税金のこと2021.09.02
家を売ったら損した!税金の特例はあるの?
マイホームを買う時はもちろん、売る時も大きな生活の変化が起こるタイミングです。
家を売る時は不動産仲介業者に依頼をしますが、必ずしも売れるとは限りませんし、値下げしないと売れないなど、さまざまなケースが考えられます。
家を売って儲かった場合には税金が発生しますが、反対に損をしてしまった場合にはどうなるのか。
今回は、家を売って損をしてしまった「売却損」の税金についてご紹介します。
家を売ったら損をした!とはどのような状況か?
家を売って損をした!と聞いてピンとこない方も多いと思います。
わかりやすく言うと「家を売却した価格が、家を購入した時よりも安くなった」状況です。
購入した時よりも家は古くなるので、ほとんどの場合が購入時よりも安くなっているでしょう。
購入時よりも得をする場合は、そのエリアが再開発で一気に変わった場合や、経済的変化など特別なケースです。
できれば損をせずに売却をしたいものですが、簡単なことではありません。
しかし、その損をカバーするために税金の特例を活かす方法があります。
売却して損がでると税金はどうなるの?
家を売却して得をした場合は、売却益の収入があるとみなされ所得税や住民税などの税金が発生します。
では、売却で損をした場合には税金はどうなるのでしょうか?
税金のポイントを覚えておきましょう。
・損をしてしまった場合には税金がかからない
家を売却して損が出た場合には税金はかかりません。
さらに、場合によっては通常で納めている所得税や住民税に軽減措置が適用され、源泉徴収されていれば軽減税率分が戻ってきます。
ただし、注意点としては自ら確定申告で申告しなければ、税金の還付は適用されません。
このような税金の特徴を知っておくことも、家を売却する際の大きなポイントです。
売却損があるとこんな税金の特例がある
家を売却したあとに損がでてしまった場合の特例は2つあります。
どのような状況で売却したかによって、変わってくるので覚えておきましょう。
・住宅ローンの残債がある場合
住宅ローンが残った状態で売却損になった場合は、「特例居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」が適用されます。
その他の収入で所得税や住民税を支払っていると思いますが、その他の収入と売却損を合算することができ、所得税や住民税を減税することが可能です。
売却損が大きく、1年で相殺できなかった場合には最長3年まで繰り越すことができ税金を安くすることができます。
ここで言う控除額は、住宅ローンの残債から売却金額を差し引いて残った残債の額です。
例えば、住宅ローン残債2,000万円で、1,500万円で売却できた場合、差額の500万円が対象となります。
・特例を受けるための条件
「特例居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」が適用されるには、下記8つの条件を満たしている必要があります。
① 売却した年の1月1日の時点で、物件の所有期間が5年を超えていること
② 住宅ローンが10年以上残っていること
③ 売却した物件は日本国内のものであること
④ 自分が住んでいる家を売った場合であること。または、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却していること
⑤ 売却して残った額が、住宅ローンの残債よりも少ないこと
⑥ 親族や内縁関係以外の人に売却をしていること
⑦ 前年や前前年に3,000万円以上の控除、または譲渡に関わる特例を受けていないこと
⑧ 売却した前年の3年以内に、損益通算や繰越控除を使用していないこと
・住み替えで売却した場合
物件売却後、別の物件を購入予定の場合、「居住用財産の買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」が適用できます。
こちらは住宅ローンが残っていない方でも適用可能です。
住宅ローン残債があるケースと同様で、最長3年繰り越して税金を軽減することができます。
・特例を受けるための条件
「居住用財産の買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」が適用されるには、下記8つの条件を満たしている必要があります。
<売却物件の条件>
① 売却した年の1月1日時点で、物件所有期間が5年を超えていること
② 日本国内の売却物件であること
③ 自分が住んでいる家を売った場合であること。または、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却していること
④ 床面積50㎡以上であること
<買い替え物件の条件>
① 物件売却した年の、前年1月1日から翌年12月31日までに購入していること
② 床面積50㎡以上であること
③ 購入した年の翌年12月31日までに入居すること
④ 住宅ローンを10年以上で組んでいること
また、下記に当てはまる場合は特例が受けられないケースもあるので注意しましょう。
① 親族や内縁関係の人に売却をしているとき
②前年や前前年に3,000万円以上の控除、または譲渡に関わる特例を受けているとき
③売却した前年の3年以内に、損益通算や繰越控除を使用しているとき
④売却物件の敷地面積が500㎡を超えるとき
⑤繰越控除年の12月31日時点で、住宅ローンの残りが10年未満のとき
⑥繰越控除年の所得が3,000万円を超えるとき
特例を上手に活用しよう
「家を売ったら損をした!」・・・とそこで終わりではありません。
少しでも特例を活かして得する方法、税金を軽減する方法を活用していきましょう。
それぞれに条件はあるものの、ハードルが高いものではありません。
ただし、自ら申告しなければ適用されないので、忘れずに覚えておきましょう。