税金のこと2021.10.12

土地の贈与税と税金対策を解説

土地の贈与や相続というものは、突然起こってくるものです。
何も知識がないまま贈与や相続をしてしまうと、逆に負担が大きくなってしまうケースも少なくありません。
また、贈与を受ける側だけでなく、贈与する側も適切な贈与ができるよう、知識を身に付けておくことが大切です。
今回は、土地の贈与税とその税金対策についてご紹介します。

土地の贈与税と課税方式

贈与税とは、土地だけに関わらずお金や株式など金銭的な財産をもらったときに発生する税金です。
その課税対象はもらった側となり、財産をくれた相手は問わず対象となります。
課税方式は、「暦年課税」と「相続時精算課税」の二つです。
贈与税の課税方式は1月~12月の間で受けた贈与額を、まとめて申告し納税。
これが「暦年課税」の方式となります。
不動産を贈与した場合には、原則として相続税評価額により税額が算出されます。
もうひとつが「相続時精算課税」。
こちらの場合は、60歳以上の贈与者から、20歳以上の人に財産を贈与した場合の方式です。
相続時精算課税は、累計2,500万円までの贈与額が特別控除されるため贈与税がかかりません。
ただし、特別控除額のいくらを適用し、いくら残っているかなど申告する必要があるので注意しましょう。
そして、贈与を受けた財産は、贈与者の相続が発生された際に相続財産となり相続税で精算することにします。
相続時精算課税の場合には、税務署への申告をすることが必須です。
さらに、相続時精算課税が適用された場合、暦年課税にも戻ることはできないので覚えておきましょう。

贈与税の計算方法

贈与税の計算方法は、贈与を受けた金額または評価額に税率をかけて算出されます。
暦年課税の場合には、年間で110万円の基礎控除があるため、それ以上の額に対して税率を掛けることになります。
税率は課税価格によって変動することになり最大で55%の税率です。
また、贈与を受けたものが20歳以上の子や孫の場合と、それ以外の場合とで税率も異なるので注意しましょう。

注意!このような場合も贈与税がかかります

贈与税の問題で、良く見落としがちなケースがあるので注意しましょう。

・明らかに安い価格で土地を購入したケース
土地など財産を譲り受けることだけが課税対象になるというわけではありません。
一例としてあげられるのが、相場よりも明らかに安い価格で土地を購入した場合です。
通常の相場でいけば3,000万円相当の土地ですが、親族から500万円で手に入れた場合は差額である2,500万円分の贈与をされたと見なされる場合があります。
この場合は、差額2,500万円の課税対象となります。
また、似ているような事例で親族の土地を子が無料で借りて家を建てるケースもあります。
このような場合は贈与ではなく、使用貸借と呼ばれ贈与税の対象にはなりません。

・土地を購入した借金が免除されたケース
土地を購入する際に、予算が足りずに親族から借金をすることもあるでしょう。
借金の場合は贈与ではないので贈与税の対象にはなりませんが、金銭の返済が証明できるように銀行口座などに返済を定期的にしていくことが大切です。
また、最初は返済をしていたけど、途中から返済をストップして免除となった場合は贈与税の対象となります。
返済の仕方も、「催促なくお金があるときに返済すれば良い」や「出世払い」などは、形上だけの貸借契約をみなされ贈与税がかかるので注意しましょう。

生前贈与することで税金対策に

贈与税の税額を軽減するために生前贈与が有効的です。
有効な生前贈与の方法を3つご紹介します。
① 相続時精算課税制度
上項にもでてきましたが、60歳以上の贈与者から20歳以上の人に財産を贈与した場合の方式であり、累計2,500万円までは特別控除されるため贈与税がかかりません。
しかし、贈与者の相続が発生された場合には相続税となるので注意しましょう。
② 配偶者控除
20年以上の婚姻期間がある夫婦には、自宅の土地を贈与する場合に2,000万円までを無税で贈与することが可能です。
③ 毎年110万円を複数回に分けて贈与
年間110万円までは贈与税がかかりません。
毎年110万円分の贈与をすることで、分割して贈与することが可能です。

事前に知識をつけましょう

土地の贈与税は大きな負担となるものですが、控除されるケースもあるため、やり方次第では節税も可能です。
突然の贈与や相続になる前に、しっかりと知識を身に付けて備えるようにしておきましょう。

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著者
土地の贈与税と税金対策を解説

札幌手稲店 野口 祥子

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