相続や名義のこと2023.09.26

不動産売却における遺言執行者とは?執行の流れや注意点も解説

こんにちは。イエステーション北章宅建 美唄店の前平です。

遺言執行者とは、故人が書き残した遺言の内容を実行する人をいいます。
どんな場合に選ぶのか、どんな権限があるのか、誰を選べば良いのか、気になる方もいるのではないでしょうか。

そこで今回のコラムでは、不動産売却における遺言執行者について解説します。
指定から執行までの流れや、注意点もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

遺言書

 

遺言執行者とは?不動産売却で選ぶ理由とメリット

故人が「財産はこのように配分して欲しい」と指示するために、所有財産の相続について自らの意思を書き記したものを遺言書といいます。

遺言執行人とは、遺言書に記載された内容を実行する人です。

たとえば、遺言書に「AさんとBさんにそれぞれ500万円の現金を、Cさんには所有マンションを相続させたい」とあれば、その希望が実現できるように財産を分配します。

遺言執行者は通常、遺言書のなかで定められますが、必ずしも設定されるものではなく、必要に応じて選ばれます。

遺言書について詳しくは、「その遺言書は本当に有効?無効と有効は何が違う?」にて解説していますので、ぜひあわせて参考にしてください。

 

不動産売却で遺言執行者を選ぶケースとは?

では、不動産売却ではどのようなときに遺言執行者が選ばれるのでしょうか。

不動産売却に関わり遺言執行者が選ばれるのは、故人が所有する不動産を特定の誰かに現金で分配したい、つまり「清算型遺贈」をしたい場合が一般的です。

「遺贈」とは遺言を残すことで、法律で定められた相続人である「法定相続人」や、それ以外の人に財産を残す方法をいいます。

財産の分割方法にはいくつかありますが、清算型遺贈の利点は、不動産を現金化することで、複数の相続人に公平に分割しやすいことです。

また、不動産を現物のまま残していくと、管理方法でのちのちトラブルが起こる可能性もあるので、未然に防げるメリットもあります。

 

遺言執行者を選ぶメリットとは?

遺言執行者を設定すると、次の2つのメリットがあります。

  • 遺言執行者が単独で売却の手続きを取れるので相続人に負担がない
  • 相続人の勝手な行動を防げる

清算型遺贈では相続人が複数いるため、被相続人から相続人へと名義を移す「相続登記」や、不動産を売るための売買契約を行うにあたって手続きに手間がかかります。

しかし、遺言執行者がいれば、単独で進められるのでスムーズです。

また、遺言の内容に不満を持つ相続人が遺言の実行に協力的でなく、妨害しようとする人もなかにはいるかもしれません。

実は遺言執行者には、民法によって、遺言の執行にあたって必要なすべての行為をする権利や義務を有すると定められています(民法1012条1項)。

つまり、相続人は勝手に相続財産を売却したり、遺言に関わる一切の手続きを妨害したりすることはできなくなるのです(民法第1013条1項)。

遺言執行者を選ばなくても遺言書の効力は同じですが、選定しておけば遺言者の意思を確実に実現してもらえる安心感がありますね。

 

不動産売却の遺言執行者の選び方から執行の流れ、報酬について解説

遺言執行者は、破産した人や未成年者以外なら、誰でも指定できます(民法第1009条)。

しかし、安易に決めてしまうと遺産分割時にトラブルになる可能性があるので、誰に任せるかは慎重な検討が必要です。

 

不動産売却をする際は第三者に任せる検討を

所有する不動産を清算型遺贈する場合は、弁護士や司法書士など第三者に任せるほうが良いケースもあります。

相続人が遺言執行者になることも可能ですが、私情が入る懸念から、ほかの相続人から不満が出るかもしれませんし、最悪の場合、相続人間で争いになる恐れも。

相続人同士の関係が良好であっても、不動産売却という大きなお金が動く場合には、ちょっとしたことがトラブルの火種になりやすいです。

専門家に依頼すると費用はかかります。
しかし、遺言執行時に問題が起こりそうだと想定されるなら、スムーズな手続きを行うためにも、遺言執行者は第三者に任せることをご検討ください。

 

遺言執行者への報酬は相続財産から支払われる

遺言執行者への報酬は、遺言書で決められていればその金額を、記載がなければ、家庭裁判所に申し立てることで、金額を決定してもらえます(民法第1018条)。

相続財産から支払われるので、遺言者が前もって支払う必要はありません。

報酬は、相続財産の1〜3%ほどが相場といわれています。
専門家に依頼する際は、上記に相談料や交通費などが別途加算されるのが一般的です。

 

遺言執行者の指定から遺言執行の流れ

遺言執行者が遺言の内容を執行するまでの流れは、次のとおりです。
1.相続人全員に宛てて「就任通知書」を送付し、就任を通知する
2.遺言者の相続財産の調査をし「相続財産目録」を作成する
3.相続人の調査をし、作成した目録を相続人に交付する
4.遺言書の内容を執行する

清算型遺贈の場合の業務内容として、まず不動産を相続人の共有名義とする「相続登記」を行い、不動産会社に仲介を依頼するなどして不動産売却を実行します。

売却代金から登記費用や仲介手数料を差し引きした上で、残りの現金を相続人や受遺者に分配する流れです。

売却に際して売却益「譲渡所得」が出た場合は、利益にかかる税金「譲渡所得税」も差し引く点を知っておきましょう。

 

不動産売却で遺言執行者を選ぶときの注意点

注意点

清算型遺贈を希望する場合は、第三者の遺言執行者を検討することをお伝えしました。

注意点として、不動産売却に詳しくない人が遺言執行者になってしまうと、売却価格に影響が出る可能性があることを知っておきましょう。

具体的にどのような問題が想定されるかというと、不動産が本来売れるはずの金額よりもずっと低い金額で売却されてしまう可能性があります。

第三者であるため不動産への思い入れがなく、スムーズな執行のために売り急ぐ可能性もあるでしょう。

遺言執行者は遺言の実行に関して強い権限を持つため、相続人側が不動産売却を担うことはできません。

しかし、手続きの進捗について報告を求めることはできます。
売却する前に複数の不動産会社に査定依頼をし、売却金額の相場を把握しておけば、著しく不当な金額での売却を阻止できるでしょう。

遺言執行者が執行状況を報告しないなど、正当な理由がある場合は、家庭裁判所に解任を請求できます(民法第1019条)。

また、本来売れる金額との価格差が激しい場合、差額を損害賠償請求できることも知っておきましょう。

 

まとめ

●遺言執行者は遺言内容を実行する人
遺言執行人は、遺言書の内容を実行する人を指します。指定しなくても遺言書の効力は変わりませんが、指定することで確実に遺言を実行してもらえる安心感があります。

●不動産売却を行う際に指定するメリットは2つ
不動産を売却して得た現金を相続人に分配する「清算型遺贈」を行う際に遺言執行者を選定しておけば、遺言執行者が単独で執行手続きを取れ、なおかつ相続人が勝手に不動産を処分するなどの行為を回避できます。

●売却金額の相場を把握し、執行状況を確認しよう
遺言執行者は、遺言の実行に必要なすべての権限を持ちますが、相続人が執行の進捗を問い合わせることは可能です。売却前に不動産を査定に出しておき、市場の相場と大きくずれがないよう確認しておくことが大切です。

北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
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不動産売却における遺言執行者とは?執行の流れや注意点も解説

美唄店 前平 竜斗前職はまったく畑違いの仕事をしていましたが思い切ってこの業界に飛び込んで現在に至ります。住宅、不動産の売買はお客様の人生に深く関われる重要な仕事であり、責任と共に喜びも大きいなと感じています。 地域の不動産の購入・売却のご相談は是非北章宅建にお任せください。

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