不動産売却のコツ2024.02.27
浄化槽付きの物件の売却は可能?売却方法やポイントを解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 江別店の赤井です。
所有する物件に浄化槽がある場合、「浄化槽付きでも売却できるのだろうか」と不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。
結論からいえば、浄化槽付きでも売却は可能ですが、通常の物件とは異なる点に気を配る必要があります。
そこで今回のコラムでは、浄化槽付きの物件の売却方法を解説します。
売却する際のポイントもあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
浄化槽付きの物件は売却可能?
浄化槽とは、微生物の働きを利用して家庭から出た排水を処理し、きれいにするタンクのことです。
一般的には、下水道が整備されていないエリアに設置される設備で、区域の水を一括処理する下水道と異なり、各家庭などに個別に設置されます。
結論から先にいうと、法的な制限はありませんので、売却自体は可能です。
ただし、物件が所在する区域に下水道が整備されている場合とされていない場合とで、売却の手順は異なります。
詳しくはのちほど説明しますが、下水道が整備されていないエリアでは浄化槽付きで、整備されている場合は浄化槽を撤去してから売却するのがおすすめです。
浄化槽付きの物件を売却する方法
先にお伝えしたとおり、浄化槽付きの物件は、「下水道が整備されているか否か」で、おすすめの売却方法が異なります。
- 下水道が整備されている場合:浄化槽を撤去して売却する
- 下水道が整備されていない場合:浄化槽付きで売却する
それぞれ解説していきます。
下水道が整備されている場合:浄化槽を撤去して売却する
物件所在地に下水道が整備されている区域の場合は、浄化槽を撤去してからの売却をおすすめします。
理由は2つあり、まず下水道があれば浄化槽は不要なこと、そして、浄化槽を残したまま売却してしまうと、トラブルが発生する恐れがあるからです。
浄化槽の処分方法には、本体や部材などをすべて取り除く「全撤去」のほか、本体を地中に埋め戻す方法があります。
埋め戻しの場合、全撤去の費用目安である5〜10万円程度よりも安く済む利点があります。
しかし、埋設物として地中に放置されるので、売却後に買い主との間で問題になるかもしれません。
【問題の一例】
- 新築工事の邪魔になり、撤去の手間や費用がかかる
- 災害時、地盤の強度に影響して地盤沈下が起こる
- 浄化槽の内容物が流出し、周囲の衛生に悪影響を及ぼす
場合によっては、上記のような問題の責任を問われ、多額の撤去費用や賠償金を求められる恐れがあります。
不要な浄化槽は撤去してから売却しましょう。
撤去が終われば、30日以内に、浄化槽設置場所の市町村に「浄化槽使用廃止届出書」を提出してください。
地中埋設物については、「土地売却時に地中埋設物が見つかったら?調査方法や撤去について知ろう」で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧くださいね。
下水道が整備されていない場合:浄化槽付きで売却する
物件所在地が下水道が整備されていない区域の場合は、浄化槽を残したまま売却します。
買い主にとっても、生活のために浄化槽が必要だからです。
マナーとして、売り主が使っていた状態のままではなく、清掃や汲み取りをしてきれいにしてから引き渡すことをおすすめします。
できるだけきれいな状態で新生活を始められるよう配慮してあげると、買い主の心象が良くなります。
一般的な浄化槽(5人用が目安)の清掃や消毒の費用は、およそ2〜5万円です。
また、浄化槽本体の耐用年数は30年ほど、浄化槽に空気を送る送風機(ブロアー)は5〜10年ほどとなっています。
年数を超えても使用に耐える場合が多いものの、売却前に点検し、交換の必要がないか確認しておくと、トラブルを回避しやすいでしょう。
設置には目安として100万円前後の高額な費用がかかるため、売り主か買い主のどちらが負担するのか取り決めておくのも大切です。
あらかじめ業者に交換費用の見積もりを依頼しておくとスムーズですね。
浄化槽付きの物件を売却するときのポイント
浄化槽付きの物件を売る際には、次の3つのポイントを押さえておきましょう。
- 空き家であっても電気の供給は続けておく
- 浄化槽付きである旨を隠さない
- 浄化槽の使用者として必要な知識を買い主に伝えておく
それぞれ解説します。
ポイント1|空き家であっても電気の供給は続けておく
まず、売り出す際に注意しておくポイントとして、浄化槽のブレーカーを落としたり、電源を切ったりしないようにしましょう。
電気の供給が止まると、浄化槽内の装置が稼働せず、微生物が生存するために必要な酸素の供給がストップしてしまいます。
浄化機能が停止すれば、排水の処理ができず、悪臭の原因となるでしょう。
「嫌なにおいがする…」と内覧に訪れた人に良くない印象を与えかねないため、空き家であっても電気の供給を続けておく必要があります。
ポイント2|浄化槽付きである旨を隠さない
浄化槽付きである旨をきちんと買い主に伝えておくことも大切です。
前述のとおり、浄化槽が不要な場合は基本的に撤去がおすすめですが、撤去せずに売却したいケースもあるでしょう。
その際、浄化槽は買い主にとっては不要物であり、むしろ将来的にトラブルを起こす可能性があります。
告知すれば撤去費用を求められたり、売却代金の減額交渉をされたりするかもしれませんが、浄化槽の存在を隠してしまうと、問題が起きたときに責任を追及される恐れがあります。
ポイント3|浄化槽の使用者として必要な知識を買い主に伝えておく
売買契約前に買い主に浄化槽の使用者として知っておくべき情報を伝えておくと、売却後のトラブル回避につながります。
買い主のなかには、長年下水道のある地域に暮らしており、浄化槽の知識を持たない人もいるからです。
- 野菜くずを流すと浄化槽に負担がかかり、処理がうまくいかず悪臭の原因になる
- 送風機の振動が室内に響く可能性がある
不動産会社の担当者を通じて、上記のような浄化槽の仕様を知っておいてもらえば、「なんだか悪臭がする」「振動がうるさくてストレスに感じる」といったクレームが起こりにくいでしょう。
浄化槽付きの物件に住むリスクを伝えておき、納得の上で購入してもらうことが大切です。
あわせて、浄化槽には、使用者の責任として、4カ月に1度の保守点検や、年1回の清掃や法定検査が必要になることも伝えておきましょう。
買い主にとって収支計画が立てやすくなるので、費用の金額も伝えてあげると親切だといえます。
まとめ
●浄化槽付きの物件でも売却は可能である
浄化槽付きの物件でも売却は可能ですが、物件所在地が下水道が整備されている区域なら、浄化槽を撤去してからの売却がおすすめです。
下水道がない場合は、浄化槽を残したまま売却しますが、マナーとして清掃や消毒をしてから引き渡したほうが、買い主の心象が良いでしょう。
●浄化槽があるなら空き家であっても電気の供給を止めないことが大切
ブレーカーを落としたり電源を切ったりすると、なかの装置が止まり、排水処理を行う微生物が死滅してしまいます。
悪臭が発生すると、内覧する人にとって悪い印象を与えかねませんので、空き家であっても電気の供給は止めないようにしましょう。
●買い主に浄化槽の情報や注意点を伝えておこう
浄化槽を使用する注意点をあらかじめ買い主に伝えておき、納得した上で購入してもらえば、売却後のトラブルを回避しやすくなります。
点検や清掃等にかかる費用も伝えてあげると親切です。
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著者
江別店 赤井 圭一出会うお客様は一人一人違う想いを持っていらっしゃると思います。それぞれのお客様に共感し、最後には「任せて良かった」とご納得していただける様日々取り組んで参ります。 空知エリアの不動産に関する事は私にお任せください。
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