不動産売却の基礎知識2020.11.07

接道義務とは?家の売却で注意すべきポイントを徹底解説

不動産の売却で気をつけるべきことの一つに、接道義務があります。

接道義務とは、「幅4m以上の道路に土地の端が2m以上接していなければならない」という決まりです。

家の売却をする際には、この決まりを満たしているかどうかを事前に確認する必要があります。

今回は、接道義務とは何かなど、家を売却する際に知っておきたい土地と道路の関係について解説します。

 

接道義務とは

 

建物を建てる際に守るべきルールが建築基準法。この中に「接道義務」という決まりがあります。

接道義務とは都市計画区域内で建物を建てる場合、その敷地が「幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」というルールです。

この規制には、消防車や救急車などの緊急車両がスムーズに通行・活動するためや、緊急時の避難経路確保といった目的があります。

人や車の往来がスムーズにできれば、周辺の往来が増えて活発になりやすいといったメリットもあるでしょう。

一般的な住宅用地の多くは接道義務を満たしていますが、全く道路に面していない敷地や、道路に接していてもその道路の幅員や接道幅が規定以下の場合には、原則として建物を建てることができません。

 

建築基準法で定められた道路とは

 

そもそも、接道義務を満たすための「建築基準法で定められた道路」とは、どんな道路のことでしょうか。その種類には以下のようなものがあります。

 

・道路法による道路(建築基準法第42条1項1号)

・2号道路(建築基準法第42条1項2号)

・既存道路(建築基準法第42条1項3号)

・都市計画法などにより2年以内に造られる予定の道路(建築基準法第42条1項4号)

・位置指定道路(建築基準法第42条1項5号)

・みなし道路(建築基準法第42条2項)

 

以下、それぞれ解説していきます。

 

①道路法の道路

一般的に公道と呼ばれ、国道や都道府県道、市町村道を指します。

幅員が4m以上の一般的な道路と考えればよいでしょう。

 

②2号道路

宅地造成など一定規模以上の開発を行う場合に、土地の中に通された道路です。

都市計画法による開発許可を受けて造られる道路のため、開発道路とも呼ばれます。

6m以上ですが、通行上支障がない場合は4m以上の幅員で認められることもあります。

なお、市道に接する開発道路の場合、開発が終わった後に市に管理が引き継がれて市道となるのが一般的です。

 

③既存道路

建築基準法が施行された昭和25年11月時点ですでに存在していた道路で、幅員4m以上あれば建築基準法における道路とみなされます。

多くは私道のため、既存道路に接している土地を購入して建物を建てる場合は、その道路の所有者は誰なのか、上下水道や都市ガスの管を通すことができるかどうかなどを確認することが重要です。

 

④計画道路

道路法や都市計画法、土地区画整理法などにより、2年以内にできる予定の道路を指します。

計画中や開発途中でまだ道路が存在しなくても、そこに道路があるものとみなされます。

 

⑤位置指定道路

私道の中でも、「一定の条件を満たし特定行政庁からその位置の指定を受けた道路」です。

広い土地を分筆して複数の建物を建てる場合、どうしても敷地の奥には「道路に接していない=接道義務を満たさない」土地ができてしまいます。これをクリアするために必要なのが、位置指定道路を設けるという方法です。

通常、造成地内に設置された道路は「敷地延長」といい、実際には個人の所有する土地を道路のように扱うことで接道義務を満たします。

しかし、敷地の奥に複数戸の建物を建てるようなケースでは、その全てに幅2m以上の接道幅を持たせる必要があります。

実際にそのようにして接道義務を満たしている土地もありますが、この私道部分について位置指定道路として扱ってもらうことができれば、その部分が幅4m以上あればよいことになります。

 

⑥2項道路

幅員が4m未満でも、一定の条件を満たすことで例外的に認められるのが2項道路です。

例えば、敷地に接する道路の幅員が3mであっても、敷地の内1mを道路とみなすことで幅員4mを満たし、建物の建築が可能となります。

敷地を後退させることを、セットバックと呼びます。

接道義務について家を売却する際に確認すべき3つのポイント

 

家を売却する時は、敷地が接道義務を満たしているかどうかを確認しておくことが大切です。確認するためのチェックポイントは、次の3つです。

 

①都市計画区域内かどうか

 

接道義務は、都市計画区域で発生します。そのため、まずは売却する土地がこの区域内かどうかを確認しましょう。

調べ方は、役所内の都市計画課で確認できるほか、Webサービスで確認できる市区町村もあります。

東京都の場合は以下のURLから確認できるようになっています。

 

都市計画情報等インターネット提供サービス

 

②接道している道路の種類

 

次に、接道している道路の種類を確認しましょう。先述の都市計画に関するWebサービスや、役所の建築指導課などで確認できます。

 

道路法による道路の場合は問題ありませんが、既存道路の場合はどのような権利関係になっているかなどを確認しておかなければなりません。

 

さらに私道で敷地延長されている場合には、どのように接道義務を満たしているのか、より綿密に調査する必要があるでしょう。

 

 

③道路の幅員と接道幅

 

最後に、道路の幅員と接道幅を確認しましょう。

 

特に私道で敷地延長の場合には、「誰が私道部分の所有権を持っているのか」「接道幅2mを確保できているのか」を確認する必要があります。

 

また2項道路に接する土地では、セットバックが必要になるため、建てられる建物に制限が課される場合があります。

 

 

接道義務に関する注意点

 

その1●旗竿地の場合

 

接道義務は、「幅員4m以上の道路に2m以上接道している」必要があるため、敷地が旗竿地の場合は竿の部分の幅に注意が必要です。

これは、単に接道幅が2m以上あればよいということではなく、敷地の入り口から敷地内まで全て幅員2m以上なければならない、ということ。竿部分の幅員が一部でも2m未満であれば、接道義務を満たしているとは見なされません。

造成された旗竿地は通常きちんと計算されていますが、分筆により生まれた土地の場合では、部分的に幅2m未満になっていることもあるため、注意して確認しましょう。

 

その2●共有持分道路の場合

 

私道で敷地延長の場合、道路部分は共有持分があるのが一般的です。

この共有持分は、土地の造成地にはしっかり計算されていても、年数が経つにつれ権利関係が変動することは珍しくありません。それによって接道義務を満たさなくなっていることがありますので、注意が必要です。

 

接道義務を満たさない土地はどうなるのか?

 

①原則として建物を建てられない

 

接道義務を満たしていない土地には、新たな建物を建てることができません。

 

現状ある建物は、制約のなかった時代に建てられたもの。解体して更地にすると今の建築基準法が適用されるので、住宅はもちろん、アパートやマンション、店舗など、一切の建築物が建てられません。

 

建物が建てられないとなると、資材置き場や家庭菜園にしか活用できなくなってしまいます。

 

②売却価格が大幅ダウン

 

①の通り、接道義務を満たさない土地は活用方法がかなり限定されるため、周辺の土地と比べて売却価格は大幅に安くなってしまいます。

物件にもよりますが、相場の1割~3割程度まで下がることもあります。

 

③但し書き道路物件として許可を受けられることもある

 

接道義務を満たさない敷地であっても、「但し書き道路」と認められれば建築許可を得られることがあります。それには、以下のような条件を満たすことが前提です。

 

・敷地の周囲に公園、緑地、広場などの広い空地があるまたは、広い空地に2m以上接している

・敷地が農道や類する公共の道(幅員4m以上のもの)に2m以上接している

・避難および安全のために十分な幅員を有する道路に通ずるものに有効に接している

 

とはいえ「但し書き道路」の適合を受けられるかどうかは、敷地の状況や自治体の判断により異なります。上記に当てはまりそうであれば、まずは役所の窓口で相談してみてください。

 

 

接道義務を満たしていない土地を売却する方法

 

接道義務を満たさない土地は、建築物を建てることができないため、売却価格も周辺の土地に比べ大幅に下がってしまいます。

但し書き道路の規定も利用できないとなると、売却する方法はあるのでしょうか? そのポイントを見ていきましょう。

 

①セットバックする

 

敷地の前面道路の幅員が4mに満たず、接道義務を満たさない場合、道路幅員が4mになる位置まで建物を建てずに空けておくセットバックという方法が可能かどうか検討してみましょう。

これは敷地の一部を道路とみなすことで、建築許可を得る方法です。

可能かどうかは、不動産会社や住宅会社に相談すればすぐに調査してもらえます。

 

②隣地を購入するか隣地所有者に売却する

 

接道義務を満たさない土地のうち、敷地延長部分が2mの接道幅を取れない場合は、セットバックでも解決できません。

このようなケースでは、隣地を購入したり、逆に隣地の所有者に買い取ってもらうことを検討してみてください。

これで接道義務を満たせればそのまま売却できますし、合筆した後に、改めて接道義務を満たすように分筆してから売却することもできます。

隣地をそのまま買い取るほか、接道義務を満たすために必要な分だけを買い取る方法も考えられます。

接道義務を満たしていない土地は利用価値が非常に低いため、売却しても通常は二束三文。隣地の所有者と土地購入の折り合いが付き、建て替えも売却もできる土地になれば、活用の幅は一気に広がります。

そのため、隣地の所有者に売却する場合でも、相場程度の価格で買い取ってもらえる可能性があり、双方がメリットを得ることができます。

 

③専門業者に売却する

 

接道義務を満たさない土地は個人には売却しづらくても、専門の業者が買い取るケースがあります。

業者はこうした土地を安く購入し、時間をかけてでも一帯の隣地を買い取ることで、マンション用地として売却するという方法が取れるためです。

 

まとめ

 

所有する土地が接道義務を満たしているかどうかは、土地活用を左右するかなり大きな問題です。

売却を検討する場合、その敷地が接道義務を満たしていなければ売却価格は大きく下がり、その後の対処の仕方も変わってきます。

後になって慌てないよう、まずは接道義務を満たしているかどうかを最初に確認すべきでしょう。

また接道している道路の種類が何かによっては、土地の取り扱いが難しい場合があります。

接道義務を満たしていない、またはそのような不安がある土地の売却を検討している方は、最初から不動産会社に相談しておくと安心です。

イエステーションでも、ベストな売却活動ができるようサポートしています。接道義務を満たしていない土地の扱いにお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。

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