税金のこと2024.07.04
不動産売却で住民税が上がる?支払い時期や金額、控除を解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 後志店の梅津です。
不動産売却にともない、「住民税は上がるのだろうか」とご心配ではありませんか。
どのような場合に負担が増えるのか、いつ支払うのかといった疑問もあるでしょう。
そこで今回のコラムでは、不動産売却で住民税が上がるケースについて解説します。
住民税の支払時期や、税金の負担軽減の方法もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
不動産売却で住民税が上がることはある?
結論から先にいいますと、不動産売却を行なった場合に住民税が例年よりも上がり、税金の負担が増えるケースがあります。
それは、家や土地などを売った利益「譲渡所得」が発生した場合です。
「譲渡所得」が発生すると住民税が上がる
住民税や所得税は毎年の所得に応じて課税されるため、例年の所得に「譲渡所得」が加算された分、税負担が増えます。
注意点として、譲渡所得とは、売却代金ではありません。
下記の式の通り、売却代金から物件の取得・売却にかかった費用を差し引いた残りの金額を指します。
譲渡所得金額=売却代金-(取得費-減価償却費+譲渡費用)
取得費とは物件の購入代金など、譲渡費用は、売却にかかった仲介手数料などをまとめた金額です。
「建物は築年数で価値が下がっていくもの」と税法上見なされるため、減価償却費がマイナスされます。
減価償却費の詳しい計算方法は、国税庁「「減価償却費」の計算について」をご参照ください。
また、下記のコラムでは、取得費や譲渡費用の内訳についても詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧くださいね。
確定申告に必須。不動産売却時に必要な減価償却の計算方法
譲渡所得にかかる住民税の計算方法
発生した譲渡所得に対し、所得税と住民税それぞれに定められた税率をかけることで、課税される税額が計算されます。
税率は2種類あり、物件を売った年の1月1日時点で、所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年を超える場合は「長期譲渡所得」になるのがポイントです。
<住民税の税率>
- 短期譲渡所得:9%
- 長期譲渡所得:5%
例えば、譲渡所得金額が1,500万円で、物件の所有期間が5年を超えていた場合、計算式は「1,500万円×5%=75万円」となり、住民税は75万円です。
所得税の確定申告に基づいて課税される
上記では住民税を単体で計算しましたが、実際には住民税のみを計算し、申告する手間は不要です。
税額の計算・申告を行うのは所得税に限り、翌年の2月16日から3月15日までに所得税の確定申告を行えば、住民税はその内容に基づいて行政側が計算し、自治体から5~6月頃に納税通知書が送られてくる仕組みです。
申告書など必要書類を準備し、期限内に忘れず申告しましょう。
不動産売却の住民税を払うタイミングはいつ?
では、不動産売却で上がった住民税は、いつのタイミングで支払うのでしょうか。
住民税の徴収時期は、「普通徴収」と「特別徴収」で、次のように異なります。
- 普通徴収:原則4回(6月、8月、10月、翌年1月)
- 特別徴収:【給与所得者の場合】12回(6月~翌年5月まで)
- 特別徴収:【年金所得者の場合】6回(年金支給月である偶数月)
普通徴収とは、市町村が送る納税通知書をもとに、納税する人が自分で住民税を納める方法です。
給与所得者でない(会社から給料をもらっていない)方や、自営業の方などが主な対象ですね。
不動産を売却した翌年6月以降に住民税の納付通知書が届き、年4回納付(6月、8月、10月、翌年1月)するのが基本ですが、一括での支払いや前倒しで納付することも可能です。
※普通徴収を納付する時期は、市町村によって異なる場合がありますので事前にご確認ください。
特別徴収は2種類あり、勤務先の会社などが納税義務者(従業員)から税金を徴収(毎月の給与から控除)し、事業者(給与支払者)が本人(給与所得者)の代わりに住民税を納める方法と、年金を受給している65歳以上の人の個人住民税の年金特別徴収制度があります。
不動産売却の住民税を払うタイミングは、給与を受け取っている人、年金を受け取っている人で異なります。
給与所得者に関しては、一般的に6月から翌年の5月までの全12回に分けて、月々の給与から差し引かれ(天引きされ)ます。
年金所得者の場合は、公的年金の支給となる年6回年金支給月(偶数月)に特別徴収される仕組みです。
いずれにしても、タイミングが異なるだけで、徴収額が割引されるなどの制度はありません。
不動産売却の住民税の負担を軽減できる控除や特例
不動産売却で譲渡所得が発生すると上がってしまう住民税ですが、実はいくつか、税負担を軽減できる仕組みが用意されています。
上手く活用するため、節税につながる主な特例や制度を確認しておきましょう。
譲渡所得にかかる税負担を軽減できる主な特例
まず押さえておきたいのが、税負担を軽減できる特例です。
一定の条件を満たすことで、譲渡所得の金額を減らしたり、税率を軽減したり、課税のタイミングを繰り延べたりできます。
主な特例として、マイホーム(居住用財産)を売る、あるいは買い替える場合に活用できる3つの特例をご紹介しましょう。
いずれも一定の条件を満たし、確定申告を行うことで適用できます。
マイホームを売ったときの特例
所有期間の長さに関わらず、譲渡所得金額から特別控除として、最大3,000万円まで差し引きできる特例です。
マイホームを売ったときの軽減税率の特例
売却したマイホームの所有期間が10年を超える場合、譲渡所得金額の6,000万円までの部分について軽減税率が適用できる特例です。
<税率の区分>
- 6,000万円の部分:4%(軽減税率)
- 6,000万円を超える部分:5%(通常の税率)
特定のマイホームを買い換えたときの特例
要件を満たしたマイホームの買い換えを行なった場合に適用でき、通常、売却の翌年に発生する譲渡所得へ課税を、買い替えたマイホームを売却するタイミングまで延ばせる特例です。
非課税となるわけではないものの、買い替え時には新居購入など費用がかさみますので、資金面の負担が減らせるメリットは大きいですね。
各特例の要件など詳しい情報をお求めの際は、国税庁の「No.3302 マイホームを売ったときの特例」「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」でご確認ください。
譲渡所得が多いほど、ふるさと納税の活用がお得に
譲渡所得が発生した場合は、特例の活用のほか、ふるさと納税がお得になるチャンスとなります。
ふるさと納税とは、自治体への寄付金のうち、自己負担額2,000円以外の部分が、所得税・住民税から控除できる制度です。
控除できる金額には上限があり、上限を超えた分はいくら寄付しても控除の対象とはなりません。
しかし、控除の上限は所得金額に応じて大きくなり、所得が多いほど控除可能な寄付額は増えますので、実質2,000円の負担でより多くの返礼品が受け取れるメリットがあります。
詳しくは「不動産売却でふるさと納税を活用。限度額の計算方法も解説。」で解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
●譲渡所得が発生すると住民税が上がる
住民税および所得税は、所得金額に応じて課される税金であるため、売却益「譲渡所得」が増えると税負担も上がります。
●住民税を払うタイミングは「普通徴収」「特別徴収」で違いがある
住民税は、確定申告後、所得税額に基づき計算され、自治体から納税通知書が送られる仕組みです。
自営業者などが対象の「普通徴収」では原則年4回支払います。
給与所得者、もしくは年金所得者の人が対象の「特別徴収」の場合は、給与所得者は年12回の給与引き落とし、年金所得者は年金支給月に特別徴収されます。
●税負担軽減につながる特例や制度を利用しよう
一定条件を満たし、確定申告することで、税負担の軽減につながる特例が適用できます。
また、譲渡所得の発生は、自己負担額2,000円で多くの返礼品を受け取れるため、ふるさと納税を活用するチャンスですよ。
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著者
後志店 梅津 大樹小樽生まれ、小樽育ちです。 自身で不動産購入と売却を行った経験もあり、売りタイ方・買いタイ方のお気持ちに寄り添ったご提案をできればと思い、日々活動しております。今後はより一層地域に密着して活動して参ります。 不動産のお困り事は、私、梅津にお任せ下さい。
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