マンションのこと2020.11.17

マンションの西向きの部屋は売却に不利?方角ごとのメリット・デメリットを解説

マンションを購入する際に、日当たりの良さを重視する人は多いでしょう。そのため南向きの部屋は人気が高く、西向きは不人気のため売却する時も価格が低くなりがちだと言われています。
しかし西向きの部屋には、他の方角にはないメリットもあります。
そこで今回は、マンションの方角ごとのメリットとデメリットをおさらいし、売れにくいと言われる西向きの部屋に焦点を当てて売却方法を解説します。

マンションの方角ごとの金額と特徴

マンションは方角によってメリットとデメリットがあり、それが影響して全く同じ間取りでも売却価格に差が出ます。
なぜそうした差が生まれるのか、方角ごとの特徴を確認しましょう。

方角により価格はどれだけ違う?

マンション選びでは、日当たりの良い方角の部屋の人気が高く、採光が不足しがちな部屋は敬遠される傾向があります。
そのため、リビングにある大きな窓やバルコニーがどの方角かによって、部屋の査定額や人気に影響が出るのです。
方角によってどの程度価格が異なるのか、間取りや階層が同じで部屋の方角だけが異なると仮定して価格の変化を見てみましょう。
リビングの日照時間が最も長い南向きを100%とした場合、一般的には部屋の向きによって価格相場は次のように変わります。
・南向き……100%

・東向き……93~97%

・西向き……91%~95%

・北向き……80%~90%
日当たりの悪い北向きよりは、西向きのマンションの方が高値で売却できますが、さほど条件の変わらない東向きよりもやや安い価格で売却される傾向があります。
ただしここに、周辺の建物の影響を受けず採光が取れて眺望が良い「高階層」、2方面からの採光が確保できる「角部屋」といった人気の条件が加わると、価格も高くなっていきます。
では、方角によるメリットとデメリットを、具体的に見ていきましょう。

南向きマンションの特徴

1日を通して日当たりが良いことから、最も人気が高いのが南向きのマンションです。
日差しのおかげで洗濯物が乾きやすく、日中は電気を点けなくても明るいのが魅力ですが、逆に夏場は室温が高くなり過ぎたり、家具や床が日焼けするという難点もあります。

東向きマンションの特徴

午前中はとても日当たりが良く、部屋の奥まで光が差し込んできて、気持ちよく朝が迎えられます。
午後は日差しが入らなくなります。そのため夏は室温があまり上昇しないので涼しく過ごせますが、冬は部屋が暖まりづらいといった特徴があります。

西向きマンションの特徴

西向きマンションのメリットは、午後からの日当たりが良いことが挙げられます。西日が部屋の奥まで差し込むため、冬は暖房費が大幅に抑えられるほか、室内から夕日や夕焼けを楽しむこともできます。
デメリットは、夏の暑さにあります。
午後から強い日差しがまともに当たるため室内が非常に暑くなり、夏場は冷房が欠かせません。

北向きマンションの特徴

直射日光が当たらないので、家具や床が日焼けすることはほとんどありません。柔らかな光が続くため仕事や勉強はしやすく、順光によって景色もキレイに見られます。
一方で、日当たりが悪いために昼間でも照明を点ける必要があり、冬は暖房も欠かせません。結露や湿気の対策も必要でしょう。
南向きのマンションと隣接していれば、相手のベランダ側と真正面で向き合っているケースもあります。

西向きマンションが売れないと言われる主な要因とは?

西向きは不人気で、なかなか売れないという声を耳にすることがあります。避けられる原因はどこにあるのでしょうか?

①夏の暑さ

先の特徴でも挙げたように、西向きのマンションが敬遠される一番の理由は、夏の暑さにあります。
太陽が西に傾き始める午後から、西日がまともに差し込んでくるため、室温は相当上昇します。
さらに追い討ちをかけるのが、外壁のコンクリートに蓄えられた熱です。室内は遮光カーテンやすだれである程度気温上昇を抑えることができても、外壁に溜まった熱は日没後も室内を暖め続けます。
そのため、気温が落ち着いた夜も冷房が必要になる場合があります。

②家具や床が日焼けする

午後の日差しはとても強い上に、西向きのマンションには日が部屋の奥まで差し込んできます。
西日が長時間当たるため、家具や床が日焼けして変色することがあります。

西向きマンションが好まれる要因とは?

西向きのマンションは敬遠する人がいる一方で、むしろ西向きを積極的に選ぶ人もいます。
マイナスイメージのある西向きをあえて選ぶには、どのような要因があるのかをみていきましょう。

①冬場は暖かい

夏は厳しい暑さの原因となる西日も、冬はこれが長所に変わります。
午後からの強い日差しで室温が上がり、日没後も暖かさが続くためです。
一般的なエアコンだと、部屋を暖めるパワーがあまり大きくないため、多くの家庭ではオイルヒーターやガスヒーターが使われています。西向きのマンションでは、日差しの恩恵で部屋が暖まるため、暖房費を抑えられる可能性があります。

②洗濯物が乾きやすい

西日がしっかり当たるので、午後から洗濯物を干してもよく乾きます。
慌ただしい朝に無理をして洗濯しなくても大丈夫ですし、共働きの家庭であれば、朝干して帰宅後には取り込めるのも嬉しいポイントです。

③午後は長い時間日差しが入る

日当たりの良さで人気の南向きマンションであっても、朝から日没まですべての時間で日差しが入るわけではありません。
特に夏季は、日の出と日の入りは太陽の位置が北寄りになるため、南向きでも部屋に日が差し込むのは日が昇ってしばらく経ってから。日の入り前も同様に、かなり早い時間から室内に日が差さなくなります。
ちなみに7月上旬の東京の日の入りは、午後7時ごろ。南向きマンションに日が差し込むのは午後4時ごろまでですが、西向きマンションでは午後7時前まで日が差し込んでいるのです。
つまり、西向きの方が暗くなるのが遅いのです。午後からは、西向きの方が長時間に渡って明るい室内で過ごすことができます。

④自然光の恩恵が受けられる

このように西向きマンションは、夏場で午後7時ごろ、冬場だと午後5時ごろまで自然光が部屋を明るく照らすため、照明を点ける時間も必然的に短くなります。
西向きのマンションは夏の暑さが不人気の主な理由とされますが、今はエアコンの消費電力は大幅に抑えられていますし、建物の断熱性能も向上しています。
最新のマンションでは、夏の暑さは克服できる領域になりつつあるのです。

⑤リビング以外の部屋も明るい

南向きのマンションは人気物件なだけに、販売主はできる限り南向きの戸数を増やそうと考えます。そのため、南向きのマンションは、間口が狭く奥行が長い住戸になる傾向にあります。
細長い空間を、ふすまなど可動式のもので仕切って2室にする「2室1室」という手法は、理論的には採光が確保できる設計ですが、当然ながらふすまを閉めれば光は入りません。
南向きマンションであっても、明るいリビングの奥の部屋は北に位置していますから、暗い部屋は存在しているのです。
一方、西向きマンションは、南向きに比べて人気が劣る点に配慮して、間口を広くとる傾向があります。しかも「日が当たらない部屋がない」ように設計されていることが多いもの。リビングやバルコニーの向きにばかりとらわれず、それぞれの部屋の採光がどうなっているかもしっかり確認してみましょう。

⑥美しい夕日が見られる

ロケーションにもよりますが、夕暮れ時の美しい景色が楽しめるのも西向きマンションならではの魅力です。
特に高層階や、近隣に視界を遮るものがないマンションからの眺めは格別。夕焼けや夕日に染まる空を眺めながら、癒しの時間が過ごせます。
関東地域でいえば、富士山が見えるのも、西向きのマンションならではの贅沢です。

西向きのマンションをスムーズに売却するには

南向きや東向きと比べてやや人気が劣るため、売却には不利な印象のある西向きマンション。少しでもスムーズに売却活動を進めるには、ある程度の工夫が必要です。
西向きのメリットを最大限アピールできるよう、以下のようなポイントに配慮して進めましょう。

①冬場に売却する

西向きマンション最大の長所は、冬も部屋が暖かいという点です。
この長所を生かすには、売却活動の時期を冬場に設定すること。百聞は一見にしかずです。実際にその快適さを体感してもらえればメリットを理解してもらえるので、売却を有利に進めることができます。
逆に暑さの厳しい夏場の売却は、極力避けるようにしましょう。

②内覧は午後に設定する

日差しの恩恵を十分に感じられるのは、午後です。内覧は、冬場の暖かさがより実感できる午後の時間帯に設定してください。
午後であれば、他にも「室内が明るい」「夕焼けがきれい」など、西向きマンションならではの長所を体験してもらうことができます。

③「買取」を検討する

それでもなかなか売れない場合は、「買取」という手段もあります。
これは、買取専門の不動産会社に直接物件を購入してもらうという方法です。
買取専門の不動産会社は、買取後にマンションをリフォームして新たな価値をつけ、その費用と利益を含めた価格で収益を上げます。
実績のある会社であれば、「夏場は暑い」という西向きマンションの欠点をうまくリフォームで解消し、魅力のある物件に変えてくれます。
立地や築年数など条件次第では、思った以上の高値で買い取ってもらえることもあります。

まとめ

西向きマンションを売却するには、デメリットである「夏場の暑さ」ばかりがフォーカスされないよう、数あるメリットをいかに伝えられるかが鍵を握ります。
例えば断熱性の高いマンションであれば、西向きならでは利点を前面に出すことで、スムーズな売却につながる可能性が高まります。内覧の時期や時間を冬場や午後に設定し、西向きマンションの良さをしっかりアピールできるよう工夫しましょう。
マンション購入を検討している人の中には、西向き物件の特徴に魅力を持つ人もいますし、デメリットも対策次第で快適に過ごすことができるため、必ずしも「住みにくいマンション」ではありません。
西向きは売れにくいという声にとらわれず、ぜひ積極的に利点を生かして売却活動を展開していきましょう。

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著者
マンションの西向きの部屋は売却に不利?方角ごとのメリット・デメリットを解説

後志店 梅津 大樹小樽生まれ、小樽育ちです。 自身で不動産購入と売却を行った経験もあり、売りタイ方・買いタイ方のお気持ちに寄り添ったご提案をできればと思い、日々活動しております。今後はより一層地域に密着して活動して参ります。 不動産のお困り事は、私、梅津にお任せ下さい。

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