不動産売却のコツ2024.08.20

私道持分なしの不動産が売れない理由と売るための対策を解説

こんにちは。イエステーション北章宅建 小樽店の枝久保です。

「私道持分がない不動産は売れないと聞いたけど本当だろうか」
「なぜ売れないといわれるのだろう」

そんな疑問をお持ちではありませんか。

結論から言いますと、私道持分がないと通行や工事などの際、私道の持ち主の許可を得る必要があるため、通常の不動産よりも買い手が付きにくい傾向があります。
そのため、売却するための工夫が必要なのです。

今回のコラムでは、「私道持分なし」で売れない不動産を売却する方法を解説します。
売れない理由や私道持分の概要もご説明しますので、ぜひあわせてご参考にしてください。
路地裏

 

「私道持分なし」とはどのような状態?

「私道持分なし」とは、敷地の所有者に「敷地の前面道路である私道を利用する権利」がない状態のことです。

つまり、通行などで利用する際は、所有者の許可が必要となります。

まずは、私道や私道持分について確認しておきましょう。

 

私道とは

一般的に私道とは、国や都道府県、市区町村が維持管理している「公道」に当てはまらない道路を指し、個人か団体が所有(管理)する道路と定義されます。

誰でも利用できる公道とは異なり、私道は所有者が整備負担の義務を負うことから、原則、所有者や所有者から許可を受けた特定の人しか利用できません。

 

私道持分とは

私道持分とは、私道を複数の人が共有している際、各所有者が持つ所有権の割合のことです。

種類は「共同所有型」と「相互持合型(分割型)」の2種類があり、共同所有型では、私道の周囲にある土地の持ち主が全員で、私道の全体を共有します。

所有者が4人なら、私道持分はそれぞれ平等に4分の1ずつ持つ形ですね。

もう一つの相互持合型は、所有者がそれぞれ私道の一部を所有します。

共同所有の場合は私道全部の利用について、相互持合型の場合は、所有する部分について、ほかの所有者の許可なしに自由に利用可能です。

私道や共有持分については、下記のコラムでも解説しています。
私道を相続した。問題点や注意点が知りたい
共有私道の土地は売りにくい??

 

私道持分なしの不動産が売れない理由

私道持分なしの不動産が売れないといわれるのは、私道持分がある不動産に比べてトラブルが起こりやすく、売却が難しい面があるからです。

具体的には、次のようなデメリットがあり、買い手が付きにくいといえます。

  • 通行するために私道所有者の許可が必要である
  • 承諾なしにはガスや水道などインフラ工事ができない
  • 住宅ローンの審査に通過しにくい

 

それぞれ解説していきましょう。

 

通行するために私道所有者の許可が必要である

先にお伝えした通り、私道持分がない場合、私道を通行するには所有者の許可が必要になります。
「許可を取るのが手間だ」と面倒に思う買い手は少なくないでしょう。

ただし、私道と一口にいっても、下記のように種類があり、建築基準法上の道路は公共性が求められるため、必ずしも通行が妨げられるというわけではありません。

<主な私道の種類>

  • 42条1項3号(既存道路):建築基準法施行前に存在した幅員4m以上の道路
  • 42条1項5号(位置指定道路):個人や企業団体などが築造し、役所に申請して位置を指定された道路
  • 43条2項(2項道路):建築基準法施行前に存在した幅員4m未満の道で、特定行政庁が指定した道路(隣接する敷地に建物の再建築は不可)

 

所有者側が理由をつけ、突然自動車の通行を制限したり、通行料を求めたりするケースを想定し、「トラブルに見舞われたくない」と購入を控える買い手もいます。

 

承諾なしにはガスや水道などインフラ工事ができない

また、インフラ工事の際に必要な掘削を行う際にも、所有者の承諾が必要です。

通行の場合と同じく、承諾料など条件が付けられたり、そもそも承諾がもらえなかったりといった懸念があるのも、需要が下がる原因となります。

 

住宅ローンの審査に通過しにくい

ご紹介したようなトラブルが想定されることもあり、私道持分なしの不動産は通常の不動産よりも価値が低く見積もられ、住宅ローンの担保として認められないケースがあります。

住宅ローン審査に通らなければ、買い主は現金一括で購入するほかなく、ローンの利用希望者は断念せざるを得ないのです。

 

私道持分なしで売れない不動産を売却する方法

住宅街
では、私道持分なしの不動産の売却はいったいどうすれば良いのでしょうか。

おすすめの売却方法として、次の3つが挙げられます。

  • 不動産会社に直接売却する(不動産買取)
  • 通行や掘削の許可を得てから売り出す
  • 私道持分を得てから売却する

それぞれ解説していきます。

 

不動産会社に直接売却する(不動産買取)

最も手間がかかりにくいのは、不動産会社に直接売却する「不動産買取」です。

不動産会社に買い手を探してもらう「仲介」の売却価格より、買取額が下がってしまうデメリットはあります。

しかし、現状そのままで引き渡せますし、何より広告や内覧などの販売活動が必要ないので、早期売却が期待できます。

ポイントとして、複数社に査定を依頼し、査定時に私道持分のない不動産であること、買取も検討していることを伝えるとスムーズですよ。

 

通行や掘削の許可を得てから売り出す

「所有者の許可が必要」という点に不安を感じる買い手は多いため、売り出し前に通行や掘削の許可を得ておくと、通常の不動産と同じように売れる可能性が高まります。

口約束での許可ではなく、「通行承諾書」や「掘削承諾書」という書類の形を取ることがポイントとなります。

売り主が書面でもって許可を得ておけば、買い主にも引継ぎしやすいですし、私道所有者に対して「許可は得ている」と示せる確かな証明にもなるので安心です。

ただし、許可に際して承諾料(ハンコ代)を求められたり、私道持分の所有者が多い場合、許可取りに時間がかかってしまったりするデメリットがある点にはご注意ください。

 

私道持分を得てから売却する

持分がないことがデメリットですので、私道持分を取得してから売り出せば、通常の不動産と同様に売却可能です。

ただし、持分の一部を分筆(分割)して売却してもらう形になるため、境界を確定させたり、測定したり、分筆登記をしたりといった手続きには、2~3カ月ほど時間を要します。

費用がかかること、持分を必ず売ってもらえるわけではないことを含め、持分を買い取る際は余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。

分筆の流れについては「土地の一部を売却する方法とは?「分筆」の手順や費用を解説〜その2」で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご参照ください。

 

まとめ

●私道持分なしの不動産とは
私道持分がない不動産の場合、不動産所有者に「私道を利用する権利」がなく、利用する際は、私道所有者の許可が必要となります。

●私道持分がないと買い手が付きにくい傾向がある
私道持分がないと、通行やインフラ工事などで掘削が必要な際、私道所有者の承諾が必要であったり、住宅ローンに通りにくいデメリットがあったりして、購入を避ける買い手が多い傾向があります。

●私道持分なしの不動産の売却方法
私道持分なしの物件を売却するには、通行や掘削の許可を得る、あるいは私道持分を取得してから売り出す方法が挙げられますが、現状のまま早期売却を希望されるなら、まずは不動産買取の検討をおすすめします。

北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
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著者
私道持分なしの不動産が売れない理由と売るための対策を解説

小樽店 枝久保 良太平成27年4月より入社致しました。日々勉強して一生懸命頑張らせていただきます。 父母が小樽市内で商売を行っており、昔からこの街には馴染みがあります。2017年に地元に住宅を購入し、よりお客様の気持ちに寄り添いたいと改めて思います。小樽は海と山が近くにあり、自然が多い所が魅力です。 大学時代はサッカーをやっており、冬はスキーを楽しんでいました。これからも休日などに続けていけたらなと思っています。 北章宅建株式会社をこれからも宜しくお願いします。

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