不動産売却のコツ2022.01.14

賃貸中の物件でも売却可能。その方法や注意点をわかりやすく解説します

こんにちは。イエステーション北章宅建 石狩店の藤田です。

所有している賃貸中の物件を売却したいと考えたことはありませんか?

そもそも入居者がいる場合、賃貸物件の売却が可能なのか。
入居者へどのように伝えるべきなのか、わからないことが多いですよね。

今回は賃貸中の物件を売る際に、まず確認しておかないといけないことや売却をする方法、売却時に必要な書類、売却までの流れを説明していきます。

マンション

 

賃貸中のまま売却は可能。その方法とは

既に入居者がいる場合でも、売却は可能なのでしょうか?

結論から言うと、賃貸中で入居者がいた場合でも売却することができます。

所有者を切り替える「オーナーチェンジ」という方法であれば、オーナーがチェンジするだけなので入居者の方の退去は必要なく、そのまま住み続けていただくことが可能です。
オーナーチェンジの物件は「OC物件」とも呼ぶこともあります。

そのほか「入居者に売却する」「入居者が退去してから売却する」方法もありますので、売却前の確認点とともに順にご説明していきましょう。

 

賃貸中の物件を売る前の確認点

売却については入居者の許可を取る必要はありません。

しかし、売却前に入居者へ「購入意思がないか」「退去の予定・意思がないか」という点は確認が必要です。

購入意思がある場合は不動産会社が仲介に入らずに売買することも可能です。その際、仲介手数料がかからない・売却活動の手間がないといったメリットがありますが、個人間売買となるため価格や条件など口約束になりがちです。よほど気を付けないとトラブルを招いてしまいます。心配な場合、手数料はかかりますが不動産会社に依頼し、契約書などの書面を作成してもらうようにしましょう。

退去の予定・意思がある場合は、内覧が行えるというメリットはありますが、次の入居者がすぐ見つからなければ買主に家賃収入が入らないというデメリットもあります。

 

賃貸中の物件を売る方法

賃貸中の物件を売る方法には、入居者に売却する場合、入居者が居住したまま売却する場合、退去してもらって売却する場合があります。

入居者に売却する場合

集合住宅では入居者が複数いるため難しいですが、一戸建てや区分マンションの場合は可能な場合もあります。
物件が気に入っているので購入したいと考えている入居者は意外と多いため、まずは確認してみましょう。

先ほどお話ししたメリットのほか、内覧の対応や立ち退き交渉・立ち退き料の支払いが不要というメリットもあります。

入居者が居住したまま売却する場合

購入や退去の意思がない場合は、賃貸中のまま売却を行うことになります。

2020年4月に改正された民法で、賃借物である不動産が譲渡されたときは、賃貸人(オーナー)としての地位は原則として不動産の譲受人(新たな所有者) に移転するという規定が明文化されました。

新オーナーとの契約が完了すると、旧オーナーと入居者との間で交わされていた「賃貸借契約」の賃貸人が新オーナーに移り、入居者は新オーナーへ家賃を支払うことになります。

入居者にはオーナー変更を伝えなければなりません。
「賃貸人の地位承継通知書及び同意書」としてオーナー変更の旨・オーナー変更した時期・承継する項目などを記載し、振込先の変更を伴う場合はその旨も記して書面を作ります。

敷金は新しいオーナーに引き継がれるため、返還義務は新賃貸人が負うことになる旨についても記載し、入居者に署名・捺印をもらう方法が一般的です。

入居者がそのまま居住する場合は、次のようなメリット・デメリットがあります。

【売主側のメリット】

  • 短期間で売却できた場合、すぐに現金化できる
  • 売却期間中も、入居者がいる限り家賃収入を得られる

【売主側のデメリット】

  • 入居者のいない居住用物件に比べて購入希望者が限定される

【買主側のメリット】

  • 入居者がいる場合、購入してすぐに家賃収入を得られる
  • 利回りの計算がしやすい

【買主側のデメリット】

  • 入居者が居住しているので内覧ができない
  • 自由に改装・建て替えができない
  • 構造部分や水回りの修繕が必要になることがある

入居者が退去してから売却する場合

退去の意思があればそのまま進められますが、借地借家法では「正当の事由」がなければ立ち退きを求めることはできず、立ち退き料の相場は家賃6ヶ月分といわれています。

入居者が退去してから売る場合には、次のようなメリットデメリットがあります。

【売主側のメリット】

  • ハウスクリーニングやリフォーム・修繕を行った状態で売りに出せる
  • 内覧をしてもらえるので売却しやすい

【売主側のデメリット】

  • リフォーム・大規模修繕が必要な物件は買い手が見つかりにくい
  • 入居者に退去の意思がなければ立ち退き交渉・立ち退き料の支払いが必要

【買主側のメリット】

  • 内覧が可能
  • 自由な改築・建て替えが叶う

【買主側のデメリット】

  • 改築・建て替え費用もかかる場合がある

 

賃貸中の物件の売却時に必要な書類と注意点も確認

賃貸借契約書

入居者との意思確認ができたら、次は売却前に必要書類を準備していきます。
不動産会社の査定を受ける前に、通常の不動産売却に必要な書類にプラスして、以下の書類を用意しておきましょう。

 

賃貸中物件を売却する前に用意しておく必要書類

  • 入居者との賃貸借契約書
  • 管理会社との管理委託契約書
  • 写真・図面・リフォームや修繕の履歴がわかる書類

入居者との賃貸借契約書

オーナーチェンジの場合、契約書に記載されている家賃や敷金などの条件や、現在の入居者がどのような人かを新オーナーである買主に知らせる必要があるため、入居者との賃貸借契約書を用意します。

もし、入居者に家賃滞納があるなどのトラブルがあると、新オーナーがかなり不利な立場になってしまう可能性があります。
トラブルが原因で物件が売れにくくなったり売却価格にも影響してしまうので、できるだけ売却前に解決しておくと安心です。

解決せずそのまま売却する場合、新オーナーに告知せずに引き渡すと訴訟にも発展しかねないため、必ず伝えましょう。

管理会社との管理委託契約書

管理会社に物件を委託している場合は、その契約書を用意します。

契約形態は管理委託方式なのか、サブリース方式なのか。
また、管理会社の解約はどうか、実質利回りはどのくらいかなどのチェックも必要です。

写真・図面・リフォームや修繕の履歴がわかる書類

入居者がいるまま売却する場合は内見ができないため、新オーナーの方に安心して購入してもらえるよう、建物内部の写真・図面、リフォームや修繕の履歴が確認できる書類を用意しましょう。

 

賃貸中の物件を売却する時の注意点

入居者が賃貸物件を契約する際には、敷金や保証金を預かっている人が多いでしょう。

賃貸中の物件を売却する際に気を付けなければいけないことは、この敷金・保証金の取り扱いです。
預かった敷金・保証金は修繕費用に充てられ、余った分は入居者へ返還する義務があります。

下記のように、入居者の状況によって返還義務がどちらになるかに左右されます。

  • 入居したまま売る:新オーナーに返還義務を引き継ぐ
  • 退去してから売る:旧オーナーが返還義務を担う
  • 入居者に売る  :旧オーナーが返還義務を担う

もし引き継ぎや返還が行われていないと、いざ入居者が退去する際にハウスクリーニング代などでトラブルに発展する可能性があります。

売却する賃貸物件に入居者がいる場合は、必ず事前に新オーナーへ「敷金・保証金」について引き継いでおきましょう。

また、家賃滞納がある場合は旧オーナーが敷金・保証金から滞納分を差し引き、新オーナーがその残金分の返還義務を引き継ぐのが原則です。

 

賃貸中の物件を売却するときの流れもチェック

商談成立

賃貸中の物件を売却するときの流れをご紹介しましょう。

1.入居者の意思を確認する(購入・退去の意思はないか)
2.査定を依頼する
3.不動産会社と媒介契約を結ぶ
4.売却活動
5.価格交渉・買付申込み
6.旧オーナーから新オーナーへ引き渡し
7.入居者へオーナーの変更通知を行う(入居者が住んだまま売却する場合)

 

1. 入居者の意思を確認する

賃貸借契約は契約期間満了時に自動的に更新されるため、購入や退去の意思があるかの確認は、入居者の賃貸契約期間満了の最低6ヶ月前までには行いましょう。

入居者に退去意向がある場合は、空き家になってから売却活動を始める方がおすすめです。
物件購入を考えている人からすると、内覧ができたりと安心して購入ができます。

 

2. 不動会社に査定を依頼する

不動産会社に査定を依頼する前に、賃貸物件の相場を自分で調べておくと良いでしょう。
相場を知った上で、複数の不動産会社に査定を依頼すると、査定額の比較がしやすいです。

売却予定の物件が、将来的にどのくらいの収益を上げられるかなどの見込みから価格がつけられます。

 

3〜6. 媒介契約を結ぶ、売却活動、価格交渉・買付申込み

3〜6は、契約を結んだ不動産会社が中心に行ってくれます。
条件に合い、信頼できそうな不動産会社と媒介契約を結びましょう。

売却の理由を曖昧にせず、賃貸物件の売却する理由は不動産業者にきちんと伝えることが重要です。
親身になってくれる不動産会社であれば、売却の理由が老朽化など不都合な場合でも適切にアドバイスをしてくれます。

価格は、売り出し価格から値下げ交渉があることを見越して設定しましょう。
不動産会社に任せきりにせず、担当者と連絡を取りながら進めることをおすすめします。

 

7. 入居者へオーナーの変更通知を行う

売却方法でも触れましたが、入居者が住んだまま売却する場合は、新旧オーナーの連名で「賃貸人の地位変更通知書」を作成して入居者へ下記事項を伝達します。

  • 新旧オーナーのそれぞれの名前・住所・連絡先
  • オーナーの変更日(所有権移転登記の日)
  • これまでの賃貸借契約のまま新オーナーへ引き継がれたこと
  • 敷金の返還義務は新オーナーへ引き継がれたこと
  • 家賃の振り込み先の変更案内

入居者の方に変更通知を確認したら、同意書に署名・捺印してもらいます。
この同意書によって、敷金や家賃の扱いが明確になります。
同意書は新オーナーが保管しましょう。

 

賃貸中の物件を売却するデメリットもある?

賃貸中の物件売却は以下のような制約があります。

  • 入居者が居住している場合、購入検討者は内覧ができない
  • 不動産会社によって得手不得手がある
  • 居住中物件を探している人は少ない

 

入居者が居住している場合、購入検討者は内覧ができない

入居者が退去しないかぎり内覧はできないため、購入検討者は部屋がどれくらい劣化しているかを把握できません。
そのため、値引き交渉がされやすいです。

【対策ポイント】

・リフォーム履歴などの記録、室内写真を用意
購入検討者の安心材料になるように、リフォーム箇所を明確に表示しましょう。
室内写真も用意しておくことで、部屋のイメージが沸きやすくなります。

・設備不良などの責任範囲を明確にする
室内に何の設備があり、いつまで旧オーナーは故障を保証するのかを「付帯設備表」などで明確にさせましょう。
引渡し後にエアコンなどの故障が発生した場合は、誰が責任をとるかをあらかじめ決めておくことで、新オーナーになる方も安心できます。

居住中物件を探している人は少ない

購入者で「居住中物件」を探している人は少ないため、成約率を上げる工夫をしなければなりません。

【対策ポイント】

・わかりやすい「レントロール」の作成をする
「レントロール」とは、入居者のプロフィール情報などをまとめた資料です。
売主は、入居者がどんな人なのかをイメージしやすい資料を作成しておくといいでしょう。
家賃滞納はないか?などを購入者はチェックします。

・売却理由を明確にする
購入者は「なぜこの物件を売却するのか」「何か問題があるのか」といった点が気になります。
変に疑われないためにも、事実に沿った理由をわかりやすく明記して伝えしましょう。

 

まとめ

・賃貸中物件を売る方法は3つ
賃貸中物件を売却する方法には「入居者に売却する」「入居者が居住したまま売却する」「退去してもらって売却する」方法があります。売却前に入居者に購入意思はないか、退去予定はないかを確認しましょう。

・賃貸中の物件の売却時に必要な書類と注意点
賃貸中物件を売却する前には「入居者との賃貸借契約書」「管理会社との管理委託書」「写真・図面・リフォーム修繕の履歴がわかる書類」を用意しましょう。旧オーナーから新オーナーに変わる際は「敷金・保証金」の取り扱いについて、「返還義務」はどちらが担うのかをハッキリさせておくことも重要です。

・賃貸中の物件を売却する時の流れ
入居者へ購入・退去の意思を確認し、査定を依頼します。条件に合った不動産会社と媒介契約を結んだあとに売却活動がスタート。購入検討者に価格交渉を行い、契約が完了次第、旧オーナーから新オーナーへ引渡しです。入居者が居住したまま売却をする場合は、全ての手続きが終了してから変更通知を行いましょう。

・賃貸中の物件を売却するデメリット
入居者が居住している場合は、購入検討者は内覧ができないため、値引き交渉がされやすかったり、そもそも居住物件を探している人も少ないことなどがデメリットです。
購入を検討している方にも伝わるように、室内写真やリフォーム履歴などを用意したり、「レントロール」を作成しどんな入居者がいるのかイメージが伝わるように工夫し、対策しましょう。

 

北章宅建では賃貸中物件の提案実績もございますので、お困りの際はご相談ください。

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