不動産管理コラム
不動産管理のこと2023.11.14
アパート・マンションの法定点検とは?必要性や種類など詳しく
こんにちは。イエステーション北章宅建 不動産管理部の佐々木です。
アパートやマンション管理をしている不動産オーナー様が忘れてはいけないのが、法定点検です。
アパートやマンション経営において、法定点検は法律で義務付けられているため、必ず行う必要があります。
今回はアパートやマンション管理に必要な法定点検について解説。
法定点検を行うメリットや法定点検の内容・頻度などについて、詳しくご紹介します。
アパート・マンション管理に必要な「法定点検」とは?
アパートやマンションでは、建物や設備の法定点検の実施が法律で義務付けられています。
法定点検とは、アパートやマンションに住んでいる人々が安全に暮らせるように建物や設備に故障などがないか点検するもの。
アパート・マンションを経営している不動産オーナー様は、必ず行う必要があります。
法定点検を行うことで、事故などを未然に防いで入居者の安全性を確保できるのはもちろん、こまめな点検で大きな修繕が起きる前に故障箇所を発見できるというメリットも。
不動産オーナー様は修繕費用など出費を抑えることにもつながるため、法定点検は入居者にとっても不動産オーナー様にとっても非常に大きなメリットがあるのです。
なお、法律で義務付けられている法定点検のほかに、不動産オーナー様が自主的に行う任意点検もあります。
任意点検は法定点検の項目外の箇所の設備を点検するもの。
例えば、自動ドアや防犯カメラ、機械式駐車場、宅配ボックスなどが該当します。
これらの点検は法律で義務付けられているわけではありません。
しかし、任意点検は設備の不具合を早期発見できたり、入居者が快適に暮らせたりと、大きなメリットがあるため、ぜひ実施を検討してみてはいかがでしょうか。
マンション・アパート管理は、不動産管理会社に委託するほか、自分で行う方法もあります。
不動産オーナー様が自分で管理を行う場合の業務内容などは、「マンション・アパート管理は自分で行える?メリット・デメリットを解説」にて解説していますので、あわせて参考にしてください。
アパート・マンションの法定点検の種類
アパート・マンションの法定点検では、主に下記の点検・検査が義務付けられています。
- 消防用設備点検
- 簡易専用水道管理状況検査
- 専用水道定期水質検査
- 特定建築物定期調査
- 建築設備定期検査
- 自家用電気工作物定期点検
- 昇降機(エレベーター)定期検査
それぞれの内容や頻度、関連する法令などについて、詳しく見ていきましょう。
消防用設備点検
- 【点検頻度】機器点検:6カ月ごと、総合点検:1年ごと
- 【関連する法令】消防法
アパート・マンションは非特定防火対象物と、消防法で定められています。
そのため、アパート・マンションに設置されている「消火器具」「誘導灯」「漏電火災警報器」「火災報知設備」「避難器具」などは、定期的に点検する必要があります。
点検頻度は簡易的な動作確認を行う「機器点検」と、消火設備を実際に作動して点検する「総合点検」があり、消防設備士または消防設備点検資格者が点検を行います。
なお、点検の結果は3年に1回消防署などへ報告が必要で、報告を怠った際は「30万円以下の罰金」または「拘留」に処せられる可能性があるため注意しましょう。
簡易専用水道管理状況検査
- 【点検頻度】1年以内ごと
- 【関連する法令】水道法
アパート・マンションに、容量が10㎥以上の受水槽があり、簡易専用水道を使って水を供給している場合は、1年以内に1回の簡易専用水道管理状況検査が必要です。
受水槽周辺を検査する外観検査のほか、水質検査や書類検査を行います。
検査は誰でもできるわけではなく、地方公共団体の機関や厚生労働大臣の登録を受けた簡易専用水道検査機関に依頼して検査を受けなくてはいけません。
検査を怠った場合は、保健所等からの「指導」ならびに「100万円以下の罰金」に処される可能性があります。
なお、アパート・マンションに浄化槽が設置されている場合は、新規設置後は3〜5カ月以内の水質検査、それ以降は1年ごとの清掃・水質検査と、3カ月ごとの保守点検が義務付けられています。
専用水道定期水質検査
- 【点検頻度】残留塩素検査:毎日、水質検査:1カ月ごと、受水槽清掃:1年ごと
- 【関連する法令】水道法
アパート・マンションで専用水道を使用しており、受水槽の容量が100㎥以上、居住人数が101人以上、導管が口径25mm以上・全長1,500m以上の場合は、専用水道定期水質検査が必要です。
特定建築物定期調査
- 【点検頻度】3年ごと
- 【関連する法令】建築基準法
共同住宅として利用している部分の面積が1,000㎡を超えるアパート・マンションは、特殊建築物に該当し、3年に1回の特定建築物定期調査を行わなくてはいけません。
ただし、自治体によっては調査対象の条件が異なるため、詳しくは物件が所在する自治体に確認してくださいね。
特定建築物調査員や一級建築士・二級建築士の資格を有している人が、主に下記の検査を行います。
- 敷地・地盤
- 建物の外部
- 屋上・屋根
- 建物の内部
- 避難施設
建築設備定期検査
- 【点検頻度】1年ごと
- 【関連する法令】建築基準法
特定建築物定期調査と同様に、共同住宅として利用している部分の面積が1,000㎡を超えるアパート・マンションは、建築設備定期検査を毎年行う必要があります。
ただし、こちらの検査も自治体によっては調査対象の条件が異なるため、詳しくは物件が所在する自治体にご確認ください。
検査は、給排水設備や換気設備、排煙設備、非常用照明装置設備といった設備が該当し、一級建築士・二級建築士の資格を有している人、または建築設備検査員が行います。
自家用電気工作物定期点検
- 【点検頻度】月次点検:1カ月ごと、年次点検:1年ごと
- 【関連する法令】電気事業法
屋外に高圧受電設備を設置しているアパート・マンションに義務付けられているのが、電気主任技術者の資格を有している人による自家用電気工作物定期点検です。
毎月行う月次点検では、区分開閉器の目視点検や電圧・負荷電流ならびに受電倍や配電盤のブレーカー温度の測定などが該当します。
また、年次点検では建物をすべて停電し、絶縁抵抗や蓄電設備の電圧・比重・温度の測定などを行う必要があります。
昇降機(エレベーター)定期検査
- 【点検頻度】1年ごと
- 【関連する法令】建築基準法
建物内にエレベーターがある場合は、一級建築士・二級建築士または昇降機等検査員による昇降機(エレベーター)定期検査を毎年行います。
機械室の通路や階段、戸の施錠、室内が、国土交通省が定めている基準を満たしているかを調査し、特定行政庁に報告するというもの。
報告を怠った場合は、「100万円以下の罰金」に課せられる恐れがあります。
アパート・マンションの法定点検は誰に依頼する?
前述の通り、アパート・マンションで義務付けられている法定点検には、消防用設備点検や専用水道定期水質検査、特定建築物定期調査などさまざまな種類があります。
そして、それらは誰でも点検・検査できるわけではなく、点検の種類によって点検者に必要な資格が異なるため、法定点検は業者に依頼する必要があります。
法定点検は、建物や設備の安全性を確保し、入居者が快適に暮らしていくために必要不可欠なものです。
そのため、法定点検を依頼する業者選びは非常に重要となります。
適切で丁寧な対応をしてくれる業者など、信頼できる業者を選びましょう。
また、法定点検は点検の種類によっては頻繁に行う必要があるため、点検にかかる費用についてもしっかり確認を。
複数の業者に相見積もりをとり、費用ならびに業者の対応を総合的に判断した上で検討しましょう。
当社では、主に戸建てやアパートの消防点検の実施をしています。
当社ではまだ実績がございませんが、法定点検等についてもお知らせいたしますので、お悩みのことがございましたらご相談ください。
まとめ
●アパートやマンションの法定点検は義務
法定点検とは、建物や設備に故障などがないか点検するもので、法律で義務付けられています。法定点検を行うことで、故障や事故を未然に防いで入居者の安全性を確保できる、こまめな点検で大きな修繕が起きる前に故障箇所を発見できるというメリットがあります。
●アパート・マンションの法定点検は複数ある
アパート・マンションの法定点検では、「消防用設備点検」「簡易専用水道管理状況検査」「専用水道定期水質検査」「特定建築物定期調査」「建築設備定期検査」「自家用電気工作物定期点検」「昇降機(エレベーター)定期検査」の点検が義務付けられています。点検・検査の種類によって点検頻度が異なります。
●法定点検は業者に依頼する必要がある
アパート・マンションで義務付けられている法定点検は誰でも点検・検査できるわけではなく、点検の種類によって点検者に必要な資格が異なります。そのため、法定点検は業者に依頼する必要があります。複数の業者に相見積もりをとった上で、費用はもちろん、適切で丁寧な対応をしてくれる業者など、信頼できる業者を選びましょう。
北章宅建では、賃貸アパート・マンション・戸建など不動産管理を行なっております。
アパート・マンションの法定点検に関するお悩みも解決しますので、お気軽にご相談ください。
著者
栗山店 佐々木 博明不動産オーナー様の大切な資産の管理と、入居者様の住環境維持に努めてまいります。些細なことでもお気軽にご相談ください。 どうぞ、よろしくお願い致します。
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