土地や空き家のこと2024.11.06
土地売却時の測量費用は売主・買主どちらが払う?費用や節約する方法も
こんにちは。イエステーション北章宅建 後志店の梅津です。
「土地売却には測量が必要と聞いたことがあるが、測量費用は誰が負担するのだろうか」
そんな疑問をお持ちではありませんか?
今回のコラムでは、「測量費用は売主と買主のどちらが支払うものなのか」という観点から、土地売却時の測量費用について解説しています。
測量費用の相場や負担を抑える方法もご紹介しますので、ぜひあわせてご参考にしてください。
土地売却時の測量費用は売主・買主どちらが払う?
土地売却時の測量とは、土地の境界や面積を明確化する作業です。
主に、隣地所有者の立ち会いを必要とする「確定測量」と、土地の大まかな現状を把握するだけで立ち会いを要しない「現況測量」の2種類があります。
売買取引や分筆登記などで利用されるのは、確定測量です。
いずれの費用も、一般的には売主が負担するケースが多いです。
理由としては、測量して正確な土地の情報を提供したほうが、買い手の安心材料となり、売買取引がスムーズに進みやすいことが挙げられます。
ただし例外として、買主が強くその土地の購入を希望した場合などでは、交渉が有利に進み、買主側が測量費用の一部や全額を負担するケースもあります。
土地売却での測量費用はどのくらい?
土地売却における測量費用は、確定測量が30〜80万円程度、現況測量の場合は、13〜20万円程度が相場となっています。
測量費用にはいくつかの要因が影響する
価格帯の差が開いているのは、下記のようないくつかの要因によって金額が変動するからです。
- 土地の広さ
- 土地の形状
- 土地に接する隣地の数
- 土地に接する土地の種類(民有地か官有地かの違い)
まず、小さめの土地や四角形など計測しやすい形状の土地よりも、広大な土地や形状がいびつな(複雑な)土地のほうが、作業工程が多く、測量に時間を取られやすいでしょう。
また、隣接する土地の数が多いと、確認を取るべき所有者の数が多くなり、確認作業や立ち会いが増えます。
隣地の種類も、個人・法人の民間が所有する「民有地」と比べて、国や地方自治体が所有する公道や河川などの「官有地」であるほうが、許可申請などの手続きが煩雑になりやすいという違いもあります。
確定測量・現況測量のいずれも、測量は土地家屋調査士に依頼して行いますが(現況測量の場合は測量業者でも可能)、測量するのにどれくらいの労力・時間がかかるか、という点が、費用を高くする要因となります。
確定測量においては、官有地と民有地の境界を確定すること(官民査定)が重要であり、立ち会いや手続きも増えるため高額になりやすく、100万円を超える場合もあるのです。
土地売却での測量費用の内訳
測量費用の内訳もご紹介しましょう。
具体的な測量費用は、主に以下のような項目から構成されています。
<確定測量の場合:30~80万円程度>
- 事前調査費用:約6万円~(法務局にて公簿や図面の取り寄せ、隣接地の所有者調査を行う)
- 測量業務費用:約10万円~(実際の土地測量、境界点検証、境界標設置を行う)
- 書類作成費用:約2万円~(測量結果を基にした申請書や添付書類を作成する)
- 民有地の境界確定立ち会い費用:1万円~/1点1ヶ所あたり
- 官有地の境界確定立ち会い費用:2万円~/1点1ヶ所あたり
官有地が隣接地の場合は60〜80万円程度、民有地の場合は、30〜45万円程度が相場です。
<現況測量の場合:13~20万円程度>
- 現地測量:約10万円~(土地の面積や形状を測定する)
- 現況図面作成:約3万円~(測量結果を基にした現況図面を作成する)
- 交通費:約3,000円〜(現地へ訪問する際の交通費や駐車料金など)
測量の流れは、「確定測量とは?費用の目安や流れ、注意点までチェック!」で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
そもそもその測量は必要?土地売却で測量が必要なケース
結論から言いますと、土地売却において測量をする法的な義務はありません。
しかし、測量を行えば土地の境界や面積が明確化されるため、売却に有利に働きやすいことから、測量が求められるケースは多いのです。
具体的には、主に次のようなケースでは測量が必要とされるでしょう。
測量が必要なケース①境界が不明な土地を売却する場合
隣接地との境界線が曖昧である場合、売却後に買主と隣地所有者間でトラブルになるおそれがあります。
過去に隣地と境界トラブルがあった場合は特に、確定測量を行い、境界標(杭)を設置して、境界の明確化を図ることが大切です。
土地の境界トラブルについては「土地の境界トラブル、どうすればいい? 戸建て・土地売却前に知るべき事例と対策」で詳しくご紹介していますので、ぜひあわせてご参照ください。
測量が必要なケース②登記簿情報と実際の面積が異なる土地を売却する場合
相続した土地などは、前回測量された時期が古かったり、測量技術が不安定であったりといった理由から、登記簿上の情報が現在の状況と違う場合も。
登記簿上の情報より現況面積が小さい場合は、建築できる建物の条件にも影響します。
そのため、測量し、正確な面積を提示しなければ、買主の損失につながり、トラブルに発展するおそれもあります。
測量が必要なケース③地価が高いエリアの土地を売却する場合
地価が高いエリアにある土地は、面積のわずかな違いで販売価格が大きく変動しやすいため、確定測量を行い、正確な面積を把握することをおすすめします。
信頼性の高い情報を提供することで買主の安心につながり、高値での売却も期待できるでしょう。
測量が必要なケース④土地を分筆してから売却する場合
土地を分割して売却するには、それぞれの土地面積や境界を明確する確定測量を行い、正確な情報を登記簿に登録することが必要です。
分筆してから売却を希望される場合は下記のコラムもぜひご参照ください。
土地の一部を売却する方法とは?「分筆」の手順や費用を解説〜その1
土地の一部を売却する方法とは?「分筆」の手順や費用を解説〜その2
土地売却時の測量費用の負担を軽減する方法
最後に、土地売却時の測量費用の負担を軽減する方法をいくつかご紹介しましょう。
不動産会社に直接売却する(不動産買取)
一般の買い手を探すのではなく、不動産会社に直接売却する「不動産買取」であれば、測量を行わずに済む場合があります。
買取の場合は、不動産会社が土地の状態や価値を独自調査して、測量など必要な手続きを行い、再販物件へと仕上げていくからです。
測量費用を節約して、スピーディな取引を希望される方は、土地の査定依頼時に、買取の取り扱いがあるかどうか、不動産会社に相談してみましょう。
過去の測量データを活用する
法務局にて地積測量図が取得できる土地の場合、図面に作成者情報が記載されていることが一般的です。
再び作成者に測量を依頼すれば、過去の測量図や書類などの資料が残っている可能性があり、過去データを参考にしたり、再利用したりして、測量がスムーズに進む期待が持てます。
手間の短縮、コストの節約につながるでしょう。
測量費用の見積もりを複数取って比較検討する
測量費用は一律ではなく、依頼する土地家屋調査士によってサービスや料金体系が異なります。
なるべく複数の調査士から見積もりを取得すれば、それぞれの内容を比較検討でき、最適な業者を選べるでしょう。
買主と費用負担について交渉する
買主が購入に強い興味を持っている場合、費用負担について交渉する余地があります。
「この土地が欲しい!」という気持ちが強ければ、買主は測量費用の一部または全額を負担してくれるかもしれません。
交渉次第で負担が軽減される可能性がありますので、思い切って提案してみる価値はあります。
確定申告で経費として計上することも忘れずに
売却に際し、測量費用は土地を売るためにかかった費用(譲渡費用)として、売却益「譲渡所得」から差し引くことが可能です。
譲渡所得に課税される譲渡所得税の負担が軽減され、実質的なコストダウンにつながります。
譲渡所得税については「不動産売却時の譲渡所得税とは?仕組みや計算方法など詳しく解説」で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご参照ください。
まとめ
●土地売却時の測量費用をどちらが払うのかについては、売主負担が一般的
土地売却時の測量費用は売主が負担するケースが多いです。
買主が強く購入を希望した際は、交渉が有利に進みやすいので、買主が一部・全額を負担する場合もあります。
●土地売却での測量費用の相場を知ろう
土地売却における測量費用は、確定測量が30〜80万円程度、現況測量の場合は、13〜20万円程度が相場となっています。
●土地売却で測量が必要なケースはさまざま!
測量に法的義務はないものの、隣地との境界が不明な土地を売却するなど、取引をスムーズに進めたり、売却後のトラブルを回避したりするために、必要とされるケースは多いです。
●測量費用の負担を軽減する方法も確認
コストダウンを狙うなら、売却方法として不動産買取を検討したり、測量の見積もりを複数業者から取得したりといった方法があります。
買主が購入に強い興味を持っているなら、費用負担について交渉してみるのも良いでしょう。
北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
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著者
後志店 梅津 大樹小樽生まれ、小樽育ちです。 自身で不動産購入と売却を行った経験もあり、売りタイ方・買いタイ方のお気持ちに寄り添ったご提案をできればと思い、日々活動しております。今後はより一層地域に密着して活動して参ります。 不動産のお困り事は、私、梅津にお任せ下さい。
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