マンションのこと2022.10.07
使わないマンションの活用方法は?売却以外の活用事例を紹介〜その2
転勤や住み替えなどの理由で、所有するマンションを持て余してしまった…。そんな時、どう活用すればよいのでしょうか。売却以外の方法を考えている人に、マンションの活用事例を紹介します。
前回は、居住用に賃貸するケースを取り上げました。今回は、それ以外の活用事例を見ていきます。ただし住宅ローン返済中の場合、基本的に人に貸して収益を得ることはできませんので注意しましょう。
レンタルスペースとして活用する
近年、マンションの空き部屋をレンタルスペースとして運用する方法が注目されています。実際の活用事例を紹介していきましょう。
①貸し会議室
椅子とテーブルがあればすぐに運営できるため、貸し会議室はレンタルスペースの中でも特に多い活用方法です。
テレワークが普及したことで、打ち合わせや商談、リモートワークの場としての需要が今後ますます期待できます。Wi-Fiやスクリーン、プロジェクターなどを用意すれば、オフィススペースや会議室としての利用価値が高まります。
部屋が汚れにくい、管理が楽といったメリットがありますが、競合も多いため、レンタル料の設定には注意しましょう。
②パーティールーム
マンションはそもそも居住用につくられていますので、和気あいあいと楽しむパーティールームに活用するのも手です。ソファやテーブルなどはもちろん、調理道具や食器などもあれば、より使い勝手がよくなります。時代やニーズに合ったインテリアでまとめ、くつろげるおしゃれな空間をつくることも重要です。
ただしパーティーでの利用は、騒音で近隣に迷惑をかける可能性や、部屋や設備の汚損のリスクもあります。使用ルールをしっかり定めておきましょう。
③民泊
「民泊」は、空いている部屋や家を旅行者などに貸し出して、宿泊させるサービスのこと。以前まで、宿泊料をもらって人を泊める営業は、旅館業法の営業許可を取る必要がありましたが、2018年に住宅宿泊事業法(民泊新法)が制定されてからは、都道府県に届出をすれば一般住宅でも一定のルールのもとで宿泊サービスを提供できるようになりました。実際にマンションで民泊を運営する人は増えています。
泊まる人と泊める側、双方に便利な仕組みではありますが、注意点もあります。宿泊者がルールを守らず、騒音やゴミの問題など、様々なトラブルが発生するリスクがあること。また法律で、営業日数は年間180日以内という上限があるため、大きな収益は期待できません。
④レンタルサロン
エステや整体など施術に適したベッドや備品を備え、サロンとして時間単位や月単位で貸し出します。
施術者が自分で店舗を持つと多くの開業資金が必要になりますが、レンタルサロンなら気軽にスタートできるため、小規模事業者のニーズが高まっています。エステティシャンや整体師のほか、ネイリスト、セラピストなど幅広い利用者が見込めます。
⑤レンタルスタジオ
例えば、「撮影」「ダンス」などと用途を限定する方法もありますし、キッチンを活用して飲食に関連した用途にするのもいいでしょう。調理器具を揃えれば、料理教室として活用できます。用途によって必要な設備を用意しておけば、利用者からも喜ばれます。
⑥学習塾の教室
学習塾として貸し出す方法なら、和室・洋室問わず利用できます。児童・生徒が通いやすい住宅街や駅チカのマンションであれば、立地のメリットも十分に生かせるでしょう。塾として利用のない時間帯は、書道など習い事の教室として貸し出すと稼働率を高めることができます。
①~⑥いずれの場合も、必ず前もってマンションの管理組合に相談し、管理規約で禁止されていないかどうか確認する必要があります。
社会貢献のために活用する
ここまで収益を上げる活用法を紹介してきましたが、社会の課題解決のために役立てる方法もあります。
①こども食堂
2019年の国民生活基礎調査によると、日本の子どもの貧困率は13.5%。7人に1人が貧困状態にあります。
「こども食堂」は、こうした経済的に厳しい家庭の子どもたちに、無料または低価格で食事を提供する団らんの場。地域住民や自治体が主体となり取り組んでいます。食堂の運営はボランティアのため、活動費はほとんどを補助金や助成金、寄付でまかなっており、費用がかかる会場の確保は大きな課題。その解決のために、マンションの空室や空き家のオーナーがこども食堂に場を提供する事例も増えてきています。
②賃貸住宅への入居が困難な人への支援
「住宅セーフティネット制度」を知っていますか? これは住宅の確保に困っている高齢者や障害者、子育て世帯など、住宅確保に配慮が必要な方(住宅確保要配慮者)に対して、賃貸住宅へのスムーズな入居を支援する制度で、2017年にスタートしました。
この制度は不動産所有者にとってもメリットがあります。所有物件を「要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅」として登録すると、専用の住宅提供システムへ費用をかけずに物件を掲載してもらえるほか、入居者が確保しやすい支援や一定の要件のもと住宅の改修費などに補助が受けられます。マンションの空室を活用したいと考えているなら、登録を検討してみましょう。
①②いずれの場合も、必ず前もってマンションの管理組合に相談し、管理規約で禁止されていないかどうか確認する必要があります。
まとめ
誰も住まなくなったマンションは、空室のままにしておくだけでは諸経費が出ていくばかりです。
活用方法は大きくわけて3つ考えられます。
1つは賃貸住宅として貸し出す方法で、これが最も一般的です。知り合いなどに直接貸し出せば仲介手数料を節約できますが、親しい間柄でも、賃貸借契約はきちんと締結して後々トラブルが起こらないようにしましょう。今まで使っていた部屋が空いてしまった場合は、シェアハウスとして活用する方法もあります。マンション所有者自身も住んでいるわけですから、部屋の管理面で不安はないでしょう。
2つ目は、レンタルスペースとして貸し出す方法。貸し会議室やレンタルスタジオ、民泊や学習塾など、さまざまな事例があり、ニーズも高まっていることから注目を集めています。
3つ目は、社会貢献を重視した活用です。こども食堂に場を提供する、「要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅」として登録するといった事例があります。福祉に理解や感心がある方は、検討してみてはいかがでしょうか。