ローンやお金のこと2024.01.23
家の売却額相場と築年数の関係は?築年数別の特徴や例外も解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 札幌北店の蛸星です。
「家の売却額と築年数には関係があるのだろうか」と、気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論からいえば、築年数の経過は一般的に、家の売却額を下げる傾向があります。
そこで今回のコラムでは、家の売却額相場と築年数の関係について、築年数別に解説します。
売却額の相場や理由もご紹介しますので、ぜひあわせて参考にしてください。
家の売却額相場に築年数は関係する?
日本では新築需要が高いため、築年数が経つにつれて、売却額の相場も下がっていく傾向があります。
実際、会計上の資産価値を測るものとして、建物にはその建材によって下記のような「耐用年数」の数値が定められています。
建物の種類 | 耐用年数 |
木造住宅 | 22年 |
RC(鉄筋コンクリート)造住宅/ SRC(鉄筋鉄骨コンクリート)造住宅 |
47年 |
出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
定められた年数が過ぎても住宅として利用できなくなるわけではありませんが、「築年数が経つと価値が減る」というイメージが一般的です。
そのイメージが買い手の心理に影響し、「なるべく新しいほうが良い」と築古物件の需要を下げることにつながるのでしょう。
とくに木造住宅の売却相場には、耐用年数の影響が大きいです。
不動産業界では「築20年で価値が尽きる」として査定金額に反映されることが多くなっています。
ただし住宅といっても、一戸建てとマンションでは需要の減少スピードが異なり、戸建てのほうがより早く建物価値がなくなるといえるでしょう。
一般的に、戸建ては木造が多く、マンションはRC造やSRC造のものが多いからです。
家の売却額の相場を築年数別に解説
家の売却額の相場を「一般的な戸建て」と「マンション物件」とに分けて、築年数別に確認していきましょう。
一戸建ての売却相場の目安(※建物部分のみ)
戸建て物件の売却相場は、次の4つが目安となります。ただし建物部分のみの目安につき、実際の売却では土地の価値がプラスされた金額で取引されるでしょう。
- 築5年まで → 新築時の約7割に減少
- 築6~10年まで → 新築時の約5割に減少
- 築11~20年まで → 新築時の約2割に減少
- 築20年超 → ほぼゼロに減少
築5年まで
一般的な戸建て住宅では、築5年までの築浅物件の場合、新築時の約7割ほどの売却額が目安となります。
5年以内であれば、「家の見た目や設備の劣化もほとんどない」と考える人が多く、買い手の需要が高いからです。
注意点として、購入希望者は「物件のきれいさ」を重視します。
内覧に向けて掃除や整理整頓をしておくと、早期・高額売却も期待できるでしょう。
築6~10年まで
築10年経つと、建物価値は新築時の約5割ほどに減少します。
10年という節目は、修繕や取り替えの一つの目安となります。
風雨にさらされて屋根が色あせしたり、バルコニーなどの金属部分がさびてきたり、状態の変化が見えてくる時期といえるでしょう。
もちろん、家を建てる際の工法や建材に費用をかけ、経年劣化しにくいよう工夫していれば、資産価値の減少が緩やかになり、下落幅が狭まることもあります。
築11~築20年まで
築10年を過ぎ、築15年経つ頃には、建物価格は新築時のおよそ2割に下がります。
外壁や設備などは、築15年を目安に修繕・取り替えの検討が必要になる箇所も多く、20年経てば家の大部分を修繕すべきと推奨されることがほとんどです。
建物自体は居住用に使えるので、修繕・リフォームをするなどの工夫をすれば、まだまだ需要が見込めます。
築20年超
築20年を超えた時点で、ほとんど木造住宅の価値はなくなってしまうと想定されます。
まだ家の見た目がきれいなら、「建物付き土地」として売るのがコツ。
建物を安く買ってDIYしたいという人にメリットがあるからです。
ただし、数年放置していた空き家など、居住用に向かない場合は、解体して更地にしたほうが売買取引がスムーズに進む可能性が高まるでしょう。
売りたい物件が空き家の場合は、「空き家が売れない理由とは?売却を叶える方法と売却以外の活用法」もぜひあわせてご覧ください。
空き家が売れない場合の選択肢など、空き家の売却について詳しく解説しています。
マンションの売却相場の目安(※土地の持分を含む)
マンション物件の売却相場は、次の4つが目安となります。こちらは、土地の持分も含まれた金額で表示されています。
- 築10年まで → 築浅物件の約9~8割に減少
- 築11~20年まで → 築浅物件の約7割に減少
- 築21~30年まで → 築浅物件の約4~6割に減少
- 築30年超 → 築浅物件の約3~4割に減少
マンションの売却相場の目安は、東日本不動産流通機構が調査した、2022年の中古マンションの成約状況をもとにお伝えしますね。
築年数 | 価格 | 建物面積 | ㎡単価 | 変化割合 |
築5年まで | 6,638万円 | 63.09㎡ | 105.21万円 | 100.0% |
築6~10年 | 6,193万円 | 66.05㎡ | 93.76万円 | 89.1% |
築11~15年 | 5,543万円 | 69.41㎡ | 79.86万円 | 75.9% |
築16~20年 | 5,250万円 | 70.94㎡ | 74.01万円 | 70.3% |
築21~25年 | 4,290万円 | 69.29㎡ | 61.91万円 | 58.8% |
築26~30年 | 2,832万円 | 63.54㎡ | 44.57万円 | 42.3% |
31年~ | 2,193万円 | 56.25㎡ | 38.98万円 | 37.0% |
出典:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」
※変化割合は、築年数5年までの物件を売却したときの金額を100とし、築年数の経過でどの程度資産価値が下落するかを示したもの
築10年まで
築5年までの築浅物件を10割とすると、築10年ではおよそ8〜9割が目安となります。
築5年以内の戸建て住宅と同様に、室内をきれいに整えておくのがポイント。
見た目重視の購入希望者の需要に応えられます。
条件次第では、スピーディかつ高く売れる期待が持てます。
築11~20年まで
築10年を過ぎると、売却額は築浅物件の7割ほどに減少します。
築12〜15年を目安に、マンションでは全体的な修繕「大規模修繕」が実施されることが一般的。
修繕されていると評価がプラスになりやすいため、経過年数の割に建物の価値は3割程度の減少に留まっているのでしょう。
修繕後は、売却のタイミングとしておすすめです。
築21~30年まで
築20年以上経つと、築浅物件の4〜6割の売却額が目安となります。
バラつきがあるのは、リフォームの有無や立地、間取りなども影響するからです。
売却額は下がりますが、まだまだ市場の需要は見込める段階です。
築30年超
築30年を超えた場合は、築浅物件の3~4割ほど、あるいはそれ以下になる物件もあるでしょう。
なお、1981(昭和56)年以前に建てられた住宅は、新耐震基準を満たしていない可能性があります。
築年数の経過とあわせて防災面からの評価も悪くなり、更に売却額が減少する場合も。
また、築30年を超えた住宅は、年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税から控除できる制度「住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)」を利用できません。※2024(令和6)年1月現在
節税したい買い手の需要が落ち、売れやすさに影響する可能性があります。
家の売却額相場の傾向と築年数が関係ない場合もある
基本的に築年数が古くなると売却額が下がる傾向にあるものの、なかには例外もあります。
家の売却額は「建物の新しさ」だけでなく、家の立地や周辺環境など、いくつかの需要が総合的に影響して決まるものだからです。
例えば、都心のマンションであれば物件が古くても、交通・生活の利便性が良いといった人気のエリアにあるだけで、高く評価されることもあります。
また、デザイナーズマンションなど、特別な構想でもって設計・建築された物件であれば、外観や内装のこだわりを重視する人も多く、市場価値が築年数に影響を受けないことも。
上記は特別なケースですが、物件によって個々の条件は異なるので「築年数が何年以上だから」と一律に売却額が下がるわけではありません。
家の売却に際しては築年数と売却額の関係性を目安にして、物件にどんな需要が見込まれるか多角的に調べ、検討することが重要です。
うまく物件をアピールできれば、思ったより高く売れる可能性もあります。
不動産会社と相談して戦略を練り、適切な広告をするなど、販売方法を工夫してみましょう。
まとめ
●築年数は家の売却額に大きく影響する
家は新築時から年数を経るごとに、売却額が下がっていく傾向があります。
木造戸建て住宅の場合は、築20年を超えると建物の価値がなくなると判断され、土地だけの価格で査定されることが多いです。
●価格は下がっても売れやすさは比例しない
築年数の経過による価格減少と売れやすさの落ち込むタイミングは比例しません。
価格は下がるものの、売れにくくなるわけではないと知っておきましょう。
●家の売却額は築年数だけが影響するわけではない
家の売却額は、築年数だけでなく、立地や間取り、デザインなどさまざまな条件が影響します。
利便性が良く人気の立地であれば、築年数が古くても高く売れる期待もあります。
物件の魅力を多角的に分析して、販売活動を工夫することが大切です。
北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
空き家に関する相談や無料査定、相続問題など、どんなことでもお気軽にご相談ください。
著者
札幌北店 蛸星 香奈実日々、お客様とのふれあいを通じて、新たな発見ができることを楽しみながら仕事をしています。 ご売却、ご購入に限らず、お住まいでお悩みのことがありましたら何でもご相談ください。 過去の経験や知識を活かし、お客様の希望をかなえられるよう、より良い提案をさせていただきます。どうぞ宜しくお願いいたします。
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