)
  • 売却条件(売却価格、手付金、引き渡し予定日など)
  • 委任する範囲(媒介契約、売買契約、代金受領、物件引き渡しなど)
  • 「委任状に記載のない事項については委任者と協議する」といった文言
  • 委任の有効期間
  • 書面日付、委任者・代理人の住所氏名、実印の押印

また、あわせて委任者・代理人双方の本人確認書類の準備も必要になります。

  • 委任者:住民票、印鑑証明書、実印
  • 代理人:本人確認書類(運転免許証など)、印鑑証明書、実印

委任状の作成については、「不動産売却で代理人を立てるケースとは?委任状の作成方法や注意点も」で詳しく説明していますので、ぜひあわせてご覧ください。

 

④ 必要書類を代理人に託す

代理人がスムーズに決済を行えるように、売主が用意すべき必要書類を事前に全て揃えて渡しておきます。

【必要な書類の例】

  • 登記識別情報(権利証)
  • 本人確認書類(運転免許証のコピーなど)
  • 印鑑証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 売買契約書の控え など

書類に不備があると、当日の決済が進められず、買主側に迷惑がかかる可能性もあります。
あらかじめ不動産会社や司法書士に確認しておくと安心です。

また、決済当日に振込が遅れないよう、売主名義の口座には必要な残高が入っているかも必ずチェックしておきましょう。

 

⑤ 代理人が決済に参加する

決済当日、代理人が司法書士や買主側とやり取りし、登記申請・代金確認・鍵の引き渡しなどの手続きを代行します。

 

不動産売買の決済を売主不在で行う場合の注意点

注意点
代理人を立てて売主が不在のまま決済を進めることは可能ですが、準備や連携を誤るとトラブルの原因になります。
ここでは、スムーズかつ安全に手続きを進めるために注意すべきポイントを解説します。

 

ポイント① 委任状の記載内容は十分に確認を行う

委任状は、代理人に任せる手続きの範囲や売却条件を明記する重要な書類です。

前のブロックでご紹介した項目に沿って正確に記載し、記入漏れや誤記がないかを必ず確認しましょう。

特に、売却条件などが未記入の「白紙委任状」は、トラブルの元になるため厳禁です。
空欄のままにしておくと、あとから勝手に条件を追加されるリスクがあります。

なお、文末には「以上」などを記載し、内容を勝手に書き足されないようにする工夫も重要です。

 

ポイント② 書類の有効期限や内容に注意する

売主本人の印鑑証明書や住民票には有効期限(通常3カ月)がありますので注意が必要です。

有効期限が切れた書類を提出してしまうと、登記申請が受理されず、決済が延期になるおそれもあります。

また、登記識別情報や振込先口座情報なども、事前に司法書士や不動産会社と確認し、当日の混乱を防ぎましょう。

 

ポイント③ 信頼できる代理人を選ぶ

代理人には特別な資格要件はありませんが、誰を選ぶかは非常に重要となります。

一般的には、次のような人が代理人として選ばれることが多いです。

  • 家族(配偶者・子・兄弟姉妹など)
  • 親族(家族以外で身近な親戚)
  • 知人・友人
  • 不動産取引に明るい専門職(司法書士・行政書士など)

代理人に誰を選ぶかは自由ですが、トラブルを避け、手続きをスムーズに進めるためにも、重要なやり取りを安心して任せられる責任感と判断力のある人物を選びましょう。

特に、売買契約の署名、代金の受け取り、鍵の引き渡しなどを任せることになるため、「ただ立ち会ってもらえれば良い」といった安易な判断は避けるべきです。

また、専門職(司法書士など)に依頼する場合は、報酬が発生する点や、依頼範囲を明確にしておくことも重要です。

 

ポイント④ 申し送り事項を代理人へ共有しておく

売主が決済に立ち会えない場合、現地でのやり取りも代理人に任せることになります。

そのため、鍵の引き渡しや設備の使い方、生活ルールなどの申し送り事項も、事前にしっかり共有しておくことが大切です。

特に、以下のような点は伝え忘れが起こりやすいので注意しましょう。

  • 鍵の保管場所や渡し方、スペアキーの有無
  • 給湯器やインターホンなど設備の使い方や注意点
  • ゴミ出しのルール(曜日・分別・指定場所など)
  • 近隣住民との関係性(挨拶済みか、注意が必要なことなど)
  • 自治会加入の有無や回覧板など地域の決まり

こうした情報を丁寧に伝えておくことで、代理人が安心して対応でき、買主側も不安を抱かずに物件を受け取りやすくなるでしょう。

 

まとめ

●不動産売買の決済では売主の立ち会いが一般的
通常、不動産売買の決済には、司法書士による本人確認・売却の意思確認、登記書類の確認、売買代金の受領など、重要な手続きが同時に行われるため、売主本人の立ち会いが求められることが一般的です。

●売主不在でも「代理人委任状」で対応可能
やむを得ない事情で決済に立ち会えない場合は、信頼できる代理人を選任し、適切な委任状を作成することで対応が可能です。
ただし、売主不在の場合でも、事前に司法書士による本人確認・売却の意思確認が必要です。

●売主不在の場合は、慎重な準備と信頼できる代理人選定が重要
委任状の内容確認に加え、責任感と判断力を備えた信頼できる代理人を選ぶなど、事前の準備を丁寧に行うことが、トラブルを避け、スムーズに決済を進めるための鍵となります。

北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
空き家に関する相談や無料査定、相続問題など、どんなことでもお気軽にご相談ください。

 

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不動産売買の決済は売主不在でも大丈夫?対応方法や注意点を解説

小樽店 柴田 朋也健康には自信があります。平成24年より不動産業に従事しており、まだまだ勉強中の身ではありますが、持ち前の体力で日々向上心を持ちお客様と向き合い成長していきたいと思っております、お客様に満足していただけるサービス提供を心がけ仕事に打ち込みます。

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