相続や名義のこと2020.10.23
不動産売却は相続前、相続後のどちらがいい?税率の変化も解説
※コラム内容は掲載当時の最新情報となり、現在改正されている場合があります
こんにちは。北章宅建 小樽店の柴田です。
親が持っている不動産。
ゆくゆくは相続する予定の場合、生前に売却して現金を相続するのと、相続後に売却をするのとでは、どのような違いがあるのでしょうか。
不動産を売却したときの譲渡所得税や、相続時の相続税は大きな金額になるケースもあるので、少しでも負担を減らしたいところです。
今回の記事では、相続における不動産売却のタイミングについて解説します。
将来的に不動産を相続する予定がある方はぜひご覧ください。
不動産を「相続前」に売却。メリット・デメリットは?
不動産の所有者が生前に不動産を売却し、現金で相続をするケースです。
相続前に不動産を売却すると、相続人が複数の場合に遺産分割がスムーズになるというメリットがあります。
相続人が複数いる場合、不動産を相続するには遺産分割が大変です。
共有名義にするのか、不動産をもらう代わりに現金を支払うのかなど、相続人同士で話し合って決めなくてはならず、トラブルの元になりやすいです。
生前に不動産を売却して現金にしておけば、遺産分割もスムーズに進めることができるでしょう。
一方、デメリットとしては、不動産売却で利益が出た場合には、その利益(譲渡所得)に対して譲渡所得税がかかる点です。
ここについては通常の不動産売却と同様です。
しかし、自宅の売却の場合、条件を満たせば「3,000万円の特別控除の特例」を受けることもできます。
譲渡所得から最高3,000万円を控除することができ、譲渡所得税を抑えることができるのです。
課税対象は売却金額ではなく売却利益(譲渡所得)なので、マイホームとして住んでいた物件の売却なら、譲渡所得から3,000万円を控除することで譲渡所得税がかからないケースがほとんどではないでしょうか。
不動産を「相続後」に売却する。メリット・デメリットは?
不動産として相続してから、売却をして現金化するケースです。
この場合のメリットは、現金で相続するよりもかかる税金を抑えられるという点です。
財産を相続すると相続税がかかります。
たとえば3,000万円の価値がある不動産をそのまま相続するのと、売却して現金で相続するのでは、同じ3,000万円なので相続税も同じだと思いがちです。
ところが、不動産の法律的な価値である「固定資産税評価額」と、売却金額の「時価」が同じとは限りません。
ほとんどの場合、固定資産税評価額は時価よりもかなり低いのです。
不動産のまま相続をして、固定資産税評価額で計算された相続税の方が安くなるケースが多いです。
また、相続後に不動産を売却した場合にも、利益に対して譲渡所得税がかかります。
この場合の利益は、「不動産の売却価格-不動産の取得費」の計算式で求めるのですが、一定期間内に売却をすれば、取得費に相続税を含めて計算することができます。
取得費を増やして譲渡所得を抑えることができれば、その分の譲渡所得税も節税することができるのです。
これは「相続税の取得費加算の特例」といいます。
さらに、親が住んでいた家を空き家として相続してから売却する場合、一定の要件に当てはまれば「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」を受けることもできます。
譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができるという特例です。
ただし、昭和56年5月31日以前に建築された建物であること、一定の耐震基準を満たしていることなどの要件があり、すべての要件を満たすのは少し厳しいものとなっています。
不動産を相続してから売却する場合のデメリットは、相続人が複数の場合、売却手続きが複雑になるという点です。
相続人全員で共有財産として相続したなら、売却に関しても相続人全員の同意が必要となります。
一人でも反対意見の人がいれば話がまとまらず、不動産の売却がなかなか進められない事態に陥ってしまう可能性もあるでしょう。
相続後の不動産売却は所有期間が重要。
不動産売却でかかる譲渡所得税は、不動産の所有期間によって税率が変わります。
短期所有(5年以内):譲渡所得税率39.63%(所得税30.63%、住民税9%)
長期所有(5年超) :譲渡所得税率20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
※所得税には復興特別所得税含む
贈与や相続で取得した不動産の場合は、贈与者や被相続人が所有していた期間がそのまま引き継がれます。
例えば、親が7年所有していた不動産を相続してすぐに売った場合でも、長期所有となります。
また、マイホームを住んでいた本人が売却する場合は、10年超の長期所有の場合にさらに大きな優遇があります。
「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」です。
10年超の所有ほか一定の要件に当てはまれば、6,000万円までは14.21%(所得税10.21%・住民税4%)、6,000万円を超える部分に関しては20.315%(所得税15.315%・住民税5%)の税率となります。
この特例は、相続人が売却する場合には適用されません。
長く住んでいる家で、売却利益が大きくなりそうな場合は生前に本人が売却するのも節税の方法のひとつかもしれませんね。
まとめ
- 不動産を相続前に売却するメリット・デメリット
不動産を相続前に、所有者が生前に売却するメリットは、相続人が複数の場合に遺産分割がスムーズになるという点です。一方、不動産売却で利益が出た場合には、その利益(譲渡所得)に対して譲渡所得税がかかることがデメリット。しかし一定の要件を満たせば、税制優遇措置を受けることもできます。
- 不動産を相続後に売却するメリット・デメリット
不動産を相続後に売却するメリットは、税金を抑えられるケースが多いという点。相続税・所得税ともに節税できることが多いでしょう。デメリットは、相続人が複数いる場合には、遺産分割や不動産の売却が複雑になるという点です。共有名義での不動産相続はトラブルの元になりやすいので注意が必要です。
- 所有期間による譲渡所得税率の違い
5年以内の短期所有、5年超の長期所有で譲渡所得税の税率は異なります。長く所有している方が税率は低くなります。譲渡や相続で不動産を取得した場合は、元の所有者の所有期間をそのまま引継ぐことができます。元の所有者本人が生前にマイホームを売却した場合は、10年超の所有でさらに税率が下がる優遇措置を受けることもできます(そのほか要件あり)。
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著者
小樽店 柴田 朋也健康には自信があります。平成24年より不動産業に従事しており、まだまだ勉強中の身ではありますが、持ち前の体力で日々向上心を持ちお客様と向き合い成長していきたいと思っております、お客様に満足していただけるサービス提供を心がけ仕事に打ち込みます。
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