相続や名義のこと2020.02.21
不動産を相続放棄しても管理責任が残る?完全に手放すには
こんにちは。北章宅建 小樽店 営業の枝久保です。
相続放棄をして不動産を相続しなければ、所有権がないので固定資産税を払う必要はありません。
しかしここで注意点がひとつあります。
相続放棄をしても不動産の「管理責任」という義務が残る場合があるのです。
今回はこの相続放棄と管理責任の関係についてのお話。
相続放棄をすることで負担が減る部分、管理責任が残ってしまう場合、管理責任が残ってしまった場合にそれも手放して相続不動産と完全に縁を切る方法など…不動産を相続放棄する場合の疑問点を解決していきます。
相続放棄とは?不動産の相続放棄をすれば経済的な負担は減る?
相続放棄とは、資産や負債など遺産すべての相続の権利を放棄することです。
被相続人の死を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申立をすることで相続放棄が可能です。
「不動産は相続放棄するけど、預貯金は相続したい」ということはできず、借金などの負の財産はもちろん、預貯金などその他の財産も一切を放棄するということになります。
一般的には、相続財産総額を調べて負債の方が大きい場合などに相続放棄が検討されることが多いです。
相続放棄をすれば財産を相続することはありませんから、相続税の課税もありません。
また、不動産を所有しなければ年ごとの固定資産税を支払う必要もありません。
不動産の相続放棄についてはこちらでも詳しくご紹介しています。
不動産関係の「相続放棄」その判断や方法、注意点とは?
不動産を相続放棄をしても「管理責任」は残る
誰も使わないからといって不動産を放置していれば、不審者のたまり場になったり壁が崩れて人に怪我をさせたりなど、地域の防犯や衛生、安全に対して悪影響があります。
そのようなことがないように、所有者は不動産を適切に管理する責任があります。
これを「管理責任」と言います。
誰も使っていない土地や建物。
住むわけでもなく売却するのも大変、そして所有しているだけでも費用がかかる…となれば、誰も相続したくないですよね。
しかし、仮に相続人全員が相続放棄をしても、誰も不動産の管理をせずに放置してよいということにはなりません。
被相続人の相続財産を適切な管理者に引き渡すまで、元の相続人には不動産の「管理責任」残ってしまうのです。
【相続放棄をしても管理責任が残るケース】
・相続放棄をするとき亡くなった人の財産を現に占有しているとき
「現に占有」とは「事実上、支配や管理をしている」状態を指します。
たとえば、被相続人の自宅に、被相続人と一緒に暮らしていた相続人は、相続財産である自宅を「現に占有」していたといえるため、相続放棄後も管理しなければなりません。
管理責任を終了させて不動産と完全に縁を切るには
相続放棄をした家の管理責任を終わらせて完全に手放すには、不動産を「相続財産清算人」に引き渡し、国へ帰属させる手続きをしてもらう必要があります。
- 家庭裁判所へ申立をし、相続財産清算人を選任
- 民法で規定された手続きを行い、不動産の権利を国へ帰属させる
不動産の権利が国に移って初めて、管理責任がなくなります。
ただし相続財産清算人の選任の申立には費用がかかり、清算人への報酬支払も必要となります。
不動産の相続放棄を決める前にまず相談。実例も参考に
「使わない不動産は所有しているだけで費用がかかるから相続放棄をしよう」と考えている方は、一度立ち止まって再検討されることをおすすめします。
相続放棄が必ずしも良い判断だとは限りません。
不動産の相続放棄には、こんなリスクが潜んでいる可能性もあります。
- 相続人全員が相続放棄しても管理責任が残る
- 相続財産清算人の選任や報酬に高額な費用がかかる
- 建物には資産価値がなくても、実は土地には資産価値があった
安易に相続放棄を決める前に、ぜひ北章宅建へご相談ください。
売却仲介や買取など、最適な方法をご提案いたします。
北章宅建では、相続した不動産の売却も豊富に取り扱っています。
一部事例をご紹介させていただきます。
亡くなった父名義のままの家を売りたい
亡くなったお父様名義のご実家を売却したいという相談。
売却の為には相続登記が必要となりますので、まずは司法書士の先生をご紹介させていただきました。
相続登記の手続きは自分でも可能ですが、提出書類なども多いため専門家へ依頼するのがおすすめです。
相続登記手続きは当社で買取対応をさせていただきました。
お父様名義のご実家とご自宅の売却相談
老人ホームへ入所されたお父様名義のご実家の売却相談を承り、当社で買取対応をさせていただきました。
当社の不動産買取サービスでは、名義変更の手続きはもちろん、ご実家の不要品の処分まで当社負担で対応いたします。
その後「自分に何かあった時に、子供達に迷惑をかけないように」と、ご自分のご自宅の買い取りについても打ち合わせを進め、お亡くなりになった後には買取対応をさせていただきました。
まとめ
- 相続放棄とは財産や負債、全ての財産の相続する権利を手放すことです。相続放棄をすることで不動産を相続しなければ、相続税や固定資産税を支払う必要はありません。ただし預貯金などその他の財産も相続することはできなくなります。
- 相続放棄をしても、その放棄の時に財産を現に占有しているときは、不動産の管理責任は残ります。不動産が周辺環境に悪影響を及ぼさないよう管理をし続けなくてはならないのです。
- 相続放棄した不動産の管理責任を終了させるには、相続財産清算人を選任し所定の手続きを経て空き家の権利を国へ帰属させなくてはいけません。相続財産清算人の選任には費用がかかり、報酬を支払う必要もあります。
- 空き家の安易な相続放棄は思いもよらないリスクの可能性もあります。管理責任が残る、相続財産清算人の選任に思った以上に費用がかかる、実は土地には資産価値があったなど。相続放棄を決定する前にぜひ一度北章宅建にご相談ください。
北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
空き家の相談や無料査定、相続問題など、どんなことでもお気軽にご相談ください。
著者
小樽店 枝久保 良太平成27年4月より入社致しました。日々勉強して一生懸命頑張らせていただきます。 父母が小樽市内で商売を行っており、昔からこの街には馴染みがあります。2017年に地元に住宅を購入し、よりお客様の気持ちに寄り添いたいと改めて思います。小樽は海と山が近くにあり、自然が多い所が魅力です。 大学時代はサッカーをやっており、冬はスキーを楽しんでいました。これからも休日などに続けていけたらなと思っています。 北章宅建株式会社をこれからも宜しくお願いします。
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