土地や空き家のこと2024.08.05
空き家対策特別措置法をわかりやすく解説。空き家管理が一層重要に
こんにちは。イエステーション北章宅建 美唄店の小河です。
「空き家対策特別措置法」とは、増加する空き家問題に対し、空き家の適正な管理や活用をうながすために制定された法律です。
空き家を所有されている場合は特に「罰金や罰則はあるのか」といった、制度の内容が気になる方は多いのではないでしょうか。
そこで今回のコラムでは、空き家対策特別措置法についてわかりやすく解説していきます。
内容や空き家所有者にどんなデメリットやリスクがあるのかもご紹介しますので、ぜひあわせてご参照ください。
空き家対策特別措置法をわかりやすく解説
「空き家対策特別措置法(空家等対策の推進に関する特別措置法)」とは、増え続ける空き家について、適正な管理・活用をうながすために、平成27年(2015年)に施行された法律です。
この法律により、市区町村など自治体(行政)が敷地内に立ち入って空き家の状態を調査したり、所有者の確認のため、個人情報にアクセスしたりできるようになりました。
近隣住民からの苦情を受けるなどした場合に、より早く自治体が空き家問題の解決に向けて動きやすくなったということです。
更に令和5年(2023年)には、「周囲に著しい危険や悪影響を及す前に対処できないか」という視点から、法改正が行われました。
「状態が悪くて居住できない、売れない」といった状況になる前に、適正な管理・活用ができるよう、空き家の状態の悪化を防止する仕組みが追加されたのです。
具体的には、程度に応じて管理状態の悪い空き家を「特定空き家」「管理不全空き家」に区分し、法改正以前よりも早く、行政が適正な管理について関与できるようになりました。
区分の違いについては、のちほどご紹介します。
また、空き家の活用を促したいエリア「空家等活用促進区域」を設けるなど支援策も盛り込まれ、現状の規制を緩和しやすくなった点も重要ですね。
空き家の建て替えや用途変更を行い、居住用以外にも活用の幅を広げやすくなったのです。
空き家対策特別措置法の特定空き家・管理不全空き家とは?
空き家対策特別法では、管理状態の悪い空き家の区分として、「特定空き家」「管理不全空き家」の2つが設けられています。
いずれも、適正に管理がされていない空き家について、自治体が認定する区分です。
2つの区分にどのような違いがあるのか、それぞれ指定される基準をご紹介しましょう。
特定空き家とは
特定空き家は、一言でご説明すると「放置すれば、防災・衛生・景観などの面で、周囲に著しく悪影響・危険を及ぼす恐れがある空き家」です。
空家等対策特別措置法(第2条第2項)には、次のように定義されています。
- そのまま放置すれば、倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
例えば、建物の部材が腐っていたり、損壊したりしていて、今にも倒壊や、外装や屋根などの落下が起こりそうであるとか、すでに破損した部材の一部や立木のはみ出しによって、通行人の邪魔になっているという状態が挙げられます。
害虫やネズミなどが発生しているなど、周辺住民に直ちに解決を求められるような管理状態の悪い空き家は、特定空き家に指定されやすいでしょう。
特定空き家については「特定空き家とは?指定されるデメリットや防ぐための対策も紹介」のコラムでも詳しく解説していますので、ぜひあわせてご参照ください。
管理不全空き家とは
対して、管理不全空き家とは、所有者に定期的かつ適切な管理がされておらず、「そのまま放置すると特定空き家になるおそれがある空き家」です。
令和5年(2023年)の法改正により、新たに追加されました。
次に示すような、放置状態であることが明らかな空き家は、管理不全空き家に指定される可能性があります。
- 建物の部材などに破損がみられる
- 雨漏りやシロアリ被害の痕跡がある
- 庭の雑草が伸び放題になっており、害虫や害獣の発生が懸念される
- 立木の枝の選定や、折れた枝の補修がされていない
- 排水設備などが壊れたままである
- 道に立木の枝などがはみ出している
特定空き家に指定されるほど切迫した状況ではないものの、「いずれ周囲に悪影響が出る」と判断されかねない状態の空き家は、指定される可能性があります。
特定空き家・管理不全空き家になるとどうなる?
では、「特定空き家」や「管理不全空き家」になると、それぞれ自治体は次のような行政指導を行います。
- 管理不全空き家への指定 → 「助言」「指導」を行う
- 特定空き家への指定 → 「助言」「指導」「勧告」「命令」を行う
行政指導を受けて改善されれば、特定空き家および、管理不全空き家の指定は解除されます。
では、それぞれどのような内容なのか、ご紹介していきましょう。
①「助言」
助言は、法的な効力を伴わない行政指導です。
比較的改善しやすい問題について、近隣住民のクレームを受けるなどした自治体は、空き家の所有者に、「適切な管理をしてください」と助言を行います。
②「指導」
指導は、助言と同様に法的な効力はなく、複数人からの苦情などを受けるなどした場合、より強く改善を促すために行われます。
助言に従わなかったり、改善しなかったりした場合に行われます。
また、早急な改善を求めて助言をせずにはじめから指導を行うケースもあります。
③「勧告」
勧告とは、特定空き家に指定された上、指導されてもなお改善が見られない場合に行われる行政指導です。
助言や指導とは異なり、勧告を受けると、固定資産税の優遇措置が受けられなくなるというデメリットがあります。
固定資産税の優遇措置とは、住宅用地に適用され、土地にかかる税負担が軽減される特例をいいます。
勧告された場合は、改善されるまで適用外となり、最大6倍の税金が課せられます。
④「命令」
命令は、特定空き家に指定された上、勧告されてもなお、空き家の所有者が対処しない場合に行われます。
命令に反すれば、税負担が増えるほか、50万円以下の罰金が科されます(空家等対策特別措置法第30条)。
また、改善が見られないとして、自治体が所有者の代わりに対処に動くケースも。
建物の全部や部分的な取り壊しを行うなど、必要な措置を「行政代執行」されてしまえば、かかった費用は所有者に請求されます。
空き家は放置せず、迅速な改善対応が大切
いずれの段階にしても、行政指導を受けたら迅速に、改善に向けて動くことが大切です。
すぐに対応できない状況の場合は、自治体に連絡を入れておき、事情を説明しましょう。
管理を行う余裕がない場合は、劣化が進んでしまう前に、早めに売却を検討することをおすすめします。
空き家の売却方法については「空き家を売却せずに放置は損!?上手な売却方法と流れについて」でご紹介していますので、ぜひご参照ください。
なお、管理不全空き家などに指定される以外にも、放置した結果、倒壊などで損害事故を起こしてしまえば、その責任は所有者が負うことにも注意が必要です。
空き家の倒壊責任や、放置リスクについては下記のコラムで詳しく解説しています。
空き家の倒壊責任はだれが負う?放置するリスクや管理法も解説
空き家を放置するリスクと相続時の対処法
まとめ
●空き家対策特別措置法とは
空き家対策特別措置法は空き家を適切に管理し、活用できるよう進めるために制定された法律です。
●特定空き家・管理不全空き家とは
特定空家とは、現状のまま放置すると、防災・衛生・景観などの観点から、周囲の住環境に著しく悪影響を及ぼす恐れがある空き家です。
管理不全空き家とは、放置すると特定空家になる恐れがある空き家を指します。
●特定空き家・管理不全空き家になると行政指導が行われる
特定空き家などに指定されると、行政指導がなされます。
勧告に従わないと「固定資産税の優遇措置」が適用外となって税負担が増えます。
命令に反すると、50万円以下の罰金が科されるほか、行政代執行がなされれば、解体など必要な措置の費用を請求されてしまいます。
空き家を適切に管理できない場合は、売却の検討がおすすめです。
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著者
美唄店 小河 利也特に担当している岩見沢東部、三笠市、美唄市、奈井江町は地元という事もあり、細かな対応に自信があります。 不動産売買仲介のみならず、買取、賃貸仲介、管理等不動産に関する事はどのような事でもご相談ください。どうぞ宜しくお願いします。
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