税金のこと2024.04.30
不動産売却の税金はいつ払う?種類や支払いのタイミングを解説
※コラム内容は掲載当時の最新情報となり、現在改正されている場合があります
こんにちは。イエステーション北章宅建 小樽店の小林です。
不動産売却時には、仲介手数料や引越し代といった費用のほか、税金もかかってきます。
前もって準備を進めておきたい方のなかには、「いつ支払うのだろう」「いくらかかるのだろう」と心配されている方も多いのではないでしょうか。
今回のコラムでは、不動産売却時にかかる税金について、支払いのタイミングとともに解説します。
税金の種類や納付方法のほか、節税のためのコツもご紹介しますので、ぜひあわせて参考にしてください。
不動産売却で支払う税金とは?
不動産売却には、主に次の5つの税金を支払います。
- 印紙税
- 消費税
- 登録免許税
- 所得税
- 住民税
まず、印紙税とは、売り主と買い主が売買契約を結ぶ際に必要な「不動産売買契約書」に課される税金です。
売買契約書は金銭取引に関わる契約文書であり、課税対象と見なされるからです。
次に消費税については、不動産会社に支払う成功報酬である「仲介手数料」にかかります。
不動産会社が「売買契約を結ぶために行なったサービス」に対して課される税金です。
そして、登録免許税とは、登記手続きを行う際にかかる税金のことをいいます。
売り主が負担するのは、住宅ローンの残債を売買代金で返済する場合に必要な「抵当権抹消登記」にかかる登録免許税です。
ローンを組んだ物件には、登記情報に金融機関の担保の証である「抵当権」が付いているため、売却時に抹消する必要があるからです。
所得税と住民税は、どちらも所得(収入から必要経費を差し引いた金額)に対して課税される税金です。
不動産売却で利益「譲渡所得」があった場合、金額に応じて支払い義務が発生します。
不動産売却の税金はいつ払う?
不動産売却時には主に5つの税金が発生するとお伝えしました。
- 売買契約書を作成したとき → 印紙税
- 仲介手数料を払うとき → 消費税
- 抵当権抹消登記を行うとき → 登録免許税
- 売却の利益「譲渡所得」が発生したとき → 所得税・住民税
では、各税金の支払いは、不動産売却の流れにおいて、どのタイミングで行うのでしょうか。
【一般的な不動産売却の流れ】
1.不動産会社に査定を依頼する
2.不動産会社と媒介(仲介)契約を結ぶ
3.広告や内覧など販売活動を行う
4.買主と売買契約を締結する
5.売却代金の決済、物件の引き渡しを行う
6.確定申告を行う(譲渡所得がある場合)
それぞれ支払いのタイミングと、納付方法、金額の目安をご紹介していきます。
印紙税
印紙税の支払いは、印紙を不動産売買契約書に貼付して行いますが、厳密には、貼り付けた印紙に消印(あるいは署名)をして初めて、「納税した」という意味を持ちます。
不動産売却の流れでいえば、「4)買主と売買契約を締結する」のタイミングで支払うものと考えて良いでしょう。
税額は、契約書に記載の売買金額によって異なります。
ただし、記載額が10万円を超える、平成26年(2014年)4月1日から令和9年(2027年)3月31日までの間に作成されたものの場合は、軽減税率が適用されます。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
100万円超~500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
出典:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
例えば、2024年5月に作成された、売却価格が6,000万円の不動産売買契約書であれば、3万円かかるということです。
詳しくは、国税庁の「No.7129 印紙税の納付方法」をご確認ください。
消費税
消費税は、主に「4)買主と売買契約を締結する」と「5)売却代金の決済、物件の引き渡しを行う」のタイミングで支払う税金です。
仲介手数料は一般的に、売買契約締結後に半金を、引き渡しの際に残金を払うケースが多いからです。
税額は、仲介手数料の10%です。
例えば、96万円の仲介手数料であれば、9万6,000円の消費税がかかります。
なお、納付については、支払先の不動産会社が行います。
消費税について詳しく知りたい方は、下記のコラムで解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
家の売却の際の消費税の課税と非課税の対象とは?
登録免許税
登録免許税は、売却代金が支払われたあと、抵当権抹消登記を行う「5)売却代金の決済、物件の引き渡しを行う」のタイミングで支払います。
税額は、不動産1つにつき1,000円で、建物と土地の場合は計2,000円となります。
登記手続きの際、申請書に収入印紙を貼付した別紙を添付するなどして納付します。
所得税
所得税は、売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告をして納税します。
納付方法は、税務署などの窓口で現金納付する、口座引落しを行う、クレジットカードやコンビニ、インターネットバンキングやスマホアプリと多岐に渡ります。
税額は、売却代金から物件の取得や売却にかかった費用を差し引いた「譲渡所得」の金額に、税率を乗じて算出します。
税率は、物件の所有期間が5年を超えるか否かで異なります。
<5年超「長期譲渡所得」の場合>
所得税:15%
復興特別所得税(※):0.315%(15%×2.1%)
合計:15.315%
<5年以下「短期譲渡所得」の場合>
所得税:30%
復興特別所得税(※):0.63%(30%×2.1%)
合計:30.63%
所有期間が5年以下、譲渡所得金額が400万円の場合は「400万円×30.63%」、税額が122万5,200円になるということです。
※平成25(2013)年1月1日~令和19(2037)年12月31日までは復興特別所得税(所得税の2.1%相当額)が含まれます。
詳しくは、国税庁の「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」をご確認ください。
譲渡所得税については、下記のコラムでも詳しく解説しています。
不動産売却時の譲渡所得税とは?仕組みや計算方法など詳しく解説
住民税
住民税も所得税と同じく、翌年の3月15日までに所得金額を確定申告します。
ただし、支払いのタイミングは異なり、翌年6月からとなります。
給与所得者は毎月の給与から12回に分けて天引き(翌年5月まで)、年金所得者は公的年金が支払われる偶数月に徴収されます。
そのほか、自営業の方は、自治体によって納税通知書の送付時期は異なるものの、6月、8月、10月、1月の4回に分けて支払うのが一般的です。
譲渡所得額に乗じる税率は、所得税と同じく、物件の所有期間で異なります。
- 5年超「長期譲渡所得」の場合:5%
- 5年以下「短期譲渡所得」の場合:9%
所有期間が5年以下、譲渡所得金額が400万円の場合は「400万円×9%」になるため、36万円の住民税がかかるということですね。
不動産売却の税金の支払いを抑える方法
不動産売却時にかかる税金のうち、譲渡所得に関わる所得税・住民税については、支払いの負担を抑えるコツがあります。
一定の要件を満たすことで、不動産売却税額計算のもととなる譲渡所得の金額を特別控除できたり、納付時期を遅らせたりできる特例をうまく活用することです。
具体例として、「マイホームを売ったときの特例」では、所有期間の長さに関係なく、譲渡所得金額から最大3,000万円まで差し引けます。
一戸建て・マンションなどの自宅(居住用財産)を売却する場合に、適用しやすい特例です。
また、「特定のマイホームを買い換えたときの特例」では、所有期間が10年を超える物件を買い替える際、一定条件のもと、納税を先送りできるようになります。
あらかじめどんな税負担があるのか、節税の特例を利用できないか知っておくことで、余裕をもって資金計画を立てられるでしょう。
適用要件は専門的な部分もあるので、「利用できそうな特例はないだろうか」と不動産会社の担当者に気軽に相談してみてくださいね。
特例については、「家を売却する時にかかる税金は?節税はできるの?」でもご紹介していますので、ぜひあわせて参考にしてください。
まとめ
●不動産売却で支払う必要がある税金は主に5つある
不動産売却時には、印紙税、消費税、登録免許税、所得税、住民税の5つの税金を支払う義務が生じる可能性があります。
●不動産売却時にかかる税金の支払いのタイミングをあらかじめ知っておくと慌てずに済む
印紙税は売買契約書を交わす売買契約時に、消費税は仲介手数料を支払うタイミングで支払います。登録免許税の場合は抵当権抹消登記を行う、決済・引き渡しのタイミングです。所得税は、翌年の確定申告時に納付し、住民税は翌年6月からの支払いとなります。
●特例を賢く使って税金の負担を抑えよう
所得税・住民税については、譲渡所得金額を減らしたり、支払時期を先送りできたりする特例があります。適用できそうな特例はないか、前もって確認しておきましょう。
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