土地や空き家のこと2021.10.12
不動産の2022年問題とは?
「マイホームをいつ買おうかな・・・」「うちのマンションはいくらで売れるのだろう・・・」と不安を感じている人も多いでしょう。
東京オリンピックも終了し、コロナウイルスの影響もどうなるのか先行きが難しい状況です。
経済状況などが大きく関わる不動産は、2022年に大きな変化を迎えると言われています。
今回は、不動産業界で注目されている2022年の不動産問題についてご紹介します。
不動産業界で問題視される2022年問題とは?
2022年もっとも注目すべきポイントが「生産緑地」です。
「生産緑地」と言われても、一般の人にはなかなか馴染みはありませんが、これが不動産市場に大きな影響を与える原因になる可能性があります。
・生産緑地とは?
生産緑地は今からではなく、今までもあったことですが、この2022年に変化を迎えるポイントになります。
過去に生産緑地となった農地は、農業以外で使用することを禁止とされていました。
これまでの日本は高度成長期で都市化が進む中で、農家の人からは農業を守るために国に要請をして1974年に生産緑地が定められることになりました。
生産緑地に指定されるのは3つの条件が必要です。
① 用地として適していること
② 300㎡以上の面積
③ 農林業の継続
生産緑地の制度は、30年間は農地として利用することで、税制面の優遇を受けることができます。
その30年目を迎えてくるのが2022年というわけです。
30年目を迎えることで、農地として活用する縛りはなくなり、宅地化が進む可能性が高まります。
宅地化が進むと売り出し物件の増加が見込まれるため、供給過多で不動産価格の暴落が懸念されています。
しかも、東京を始めとする都市部で農業を続けたい農家が多く指定となったため、不動産市場への影響も大きいでしょう。
全国の市街化区域内農地の約9割が三大首都圏に集中しているとされています。
生産緑地で優遇されること
首都圏でも多くの農家が生産緑地に指定された理由としては、税制面で大きなメリットがあったからです。
主に優遇されていたメリットは「相続税の納税猶予」「固定資産税の減額」の2つになります。
① 相続税の納税猶予
生産緑地の指定された農家の優遇面のひとつ「相続税の納税猶予」。
相続税の納税猶予とは、相続によって土地を取得した場合、農業で使用する場合には相続税の一定額を納税猶予ができるというものです。
当てはまる条件は下記の3つとなります。
・農業相続人が死亡した場合
・農業相続人が特例農地等をすべて生前に一括贈与した場合
・市街化区域で農業を20年間継続した場合
このような条件がクリアできれば、納税猶予の対象として申請が可能です。
なお、その農地を譲渡や貸したりした場合、または継続届出書を3年おきに提出しなかった場合、相続税が免除になる前に相続人が農業の継続を廃止した場合には、納税猶予が中断されてしまいます。
このような場合は、その時までさかのぼって課税されることになるでしょう。
② 固定資産税の減額
生産緑地の指定された農家の2つ目の優遇面は「固定資産税の減額」
こちらも生産緑地が増えた大きな原因となるでしょう。
農地の固定資産税は、通常でも宅地よりは安くなっているものの、一般市街化区域農地に関しては、ほぼ宅地並みの評価とされ納税額が大きく下がるわけではありません。
東京や大阪、愛知などの首都圏の農地は、特例市街化区域農地とされ、宅地と同等に評価されてしまいます。
そのため固定資産税の減額は、首都圏の農地であるほどメリットが大きく、生産緑地の進捗に影響をしてきました。
生産緑地解除による問題点
2022年3月には、生産緑地の8割とされる約12,000ヘクタールが、指定の解除とされる予定です。
指定解除後の農家は、後継者問題などでこのまま農業を継続することが難しいところが多いと言われており、宅地で転用される可能性が高いと予測されます。
多くの生産緑地が宅地として不動産市場に出回ると、需要と供給のバランスで空き家が多くなり、物件価格や土地価格の下落に繋がっていくでしょう。
生産緑地指定解除後の対策
この生産緑地解除がくる2022年問題にはいくつかの対策もされています。
① 税制優遇措置10年延長の「特例生産緑地指定制度」
②「都市農地借地法」により農地の貸付が可能
このような対策により、2022年に急激な宅地化は防げると見込まれています。
今後の動向に注目しましょう
リスクや不安材料が目立つ2022年問題ですが、急激な市場への影響を緩和するため対策案もあります。
しかし、不動産市場は2022年問題だけでなく、経済状況や少子高齢化など、さまざまな問題を抱えています。
市場が動きそうなタイミングを見極めて動けるようにしておきましょう。