不動産売却のコツ2023.03.20

セットバックが必要な土地の売却方法を解説。売却のポイントもご紹介

こんにちは。イエステーション北章宅建 石狩店の藤田です。

セットバックが必要な土地を売却したい場合、または所有している土地を調査したらセットバックが必要な土地だった…という場合、「要セットバック」の物件は売れるのだろうか、と不安に感じる方もいますよね。

どんな対策を取れば売りやすくなるのか、という点も気になるでしょう。

今回のコラムでは、セットバックが必要な土地の売却方法を解説します。

セットバックとはそもそも何か、何の目的で行うかといった概要と、売却のポイントもあわせてご紹介しますので、ぜひチェックしてくださいね。

 

そもそもセットバックとは?売りにくい理由も解説

建築基準法の定める道路は、防災と利便性の観点から道路幅4m以上が原則です。
そして道路幅4m未満の道に面している土地には、建物を建築できない、という法律上の規定があります。

ただし特定行政庁の指定を受けた幅員1.8m以上4m未満の「2項道路」については、条件に沿った対策を取れば建築可能になる制度があります。

それが英語で「後退」を意味する「セットバック」です。

道路の中心線から2m(向かい側が水路や線路の場合には道路境界線から4m)後退させ、前面道路の幅員を4mに広げるセットバックを行えば、建築が可能になります。

ちなみに、セットバックは建物の高さ制限を緩和する際に取る方法でもあります。

道路の風通しや日当たりを確保するため、建物の高さを規制する道路斜線制限を、建物もしくは2階をセットバックして建てることで、制限以上の高さで建てることが可能になります。

 

要セットバックの土地の売却前に売れづらい理由も確認

まずは、売却前に通常の土地よりも売りづらくなる理由も知っておきましょう。

 

建築規模が小さくなる

ご紹介したようにセットバックすると敷地面積が減るため、建てられる規模が小さくなります。

たとえば、10m×10m(100㎡)の土地で、前面道路の幅員が3m、道路の向こう側に川があるケース。
幅員4mにするには1m足りません。

通常なら、中心線の両サイドから0.5mずつセットバックが必要です。
しかし、敷地と反対側に、崖地や川、線路などがある場合は後退できないため、例に挙げた土地の場合は、1mセットバックします。

このように具体的に考えると、大きなデメリットといえますよね。

 

セットバックした部分は自由に使えない

セットバックした部分は、道路管理者である自治体に寄付したり、買い取ってもらうのが通常です。
私有地として所有し続ける場合もありますが、道路の一部となるため、所有者は自由に使えません。

門や塀、フェンスも建てることはできず、遊び場などスペースとしても使用不可となっています。

 

防災面での不安・使い勝手の悪さがある

セットバックが必要な土地は、前面道路が狭いため、防災面での不安や、使い勝手の悪さもあり、避けられる傾向があります。

幅が狭いと車両の通行がしづらいので、普段の外出時に不便を感じる点もデメリットの一つです。

 

セットバックが必要な土地の売却方法は?

売りづらいとされるセットバックが必要な土地は、どう売るのが良いのでしょうか。

一般的な売却方法をご紹介します。

 

不動産会社に「買取」をしてもらう

セットバックが必要な土地の売却で、最もおすすめの方法が「買取」です。

不動産売却は、一般的に不動産会社に仲介を頼み、買主(購入希望者)を探す販売活動を行ってもらい売買契約を結びます。

対して「買取」とは、不動産会社が直接買い取る方法をいいます。

仲介で購入希望者を探すと、需要が低くてなかなか買い手が見つからないことも多く、売れない期間における固定資産税や管理・修繕にかかる費用はすべて売主負担です。

不動産会社の「買取」は、仲介に比べて売却価格は安くなる傾向がありますが、すでに買い手が決まっているので、スピーディーに売却ができます。
売却価格は安くてもいいから、とにかく早く売ってしまいたいという方には特におすすめです。

買取の流れなど詳しい内容は「不動産の売却方法、仲介と買取の違いや特徴とは?」でもご紹介しています。

 

建物をリフォームして売る

接道義務の法律の施行前にあった道路に建てられた建物の場合、セットバックをしていないため、取り壊してしまうと次に建てる際にはセットバックが必要になり、その建物より規模が小さくなってしまいます。

そのため、今のままの建物を延床面積を増やさずにリフォームし、売る方法も一つです。

建物の構造部などに大きな劣化がないなら、見た目を整えることで買い手が付きやすくなるかもしれません。

ただし、リフォームにはお金がかかるので、費用が利益を割り込むことがないか、確認することをおすすめします。

再建築不可物件については「再建築不可物件でも売却できる?売却する際のポイントをご紹介」で解説しているので、参考にしてくださいね。

 

建物を解体してセットバックをした状態で売る

建物の劣化が進んでいる場合は、建物の解体・セットバック工事を行い、一般の土地として売却する方法もあります。

セットバックが必要な土地ならではのデメリットがなくなり、買い手の需要が期待できます。

しかし、工事には費用がかかります。
実質的に売却価格が安くなる場合もあるので、まずは不動産会社に相談してみましょう。

 

売却価格からセットバック費用分を減額する

セットバック工事は、道路管理者である自治体が行うこともありますが、所有者が整備・管理をする場合は、相場として20〜80万円ほどかかります。

売却当初から費用分を差し引いて売り出しても良いですし、買い手との交渉時に減額するのも手段の一つ。

「セットバック費用がかかる分、値下げしてもらった」と買い手に思わせることで、スムーズな交渉を期待できます。

 

まとめ

●セットバックとは、土地と道路の境界線から一定の距離を取り、建築可能な部分を後退させること。2項道路に面している土地には、建物を建築できないという規定がありますが、道路の中心線から2m(向かい側が水路や線路の場合には道路境界線から4m)後退させ、前面道路の幅員を4mに広げるセットバックを行えば、建築が可能になります。

●新築・建て替えにはセットバックが必須ですが、セットバックをすると建築規模が小さくなったり、後退した部分のスペースは利用できないなど、デメリットがあります。そのため「要セットバック」の物件は一般的に売りにくい傾向があり、不動産会社に買取してもらうのが最もスピーディでおすすめです。

●仲介で売る場合は、解体してセットバック工事を済ませておくなど、買い手にかかる負担を下げてから売り出すのがポイントとなります。

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