相続や名義のこと2022.01.18

家族信託の不動産を売却するには?メリット・デメリットが知りたい

自分の親が不動産を持っている場合、急な病気などにより倒れてしまったらどうなるでしょうか。
そんなことは考えたくありませんが、何も備えや準備がなく想定外のことが起きてしまうと困る度合いも大きくなってしまいます。
例えば、認知症などで突然判断ができなくなってしまう可能性もあるでしょう。
そんな時に、親に代わって子供または親しい親族が、不動産を管理できるようになる方法が「家族信託」です。
家族信託を結んだ不動産にすることで、売却や管理などいざという時に動きやすくなります。
今回は、家族信託の不動産についてご紹介します。

家族信託の不動産とは?

「家族信託」とは比較的まだ新しいものであり、知っている方は少ないでしょう。
親が不動産を所有している場合は、万が一に備えて知っておくと良いポイント。
家族信託とは、簡潔に言うと所有者である親に代わって子供や親族が不動産を管理する方法です。
普通であれば、不動産の売買や管理をする場合、財産であることと契約等が関わるため所有者でなければできないことが多くあります。
家族信託であれば、子供や親族と契約することで親に代わって不動産という財産を管理できることが大きな特徴です。
不動産を管理するということは、修繕などのメンテナンスだけでなく、売却や賃貸として運用することもできます。
家族信託にすると、不動産の所有権は「財産権」と「名義」の2つに分かれます。
財産権はそのまま所有者である親にあり、名義は家族信託を結んだ子供にいく制度です。
財産権が所有者にあることで、家族信託の段階で贈与税や不動産取得税が発生することはありません。
別の名称としては、不動産管理を任せる人(親)を「委託者」。
任される側の人(子または親族等)を「受託者(「名義」を持つ人)」と言い、不動産から利益を得る人(親)を「受益者(「財産権」を持つ人)」と言います。

家族信託を結んだ不動産を売却するには?

家族信託を結ぶ内容は、不動産を処分することについて権限が含まれているかどうかで流れが変わってきます。
不動産を処分する権限を含んだ内容が盛り込まれていない場合は、受託者の判断で売却をすることはできません。

不動産処分の権限がない場合

現状の家族信託の内容では、不動産売却をすることができないため、一度家族信託の契約を解除させる必要があります。
解除後、家族信託を結ぶ契約を不動産が売却できる内容に変更します。
ただし、信託契約を解除するためには、受託者と委託者の両方の意思が必要です。
ここで注意したいのが、委託者である親にすでに判断能力がなくなってしまっている場合です。そうなると途中解除はもちろん、契約で決められた期間または死亡するまで変更できないため、不動産売却が難しくなります。
売却ができた際には不動産取得税が発生し、売却により得られる利益は受益者が受けとることが可能です。

不動産処分の権限がある場合

売却の権限がある信託契約の場合は、通常の不動産売却と変わらない流れで売却ができます。
通常通り不動産会社に売却を依頼して買い主を探すことが可能です。
こちらの場合には、売却で得た利益は受益者の手元に行き、所得税がかかってくるので覚えておきましょう。

家族信託の不動産のメリット・デメリット

メリット

①不動産の相続トラブルを軽減
家族信託の場合、不動産の管理と処分は一人に集約されるため、複数人の相続のようにもめる心配はありません。
売却後の利益は、受益者を複数人に設定して分けることが可能です。
②受託者の判断で不動産売却が可能
委託者の意思判断能力がなくなった場合でも、受託者の判断によって売却することができます。
③二次相続まで指定可能
遺言書で相続を記す場合には、一次相続のみが適応となります。
家族信託であれば、二次相続以降の継承まで指定することができます。
④登録免許税の減額+不動産取得税が非課税に
家族信託は金銭のやり取りが生じるわけではないため、所有権移転登記にかかる登録免許税と不動産取得税は非課税となります。
信託登記の場合は、登録免許税は非課税ではなく約1/5相当に減税処置がされます。

デメリット

① 専門家のサポートが必要
専門的な契約になるため、専門家によるサポートが必要なケースが多いです。
専門家への報酬が必要となるので、コストがかかります。
②専門家を探すのが大変
施行されてまだ日の浅い制度のため専門家がまだ少ないです。
なるべく実績が豊富な専門家に依頼するようにしましょう。

家族信託は相続において注目されている方法

万が一の時にも対応できるように家族信託の契約を結んでおくと、所有者が意思判断できなくなった場合でも不動産を売却することができます。
メリット・デメリットを把握して、うまく活用できると良いでしょう。

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著者
家族信託の不動産を売却するには?メリット・デメリットが知りたい

札幌手稲店 野口 祥子

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