土地や空き家のこと2021.12.25
共有私道の土地は売りにくい??
私道は聞いたことあるけど、共同私道とはどのような道路なのか。
共同私道だと自分だけの私道ではないので、権利や登記がどのようになっているのか知っている方は少ないでしょう。
このような問題は、売却や相続の時に気が付くケースが多く、それが原因で手続きがスムーズに進まない場合もあります。
今回は、共同私道の土地についてご紹介します。
共同私道とは?
共同私道は2種類のパターンに分けられます。
①共同所有型私道
②相互持合型私道
初めて聞く方も多いかと思いますが、同じ共同私道でも権利が異なります。
共同所有型私道とは
共同所有型私道とは、住宅街でよく見かける光景ですが、ひとつの大きな敷地に複数の住宅が建てられ、先は袋小路状の行き止まりになっている道路です。
その道路は、それに面した住宅の所有者が利用する道路であり、不特定多数の人が使う道路ではありません。
共同所有型私道の場合は、面した住宅の所有者と共同で権利を持っています。
相互持合型私道とは?
共同所有型私道で説明した同じ立地形状であるものの、権利も持ち方が大きく異なります。
共同私道の見た目は1つの道路ですが、その中で権利が複数に分かれそれぞれ単独で所有している私道です。
自分の住宅が面している部分に所有権があるとは限らず、トラブルになりやすいパターンとも言えます。
日常の生活では暗黙に、自分の私道を使うことを許可し合っているケースが多いです。
共同私道の種類を調べたい方は、法務局で登記事項証明書を取得すると確認することができます。
共同私道に接した土地の売却
共同私道を売却する際には、その私道の権利状態は買い主にとって気になるポイントとなるため、明確にしておくことが大切です。
全員の共同私道である場合には問題ありませんが、単独で分かれた権利の私道となる場合には下記のポイントを明確にしておきましょう。
①堀削承諾を得る
②共同私道の分割権利を明確に
③私道にかかる費用
堀削承諾を得る
水道管やガス管の整備をするときに、権利者から堀削承諾を得る必要があります。
売却後に承諾が得られないトラブルにならないよう、売却前に承諾を得ておきましょう。
その際は、口頭ではなく書面で署名捺印をしてもらうと安心です。
共同私道の分割権利を明確に
私道の補修工事をする時は、同じ割合の権利であれば、その費用を住宅数で均一に割ることができます。
しかし、権利の割合が異なるケースは、自分の権利がどれくらいあるのか知っておかないと自分の負担額がわからなくなってしまいます。
私道にかかる費用
私道を共有して使用していると、そのエリアのルールとして通行料や整備協力金、堀削承諾料の支払いが発生することがあります。
私道への負担額があることがわかっている場合には、売却時に年間の負担額を伝えるようにしましょう。
共同私道に接した土地で気をつけたいトラブル
共同私道は権利を複数人で所有するため、トラブルになる可能性があるものです。
しかし、しっかりと対策と理解をしておけば、トラブルになることもなく、恐れるものではありません。
代表的なトラブルポイントとしては下記の2つです。
①堀削承諾をもらうことができない
②建築基準を満たしていない
堀削承諾をもらうことができない
私道の共有者に堀削作業の承諾を得たいのに、承諾がとれない可能性もあります。
承諾が得られないと、売却をしたくてもできずに停滞してしまうケースもあるでしょう。
下水道法や民法によって判断されるため、不動産会社や不動産に詳しい弁護士に相談が必要です。
建築基準を満たしていない
築年数が古い物件の場合には、建築基準法が改正され再建築ができないケースもあります。
再建築ができない土地は、利用価値とともに資産価値が下がってしまうため、相場より価格を下げないと売却ができないでしょう。
また、道路幅が足りない場合には、土地の境界を下げるセットバックという手法で、道路幅を広くとることが可能です。
税金にも影響があるため、法務局で地目変更手続きを忘れずに行いましょう。
共同私道の売却は注意点に十分配慮すること
共同私道すべてが売却しにくいわけではありませんが、売却の際に注意しなくてはいけないポイントがあります。
特に、権利が分割された相互持合型私道の場合には、売却前に承諾を得る必要や確認事項があるので覚えておきましょう。