土地や空き家のこと2024.05.10
空き家の相続人がいない場合はどうする?対処法や注意点を解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 美唄店の小河です。
「相続人がいない空き家を処分したいけれど、どうしたら良いのだろうか」
本来なら相続人が引継ぎ、名義人として空き家の処分を行いますが、相続人がいない場合はどのようにして対処すれば良いのか、非常に気になるところです。
そこで今回のコラムでは、相続人がいない空き家への対処方法を解説します。
相続人がいないケースの例や、注意点や対策もご紹介しますので、ぜひあわせて参考にしてください。
空き家の相続人がいないケースとは?
空き家の相続人がいないパターンとしては、「相続人不在のケース」と「相続放棄が行われたケース」の2つに分かれます。
まず、相続人不在のケースとは、法定相続人がおらず、また被相続人の用意した遺言書もない状態を指します。
法定相続人とは、民法で定められた、亡くなった方の遺産の相続権を持つ人です。
一般的には故人の配偶者や子ども、親、兄弟姉妹などが対象であることが多いでしょう。
内縁関係(事実婚)の場合は相続権はありません。
しかし、被相続人と長年一緒に暮らしていた人や、介護していた人も含めて、遺言書にて指定されれば、特別縁故者として相続人になれます。
上記の人が次のような状態の場合は、相続人がいないケースに該当します。
- もともと存在しない
- すでに亡くなっている
- 失踪宣告されている
- 相続人として相応しくないと欠格や廃除の認定がされた
また、相続人が存在していても、負債を引き継ぎたくない場合などに、故人の遺産の一切を相続放棄するケースもあるでしょう。
その場合も、相続人がいないケースといえます。
相続放棄の方法については、「不動産関係の「相続放棄」その判断や方法、注意点とは?」で詳しく解説していますので、ぜひあわせて参考にしてください。
空き家の相続人がいない場合の対処法を紹介
相続人がいない場合、空き家を処分するなどの行為は、周りの人が勝手に行うことはできません。
相続人が全員相続放棄をした場合は、放棄者に管理責任は残っているので、連絡を取り、「相続財産清算人(相続財産管理人)」を選定する手続きを進めてもらう流れとなります。
相続人不在の空き家に対処に必要な「相続財産清算人」とは
相続財産清算人とは、遺産の管理や清算をする人です。
相続人がいない空き家の処分を行うには、相続財産清算人を立て、処分行為を代行してもらう必要があります。
まずは家庭裁判所に申し立て、相続財産清算人を選任してもらいましょう。
申し立てができるのは、下記の人に限られます。
- 被相続人にお金を貸していた人(債権者)
- 遺言書で「財産のうち〇〇を譲る」と特定遺贈を受けた人
- 被相続人と内縁関係にあったなど特別縁故者
- 検察官
申し立てを受け、裁判所が財産の清算に最も適すると判断した人を選任する流れです。
申立人が選んだ人以外に、弁護士、司法書士など専門家が選ばれる場合もあります。
申し立てには、申立書のほか、下記のような添付書類が必要です。
- 被相続人の出生から死亡までがわかるすべての戸籍謄本
- 被相続人の子どもや両親、兄弟姉妹がすでに死亡している場合、その出生から死亡までがわかるすべての戸籍謄本
- 被相続人の住民票除票、あるいは戸籍附票
- 財産一覧がわかる資料
- 相続財産清算人の候補者がある場合はその住民票、あるいは戸籍附票
申立書の書式は、裁判所のホームページ「相続財産清算人の選任の申立書 」からダウンロードできます。
基本的な費用としては、収入印紙代(800円分)と、官報広告料(5,075円)が必要です。
相続財産清算人が許可を得て空き家の売却を行う
空き家の売却は、選任された相続財産清算人が、家庭裁判所の許可を得て手続きを進めます。
許可を得るためには、適正な売却価格や、売却先の明示が必要です。
清算人の業務として、遺産を清算し、債権者への弁済や、特別縁故者の分与に当てるという流れですね。
故人の財産が残れば、最終的には国庫に帰属します。
具体的な相続財産清算人の業務内容は、下記のコラムにて詳しく解説しています。
相続財産管理人が不動産売却を進める方法
空き家の相続人がいない場合の注意点と対策
相続人がいない場合、空き家に対処するには相続財産清算人に、処分行為を代行してもらう必要があるとお伝えしました。
注意点として、相続財産清算人の管理が始まるまでは、相続人に物件を管理する責任があり、「相続放棄したから」といって放置して良いわけではありません。
放置は厳禁|財産管理が始まるまでは定期的な管理が大切
相続財産清算人の管理が始まるまでは、定期的な掃除やメンテナンスを行い、維持管理を行うことが大切です。
万が一、空き家が劣化して損壊し、事故の原因になるなど周囲に悪影響が出ると、その責任を負うことになるでしょう。
近隣に悪影響を及ぼすとして「特定空き家」に指定されると、金銭的な負担が発生する恐れもあります。
詳しくは、こちらのコラムをご覧ください。
空き家を放置するリスクと相続時の対処法
特定空き家とは?指定されるデメリットや防ぐための対策も紹介
また、相続放棄をしても不動産の管理責任義務が残る場合があります。
詳しくは「不動産を相続放棄しても管理責任が残る?完全に手放すには」で解説していますので、あわせてご参照ください。
相続発生前の対策|空き家が相続人不在になるのを防ぐには?
相続人がいなくても、相続財産清算人に任せて対処することはできます。
しかし、選任までにかかる期間の目安は1カ月ほど。
申し立ての必要書類の準備や手続きにも、時間や手間を要します。
可能であれば、相続の発生前、生前に相続人がいない状況を回避できれば、空き家に関する負担を軽減できるでしょう。
法定相続人がいなくても、遺言書を作成して相続人を指定しておいたり、贈与の手続きを取ったりしておけば、清算人を選任する必要はありません。
なお令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化されました。もし相続人が不動産を相続することになった場合は、その所有権を得たことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。正当な理由がないのにその申請を怠ったときは10万円以下の過料が科せられることがありますので、注意が必要です。
また、物件を譲るのではなく、財産分与が目的なら、生前に売却して現金化しておいたほうが、相続する側としても資産として利用しやすいでしょう。
現在使う当てのない空き家をお持ちなら、放置しておくのはリスクが大きいので、資産価値が下がる前に売却したほうが無難です。
有効な遺言書の作成については「その遺言書は本当に有効?無効と有効は何が違う?」で解説していますので、あわせてご覧ください。
まとめ
●空き家に相続人がいないケースは大きく分けて2つ
相続人がいないケースには、「法定相続人がおらず遺言書もない」という相続人不在のケースと、「相続人はいるものの相続放棄が行われた」ケースの2通りがあります。
●相続人がいない空き家に対処するには「相続財産清算人」が必要
相続人がいない場合、売却などの処分行為をするには家庭裁判所に申し立て、相続財産清算人を選任してもらう必要があります。
選任後、清算人が裁判所に許可を取り、売却手続きを進める流れです。
●管理が始まるまでは相続人に管理責任がある
相続財産清算人に管理が移るまでは、相続放棄していても相続人に管理責任があります。
空き家を放置するのは避け、定期的な管理維持を行うことが大切です。
使う予定のない空き家があるなら、売却しておくことをおすすめします。
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著者
美唄店 小河 利也特に担当している岩見沢東部、三笠市、美唄市、奈井江町は地元という事もあり、細かな対応に自信があります。 不動産売買仲介のみならず、買取、賃貸仲介、管理等不動産に関する事はどのような事でもご相談ください。どうぞ宜しくお願いします。
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