不動産売却のコツ2023.04.14
自然死があった家は事故物件? 売却時に告知義務はあるのか、家の価値はどうなるのかを解説~後編
「事故物件」と呼ばれる物件は、買主や借主に心理的な抵抗が生じる可能性があるため、事故物件であることを事前に告知する義務があります。
とはいえ告知義務は、人が亡くなった物件すべてに課されるものではありません。2021年に国土交通省が公表したガイドラインによると、事故物件とは「自然死や不慮の事故死“以外”の死」や「特殊清掃が必要になる死」が発生でした物件。つまり、自然死ですぐに発見された場合は事故物件に該当せず、告知義務も発生しないのです。
今回は、自然死があった家の売却価格について紹介します。
自然死のあった一戸建てやマンションの売却価格相場
前回の記事でもお伝えしたように、自然死があった家でも事故物件に該当するケースとそうでないケースがあります。事故物件になるかどうかで、売却額はどれくらい変わるのか見ていきましょう。
事故物件は相場よりも安くなる
老衰や病死、突然死で亡くなり、死後すぐに発見された場合は事故物件には該当しませんので、相場に近い価格で売却が可能です。ただし、自然死であっても発見までに一定期間が経ってしまうと事故物件と判断され、相場よりも売却額は下がってしまいます。
自然死や孤独死による事故物件の場合、目安としては仲介での相場に比べ売却価格は1割程度安くなると考えておきましょう。物件の状況によっては、さらに下がるケースもあり、異臭や染みがあると特殊清掃やリフォームの費用が必要になりますので、手元に残る金額はその分少なくなります。
「買取」なら速やかに売却できる
一般の人に売る仲介での売却であれば、査定から契約・引き渡しまで最短でも3カ月はかかります。売却に時間をかけたくない、できるだけ早く売りたいという場合は、不動産会社の買取を検討してみましょう。
買取のメリットは、家を売り出していることを周囲の人に知られずに売却できること、内見の立ち会いなど仲介の場合に必要な手間や時間がかからない、といったことが挙げられます。
一方でデメリットは、仲介で売却する場合より安くなってしまうことです。価格差は以下のようなイメージです。
〈売却価格の例〉相場価格1,500万円の家の場合
仲介…1,350万円~1,500万円程度
買取…945万円~1,050万円程度(仲介よりも3割安)
少しでも高く家を買取してもらうには、複数の不動産会社に査定を依頼し、一番高く買い取ってくれる会社を選ぶとよいでしょう。
まとめ
人が亡くなった家であっても、事故や事件性がない自然死で、かつ死後すぐに発見されていれば売却時の告知義務はありません。自然死で告知義務が発生するのは、発見が遅れ、いわゆる「事故物件」として扱われる場合です。
自然死のあった家が事故物件に該当するかどうかは、それぞれの状況により異なります。自分で判断せず、必ず不動産会社に相談しましょう。
売却方法は、仲介のほかに買取という選択肢もあります。どちらを選択するかは、時間や手間、売却額など、何を優先するかよく考えて選ぶようにしてください。