不動産売却の基礎知識2020.11.17

マンション売却に影響する大規模修繕とは?タイミングの見極めや注意点を解説

もし所有するマンションの売却を検討しているなら、大規模修繕工事のタイミングに注意が必要です。なぜなら、大規模修繕の実施はマンションの売却価格に影響するためです。

 

今回は大規模修繕工事と修繕積立金の基礎知識に加え、なぜ大規模修繕がマンションの売却に影響するのか、理由と注意点などをお伝えします。

 

 

マンションの大規模修繕工事と修繕積立金

 

分譲マンションを購入時だけでなく、売却時の価格にも影響を及ぼすという大規模修繕工事と修繕積立金。そもそもどのようなものかご存知でしょうか。

 

マンションの大規模修繕工事とは

 

大規模修繕工事は、快適な住環境を確保してマンションの資産価値を維持するために一定期間ごとに行われる大きな工事で、一般的に12~15年周期で実施されます。

 

設備などにより耐久年数は異なりますが、足場を組む工事をまとめて行う方が費用が抑えられるため、外壁補修や塗装のタイミングに合わせて給排水管やエレベーター、機械式駐車場設備の改修など、さまざまな工事を同時に行うのが一般的です。

 

修繕積立金は大規模修繕に必要な費用

 

マンションの維持管理の工事に必要な費用は、居住者みんなで平等に負担します。

 

大規模修繕工事の費用は高額なため、その段階で一人ひとりから徴収していたのでは、負担が大きすぎて大変です。そのため大規模修繕に備えて、毎月一定額を徴収するのが修繕積立金。収支の管理は管理組合が行うのが一般的です。

 

戸建ても分譲マンションも修理費用の賄い方が異なるだけで、物件の維持・管理にある程度お金がかかることは、どちらも変わりありません。

 

大規模修繕を実施すると修繕積立金が値上げされる?

 

修繕積立金は、マンションの管理組合が長期修繕計画を立てて工事費の概算を出し、そこから毎月いくら積み立てるか決まることが多いです。

 

ところが、計画の甘さや工事費の高騰などにより修繕積立金が不足してしまい、足りない分を補うために値上げされるケースがあります。

 

「大規模修繕工事の実施をきっかけに、修繕積立金が増額される」のは、住み続けるにも、この先売却する上でも大きな問題です。その理由をもう少し詳しくみてきましょう。

 

①長期修繕計画を立てていない

 

一般的に、マンションは管理組合によって長期修繕計画が立てられます。

計画で「10年後に1,000万円程度の修繕積立金が必要」と算出されたのであれば、それに沿って毎月の積立額が設定されます。後から修正されることもありますが、基本的にはこの計画に沿って維持管理が行われます。

 

ところが、中には長期修繕計画が立てられていないマンションも存在します。長期修繕計画がないために十分な積立額が設定されず、大規模修繕を行おうにも「修繕積立金が足りない」という事態に陥ることがあるのです。

 

 

②築年数が経つほど工事費は高くなる傾向に

 

マンションは古くなるほど必要な修繕工事が増えるため、必然的に費用はかさんできます。

そのため毎月支払う修繕積立金は、新築当初は安く、築年数が経つほど高く設定していることが多いのです。

 

ところが築年数に応じた積立金に設定されていなかったり、増額が不十分だったりと、長期修繕計画に不備や漏れがあるケースも少なくありません。こうなると修繕積立金は不足し、大幅に増額される可能性があります。

 

 

③修繕積立金を使い切ってしまった

 

修繕積立金は十数年に一度の大規模修繕工事だけでなく、短期での修繕工事にも利用されます。

 

そのため一度の大規模修繕工事で今まで積み立てたお金を全て使い切ってしまうと、それ以降に行う修繕費用が足りなくなるため、不足分を補うために修繕積立金が値上げされることがあります。

 

もし修繕積立金で大規模修繕工事の費用を賄えない場合には、不足分を住民から臨時徴収することもありますので、注意が必要です。

 

 

マンションの大規模修繕と売却の相関関係

 

修繕積立金は、分譲マンションの所有者が住宅ローンとは別に毎月払わなければならない費用です。この額の多寡は、売却の際にも大きな影響を及ぼします。

 

 

①修繕積立金の値上げはマンション価格の下落につながる

 

修繕積立金が高くなると毎月の支出も増えるため、売却には不利。そのためマンションの売却価格を下げざるを得なくなってしまいます。

 

例えば、3,000万円の分譲マンションを金利1%、35年の住宅ローンで購入しようとすると、月々の返済額は8.4万円程度ですが、これとは別に毎月修繕積立金が発生します。

仮にマンション価格が同じで修繕積立金が1万円の物件と2万円の物件があるとすると、実質負担額は前者が9.4万円程度、後者は10.4万円程度になります。

 

修繕積立金が高くなるほど売れにくくなるため、マンションの売却価格も安くせざるを得ないことがあるのです。

 

例えば、売却価格を2,700万円に下げた場合、同じ条件の住宅ローンだと約7.5万円の支払となり、修繕積立金が2万円の場合でも合計約9.5万円の負担に抑えられます。

 

このように、分譲マンションでは、修繕積立金の額を考慮して売却価格を調整する必要があるのです。

 

 

②修繕積立金の積立残高の少なさは買主にとって不安要素

 

大規模なメンテナンスに備えるための修繕積立金が、どれくらい積み立てられているかは、購入を検討している人にとって非常に重要な情報です。この先長く住み続けるつもりなのに、積立残高が明らかに少ないとなれば、当然不安を感じるでしょう。

 

工事に必要な費用が積立残高で賄えないと、毎月の修繕積立金の値上げや、不足分を補うために臨時徴収する可能性があるからです。

 

売却にあたっては、毎月の修繕積立金の額だけでなく、現在どの程度の額が積み立てされているかも確認しておく必要があります。

 

 

③マンション売却は大規模修繕前がベスト

 

大規模修繕工事の実施後は、積立額が一気に減り、修繕積立金を増額する可能性も出てきます。

 

そのためマンションを売却するなら、大規模修繕工事の実施前がベストです。

 

売却前には事前に大規模修繕の時期や積立金の額を確認すべき

 

では、大規模修繕が行われる時期や修繕積立金の残高は、どのように確認できるのでしょう。

 

①長期修繕計画を確認する

 

まずは長期修繕計画を確認しましょう。

マンション購入時に管理組合からもらった書類の中には、いつ頃大規模修繕が行われるのかや、修繕積立金の額や増額のタイミングなどが明記されているはずです。

 

ただし、管理組合による取り決めにより積立額が変わることもあれば、中にはそもそも長期修繕計画を立てていないマンションもあります。

 

②前回の大規模修繕の時期を確認する

 

次に大規模修繕が行われる時期は、前回の大規模修繕が行われた時期からある程度予測が可能です。

 

大規模修繕工事が行われる間隔はおおよそ一定なので、前回と前々回の工事の間が何年間あったかが分かれば、次回工事が行われる時期もだいたい予測できます。

 

もちろん物件の状態にもよるため、一概に同じ間隔で工事するとは限りませんが、目安にはなるでしょう。

 

③修繕積立金のガイドラインを確認する

 

大規模修繕に必要な金額は、国道交通省が平成23年に出した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」で確認できます。

 

これによると、床面積あたりの修繕積立金の目安額は次の通りです。

 

階数が15階未満の場合、延床面積5,000㎡未満で修繕積立金の平均値は218円/㎡・月、5,000〜10,000㎡で202円/㎡・月、10,000㎡以上で178/㎡・月。階数が20階以上なら平均値は206/㎡・月。

 

例えば15階未満で5,000㎡のマンションで、70㎡の部屋だとすると、

218円×70㎡=15,260円/月

このくらいが修繕積立金の相場だということです。

 

もし現在の修繕積立金が相場よりも安く設定されている場合は、将来的に増額されることで収支のバランスが取れるのかどうかを、しっかり確認するようにしましょう。

 

 

まとめ

 

大規模修繕工事や修繕積立金がマンションの売却にどう影響するのか、理由や注意点を解説しました。

 

マンションを所有する以上、大規模修繕工事は必ず発生します。

 

長期修繕計画がしっかりしていて修繕積立金も妥当な額であれば安心ですが、逆の場合は要注意。マンションの売却価格を下げざるを得ない可能性もあります。

 

マンションの売却を検討している人は、大規模修繕工事が行われる前に売却するのがベスト。長期修繕計画などを事前にしっかり確認して、売却のタイミングを見極めるようにしましょう。

 

イエステーションでは、不動産売却のご相談をいつでも無料でお受けしています。マンション売却に関してお困りのことがあれば、ぜひお気軽にご連絡ください。

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