2019.10.07不動産売買についての考察
【不動産需要の変化について】「~昔と今では不動産の求められ方が違います~」
北章宅建株式会社の坂本です。
という不動産売却に関するコラムを書いてきました。
今回は、不動産需要の時代変化について書いてみたいと思います。
目次
1、昔は不動産が売れやすかった、貸しやすかった。
2、高度成長の頃と、人口減少している現在の違い。
3、売れなくても貸せる不動産はある。少しずつ賃貸、利用へ移行。
4、不動産を貸すには初期投資が必要で、リスクがある。
5、イエステーション北章宅建株式会社では不動産買取も積極的に提案しています。
1、昔は不動産が売れやすかった、貸しやすかった
「昔は売土地に看板をつけたら、隣の人がその看板を引っこ抜いて申し込みをしてきた」
「誰かに取られる前にと考えていたみたいだ」
「アパートに張り紙をしたらすぐに現地から問い合わせがあり即申込が入った」
「今思えば、賃貸物件が不足していたんだろうなぁ」
これは私が昔勤めていた会社の専務から教えてもらった話です。年代で行くとバブル前の1985年頃の体験だと聞きました。
私の父や母は兄弟4人以上の大家族で団塊の世代の生まれです。その兄弟と両親が一つの家で生活し、その兄弟、両親から子供が平均2人生まれれば、高度成長の経済の発展と相まって不動産需要が高まるのは何となく当然とは思っていましたが、不動産流通の世界で実体験として聞いたこの話はとても新鮮でした。
さらにもっと遡れば、太平洋戦争の結果としての日本列島への数百万人単位での外地からの引き揚げ等も考えると、戦後~バブル崩壊までは不動産需要が大きく高まる素地は歴史の中で培われてきたのだと思います。
2、高度成長の頃と、人口減少が始まっている現在の違い
1960年~70年頃からの不動産価格、株価、人口の推移を見てみたいと思います。
1990年まではどの指標も一貫して右肩上がりを記録しています。
不動産価格、株価のピークは1990年のバブル末期の頃、日本全体の人口ピークは2019年現在の9年前の2010年です。バブル崩壊までは土地神話に代表されるような「不動産を保有していれば安心」と言う当時の定説にもある様に、不動産は株式と並んで、資産形成を行う手段として非常に優れた優良な金融商品であったのだと思います。
翻って、バブル(1986年~1992年)崩壊後の不動産価格、株価は大きく下げています。ここ近年は多少の上下はあるにしても、低位安定という状態が作られています。人口は2010年をピークに下がっていますが、それまではバブル崩壊後でも緩やかに増えています。
「人口減少が不動産価格を崩壊させる」
「人口減少で使われない不動産、空き家が増える」
「不動産価格の崩壊と空き家の激増がすぐにでも来る」
等と言った言説をよく見ます。長期的な視点で見れば不動産は人口減少の影響を受けると思いますが、書かれている問題が今日明日、一年後にすぐ来るというのは間違いではないかという事で、【人口減少下でも売れる不動産は売れます】というブログを書きました。
人口の増減がダイレクトに不動産価格に響くのであれば、2010年までは不動産価格が上がり、以降は下がっていくはずですが、実際の不動産価格の動きはそれとは異なっています。
人口増加中であってもバブル崩壊後に不動産価格が下落したのは、高度成長、バブル期ほど不動産の値上がり期待が持てないが為に、自宅等で使用する実需目的以外に不動産を保有する動機が薄れてきたのが要因であると考えています。
現在は、値上がり目的の投機的な不動産投資が、ブームとなっている一部地域を除いて特に地方では少なくなってきています。不動産価格に長期的に影響を与えるであろう指標(公示地価、人口、世帯数、株価、GDP)が高度成長の頃程大きくは伸びていなく、外需による追い風(インバウンド、観光、国内外問わず域外からの不動産投資、インフラ投資など)が無い限り、不動産価格の将来的な上昇は考えにくくなっています。
それに対して、不動産の取引件数は、実需(自分で使う、住む)を中心に底堅い動きであり、中古住宅の流通件数に限って言えば、近年多少の上げ下げがある中で年々増えています。結果として人口の増加と減少、価格の上昇と下落、流通件数の増加が連動した動きにはなっていません。
この事について不動産取引件数をグラフにして調べてみたいと思います。
人口が減少に転じた2010年以降でも不動産取引件数は一貫して増加しています。先行指標としての公示価格、人口、株価、GDPは大きく伸びていないので、将来の値上がり期待は持ちにくいのですが、世帯数が増える中においては、先行指標がある程度安定(増えもしないが大幅に下落もしない)していれば、実需不動産への需要を大きく減少させない事が読み取れます。
昔は金融商品、値上がり目的の投資対象としての側面も強く持っていた不動産を動かしてきた不動産流通市場が、未来は実需を中心とした不動産流通市場に移行していくのではと思います。
3、売れなくても貸せる不動産はある。少しずつ賃貸、利用へ移行。
2012年に小樽市に【イエステーション小樽店】を出してから、売買価格が車と同程度の価格の不動産でも、賃貸に出した場合の賃料が隣町の札幌とあまり変わらないという事を知りました。
小樽市内で売買価格300万円程度の戸建を貸した場合、想定賃料は5万円程になります。これに対して土地建物面積、築年数が同程度の物件が隣町の札幌市手稲区に存在すると仮定すると、売買価格は1000万円程度になります。賃料は恐らく6万円程だと考えられます。売買価格は3倍以上の差があるのですが、賃料は1.2倍程度の差に収まっています。
売買価格 賃貸価格
小樽市 300万円 5万円
札幌市手稲区 1000万円 6万円
売買は明確な動機があり不動産売却を考えられる方も多く、不動産売買価格には売る為の弾力性が多少なりともあります。それに対して賃貸の場合は、貸せなくても特別困らないという方が一定数いらっしゃり、賃料には下方硬直性があります。
(特に現金購入されている貸家、ローンが終了した不動産にその傾向が顕著です)
(「そんなに安くするくらいなら、貸す面倒もあるから空き家にしておくよ」等)
(結果として市場には戸建の賃貸物件が供給されにくい)
又、私自身は会社で賃貸業も行っている為、不動産を借りられる方の職業や年収を見る機会もそれなりにありますが、住宅ローンを組める方が意外と多い(全体の7割)と感じています。
そういった方でもあえて不動産を借りられるという選択をされる理由は、「将来引っ越すかもしれない」、「所有するのが面倒」、「固定資産税が発生する」、「修繕費用も考慮したら借りている方が良い」等である事が多く、所有より利用に価値を見出している方が少しずつ増えている気がします。
【人口減少下でも売れる不動産は売れます】にも記載した通り、核家族化が進む中では、人口減少率よりは世帯数は減りません。結果として半世紀以上人口が減少している小樽市においても、地域の不動産市場に対して、もの凄く大きなインパクトの空き家の激増、不動産需要の消滅等が避けられています。
中々思うように売れない不動産でも、貸すことが出来る、所有より利用に考え方がシフトしているという状況が少しずつですが増えており、この傾向は徐々に大きくなってきているのかなと現場を見る中では感じています。
4、不動産を貸すには初期投資が必要で、リスクがある
思うように売れない不動産でも賃貸に出すことは出来る、需要に違いがあるという事を書いてきましたが、保有している余剰不動産を賃貸に出す方は本当に少ないです。
理由としては
1、売買は売主様と買主様は対等な立場だが、賃貸は事業主とお客様という関係になる。
2、お客様に貸す不動産はそれなりに初期投資をして修繕しないといけない。
3、家賃の回収リスクがある。
4、貸している間の修繕対応における時間と費用が発生する。
5、例え一軒の住宅でも全てにおいて事業としての責任が伴う。
6、結果として、面倒だし、そこまで時間もかけていられないから売却したい。
と言った事が考えられます。不動産を貸すという行為は、一軒の住宅でも立派な事業です。不動産売買の様な対等な関係でなく、不動産賃貸業はあくまでも事業者とお客様の関係になる為、そこには事業としてのリスクと責任が伴います。
元々不動産を貸すという業(不動産賃貸業)を目的としていない方が不動産を貸すという行為には、上記のリスクと責任以外にも必要となる時間や対応の苦労もついて回ります。単に貸せる可能性が高いからすぐに始められるものでも無いというのは十分に理解できます。
賃貸、利用が増えるであろう時代において、中々売却が進まない不動産に対してどの様に有効な提案していくかが不動産流通に関わる会社として今後求められる能力だと思います。
5、イエステーション北章宅建株式会社では不動産買取も積極的に提案しています。
当社は販売の見通しが見えにくい不動産でも、ご希望の場合出来る限り仲介と買取の両面でご提案を行っております。不要なお荷物はそのまま、売却に関わる経費一切は当社負担の手取り金額での分かり易い内容としております。
今後も時代環境に流されず、出来る限り多くの選択肢の中からお客様にとって最善と思われる提案をして参ります。
不動産売却の際はぜひこういった考えをもっている【イエステーション北章宅建株式会社】へご相談下さい。きっと皆様のお力になれると思います。
今後ともよろしくお願いします。
過去ブログ
お役立ち情報
【人口減少下でも不動産は売れます ~不動産と人口と世帯数の関係性について~】
【同じ不動産でも売り出し方で売れ行きは大きく変わります ~空き地、空き家が増える時代における不動産売却方法~】
【安心安全な不動産売却、取引とは】『~不動産取引は情報伝達が何よりも大切です~』
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【北海道の不動産査定・売却相場|おすすめ不動産会社ランキング 】に紹介されました。
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北章宅建本社 坂本 周平弊社には研修、行動、改善を日々行う文化があり、必ず皆様のお役に立てるスタッフが揃っております。 今後とも弊社イエステーション北章宅建をよろしくお願いします。