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不動産に関する手続き2024.01.30
物件状況報告書とは?告知の義務についてや作成のポイントを解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 美唄店の前平です。
「物件状況報告書とは何だろう?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。
物件状況報告書とは、売却物件の状態を買い主に告知するための書類です。
今回のコラムでは、物件状況報告書とは何か、その目的や記載内容について解説します。
作成時のポイントや、売り主の告知義務についてもあわせてご説明しますので、ぜひ参考にしてください。
物件状況報告書とは?記載の義務はある?
物件状況報告書とは、売却物件の状態を買い主に伝えるための書類です。
記載内容はのちほど詳しくご説明しますが、土地や建物にトラブルはないか、劣化があればどの程度のものか、耐震診断はしているかなどを記入します。
必ず提出しなければならないというわけではありませんが、売り主には物件に関する重要な事項をすべて伝える義務があります。
知っていることをわざと隠したり、伝え漏れがあったりした場合に、物件の不具合や欠陥など「瑕疵(かし)」が見つかると、買い主から契約不適合責任を問われる可能性があります。
契約不適合責任とは、実際の物件が売買契約の内容と異なる際、売り主が果たすべき責任のことです。
問題解決のために、修繕や損害賠償金、契約解除を求められる場合もあります。
「瑕疵を知っていたら購入しなかった」というトラブルを回避するには、物件状況報告書に「物件の現状」を詳細に書き記し、契約前に買い主へ報告することが重要です。
契約不適合責任については「不動産売却で注意すべき瑕疵担保責任とは?責任への対策方法も解説」で詳しく解説していますので、ぜひこちらも参考にしてくださいね。
物件状況報告書の内容・書き方を解説
物件状況報告書は売り主が記載し、売買契約時に買い主に渡す書類です。
書き方に法的な定めはありませんが、記載に漏れやミスがないよう、形式化されています。
仲介を頼む不動産会社によって記入内容が若干異なるので、ひな形や記入用紙をもらって作成するのがおすすめです。
では簡単に書き方をご紹介したところで、物件状況報告書にはどんなことを記入するのか、内容をご紹介していきましょう。
物件状況報告書の記載内容
物件状況報告書の記載内容は、「建物」「土地」「周辺環境」「管理組合」の大きく4つに分けられます。
そして、売却物件の種類により、下記のような違いがあります。
- 一戸建ての場合:「建物」「土地」「周辺環境」の3つ
- マンションの場合:「建物」「周辺環境」「管理組合」の3つ
各項目の記載事項は次のとおりで、瑕疵(かし)の有無や概要、工事や調査の実施状況を書きます。
【建物】
- 雨漏りはないか
- シロアリ被害はないか
- 給・排水管の故障や漏水はないか
- 室内の天井、床、階段、手すりなどの不具合はないか
- 建物の瑕疵(傾き・腐食・不具合等)はないか
- 外壁、基礎の状態はどうか
- 雨樋(あまどい)状態はどうか
- 住宅性能評価を受けているか
- 耐震診断を受けているか
- 増改築・修繕・リフォームの履歴があるか など
【土地】(戸建ての場合のみ)
- 境界確定しているか(越境はないか)
- 土壌汚染の可能性はないか
- 地盤の沈下や軟弱はないか
- 敷地内残存物(旧建物基礎、浄化槽、井戸など)はないか
- 排水桝(ます)はないか など
【周辺環境】
- 騒音・振動・臭気等はないか
- 周辺環境に影響を及ぼすと思われる施設等はないか
- 近隣の建設計画はないか
- 電波障害はないか
- 近隣との申し合わせ事項はないか
- 浸水等の被害はなかったか
- 事件・事故・火災等はなかったか
- その他、引き継ぐべき事項 など
【管理組合】(マンションの場合のみ)
- 管理費・修繕積立金の変更予定はないか
- 管理費・修繕積立金の滞納はないか
- 大規模修繕の予定はないか
- 自治会費等はないか
- 管理組合での討議事項はないか など
物件状況報告書の書き方
続いて、上記の記載項目についてどのように記入するか解説します。
基本的には、まず問題の有無のチェックを行い、問題のある箇所や状況、問題に対してどのように対応しているか記入します。
問題や修繕の履歴があれば、その時期や対応も併記する形です。
いくつか例を挙げますので、ご参考ください。
「雨漏り」の場合
- 現在雨漏りをしていない
- 過去に雨漏りがあった 箇所:
- 修理工事:未・済(昭和・平成・令和 年頃)
- 現在雨漏り箇所がある 箇所:
「給・排水管の故障・漏水」の場合
- 発見していない
- 発見している 箇所・状況:/対応状況:
「管理費・修繕積立金の変更予定」の場合
- 無
- 有 時期:
- 協議中 時期:
不具合や問題があるかどうか(知っているかどうか)という売り主の認識をまず書き入れ、問題があればその内容を具体的に書きます。
修繕工事の時期まで明記しておけば、「〇年に修繕しているなら、しばらくは実施しなくても良さそうだな」などと買い主が修繕計画を立てやすくなります。
マンションの場合、管理費や修繕費の額は月々の収支計画に関わりますので、気になる買主は多いでしょう。
金額はもちろん、金額の変更や滞納状況など、これからの予定がわかっていれば詳しく記入します。
「買い主が知りたいことを書けるだけ記入する」というスタンスが重要です。
物件状況報告書を作成するときのポイント
物件状況報告書を作成するときには、次のポイントに注意しましょう。
- なるべく余裕をもって作成する
- 既存住宅状況調査(インスペクション)を行う
- 買い主の立場に立って記入を行う
1つずつ解説します。
なるべく余裕をもって作成する
物件状況報告書が必要になるのは売買契約時ですが、なるべく余裕をもって作成を心がけましょう。
先にお伝えしたとおり、チェック項目は多岐に渡るからです。
ギリギリで作成すると、期限に間に合わせようと慌ててしまい、記入漏れや書き間違いが起こりやすくなるでしょう。
むしろ販売前から記入しておいたほうが、記入を通じて物件の状態を整理しておけるので、内覧時などに購入希望者からの質問に答えやすくなるメリットがあります。
既存住宅状況調査(インスペクション)を行う
既存住宅状況調査(インスペクション)とは、国土交通省の定める講習を修めた建築士による、住宅の基礎や壁、柱、外壁や屋根、配管といった部分の不具合の状況調査のことです。
ひび割れや雨漏り、劣化などの状態を、目視や計測によって調べます。
費用がかかるものなので必須ではありませんが、プロの目線で状況を把握し、より詳しく物件の状態を調べることができます。
自分の記憶だけでは把握できているか不安、という場合は、活用してみると良いでしょう。
買い主にとっても、物件の適切な情報を得ることができるので、購入時の安心材料となるメリットがあります。
買い主の立場に立って記入を行う
物件状況報告書記入の際は、買い主の立場に立ち、売り主の主観で判断しないことが大切です。
売り主にはあまり気にならない不具合や問題でも、買い主にとっては大きなトラブルに感じることもあるからです。
とくに周辺環境の問題は、「自分は気にならないけど、買い主は気にするかもしれない」と感じ方に個人差があることを心がけたほうが良いでしょう。
例えば隣室から音が響く場合、「昼間は仕事だから関係ない」と判断するのではなく、「昼間在宅する人ならうるさく感じるかも」と考慮することが大切です。
気になることはすべて書いておくと、トラブルを回避しやすくなります。
まとめ
●物件状況報告書とは物件の状態を買い主に伝える書類
物件状況報告書には、建物や土地、周辺環境など、物件の状態・状況を記入します。
マンションの場合は、土地についての記載はありませんが、管理費や修繕積立金、大規模修繕の有無など管理組合に関わる事項の記入があります。
自分の記憶だけでは物件状況の把握に不安があるなら、既存住宅調査を行い、プロに状況判断をしてもらうと、より詳細な書類が作成できますよ。
●契約不適合責任を問われるリスク回避に重要である
売り主には物件に関する重要事項を買い主に知らせる義務があり、義務を怠ると契約不適合責任を問われて、修繕や損害賠償を求められる場合も。
とくに周辺環境の問題は、気になる程度に個人差が出やすいので、主観的な判断ではなく、買い主の立場になって、気になることをすべて記入するスタンスを心がけると、リスクの回避につながるでしょう。
北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
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著者
美唄店 前平 竜斗前職はまったく畑違いの仕事をしていましたが思い切ってこの業界に飛び込んで現在に至ります。住宅、不動産の売買はお客様の人生に深く関われる重要な仕事であり、責任と共に喜びも大きいなと感じています。 地域の不動産の購入・売却のご相談は是非北章宅建にお任せください。
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