不動産管理コラム
不動産管理のこと2024.10.29
アパート経営を親から引き継ぐ流れや経営継続のメリットなども
こんにちは。イエステーション北章宅建 不動産管理部の佐々木です。
不動産経営にあたり、親からアパート経営を引き継ぐというケースがあります。
引き継ぐと一言で言ってもさまざまなパターンがありますが、その中でも相続をした場合は、どのような流れで引き継ぐことになるのでしょうか。
今回は、アパート経営を親から相続した際の流れや、引き継ぐメリット・デメリットなどについて解説します。
親からアパート経営を引き継ぐパターンとは
親からアパート経営を引き継ぐパターンとして、相続や生前贈与、事業継承、家族信託などがあります。
相続
親が亡くなった際に親から子へとアパートの建物・土地を受け継ぐ相続は、アパート経営を引き継ぐパターンとして最も多いです。
アパート経営を相続することは、小規模宅地等の特例を使って相続税を節税できるなど、節税対策としても有効です。
生前贈与
生前贈与は生きているうちに親が子や孫にアパート経営を引き継ぐというものです。
生前贈与は相続税対策に有効ですが、贈与税が発生します。
贈与税は年間110万円を超える贈与に対して発生しますが、相続時精算課税制度を活用すれば2,500万円までの贈与税を非課税にできます。
事業継承
親が不動産経営を法人化している場合は、事業継承というパターンがあります。
相続や生前贈与との違いは、引き継ぐものが異なること。
相続や生前贈与はアパートという資産を引き継ぎますが、事業継承は資産だけでなく、アパート経営や法人経営も引き継ぎます。
家族信託
家族信託とは、自分の財産を家族に託して管理してもらう方法のこと。
親から子へ家族信託をすれば、アパート経営を行なっている親が認知症など管理ができない状態になった場合などに、子どもがアパートの管理・運用・処分する権利などを持ち、対応することができます。
家族信託を行う際は、弁護士や司法書士に相談し、信託契約書を作成するのがおすすめです。
このように、アパート経営を親から引き継ぐのはさまざまなパターンがあります。
今回のコラムでは、その中でも主流である「相続」に焦点を当ててご紹介していきます。
親からアパート経営を相続する際の流れ
親からアパート経営を相続する流れについてご紹介します。
相続の流れは次のとおりです。
1.ローンの残高を確認する
2.アパートの相続人・分割方法を決める
3.準確定申告をする
4.相続登記をする
5.相続税を申告・納付する
6.入居者にオーナー変更の連絡をする
7.アパート経営を引き継ぐか否か判断する
詳しくご紹介します。
①ローンの残高を確認する
まずは、親から相続するアパートにローンが残っているかを確認します。
ローンが残っている場合は、相続するとローンの返済も行う必要があるため、確認しましょう。
なお、アパート経営をしていた親が団体信用生命保険に加入していた場合は、親が亡くなったときに保険金からローンが完済されます。
そのため、ローン残高があっても子の返済負担はありません。
②アパートの相続人・分割方法を決める
相続人が複数いる場合は、遺産分割協議を開いて誰がどのくらい遺産を相続するかを話し合います。
そして、アパートなどの資産や金銭をどう分割するかを決めましょう。
アパートなどの不動産は、下記の方法で分割するのが一般的です。
- 現物分割:土地を分けてそれぞれの土地を各相続人が取得する方法
- 代償分割:相続人のうちの誰かが不動産を相続し、そのかわりほかの相続人にお金を払う方法
- 換価分割:不動産を売却して、売却代金を相続人全員で分ける方法
現物分割では、物理的に均等に分けられないことも多いです。
相続する資産に差が出てしまう場合は、一人が不動産を相続し、ほかの相続人が金銭を相続するといった方法をとります。
なお、遺言書がある場合は遺産分割協議は開かず、遺言書のとおりに進めます。
相続人が確定したら、アパートの不動産管理会社と取引のある金融機関に連絡しましょう。
③準確定申告をする
相続人が確定したら、相続人は親が生前に得た家賃収入に対する所得税を、準確定申告で親に代わって納税します。
これは相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に行う必要があります。
④相続登記をする
アパートの名義を親(被相続人)から相続人に変更する、相続登記という手続きを行います。
相続登記は2024年4月より義務化されました。
申請期限は、不動産を相続したことを知ったときから3年以内ですので、忘れずに行いましょう。
⑤相続税を申告・納付する
相続開始から10カ月以内に、相続税の申告と納税を行います。
なお、相続税は基本的に現金で一括納付します。
⑥入居者にオーナー変更の連絡をする
アパートの入居者にオーナーが変更したことを伝えます。
親が亡くなると、入居者が家賃を振り込む銀行口座が凍結され、家賃の振り込みができなくなる可能性があります。
入居者への挨拶とともに、対応方法などもあわせて伝えましょう。
⑦アパート経営を引き継ぐか否か判断する
相続登記や入居者への連絡が完了したら、今後アパート経営を継続していくかを判断する必要があります。
アパートの周辺地域を調査したり、築年数や入居率などを総合的に判断したりして、経営を継続すべきかどうかを検討しましょう。
アパート経営の今後や知っておくべきリスクについては下記コラムでご紹介していますので、あわせてご覧ください。
今後のアパート経営はどうすべき?リスクや成功のポイントを紹介
親からアパート経営を引き継ぐメリット・デメリット
相続したアパートの経営を継続することは、メリットがある一方でデメリットもあります。
親からアパート経営を引き継ぐメリット
アパート経営を継続するメリットは、主に次のとおりです。
- 収益になる
- 資産を保有できる
アパート経営は定期的な家賃収入を得られます。
アパートはすでにある状態ですので、初期費用などをかけることなく毎月収入を得られるのは大きなメリットでしょう。
また、アパート経営を継続することは、大きな資産を保有し続けられるということです。
不動産の資産価値は下がりにくいため、景気に左右されない資産を保有できます。
親からアパート経営を引き継ぐデメリット
アパート経営を継続するデメリットは、主に次のとおりです。
- 将来的に収益が下がる可能性がある
- ローン残高がある場合は返済する必要がある
アパートは築年数が経つとともに、家賃を下げざるを得なかったり、空室ができてしまったりする恐れがあります。
そうなると、家賃収入は下がる可能性があるでしょう。
また、団体信用生命保険に加入していないなど、相続時にアパートのローンが残っている場合は、相続人がローンを返済しなくてはいけません。
ローン残高によっては赤字となり、自己資金から補填しなくてはならない場合もあります。
親からのアパート経営、相続後はどうする?
前述のとおり、親からアパートを引き継ぐことにはメリットもデメリットもあります。
それらを踏まえた上で、アパートの経営を引き継ぐのか、売却するのか、アパートを取り壊して土地を別の方法で活用するなど、どうしていくかを検討しましょう。
アパートを引き継ぐ場合は、建物を定期的に清掃・修繕したり、トラブルの対処をしたりと、入居者に満足してもらうためにさまざまな管理業務を行う必要があります。
不動産オーナー様が自ら行うことも可能ですが、管理業務は時間と手間がかかるため、不動産管理会社に委託管理したほうが安心です。
現在すでに委託している不動産管理会社があるものの、対応に不満や疑問がある場合は、アパートを引き継いだタイミングで見直すというのも一つの方法ですよ。
不動産管理会社の選び方については、こちらのコラムもご参考ください。
不動産の管理会社の失敗しない選び方を解説
まとめ
●親からアパート経営を引き継ぐパターンは主に4種類
親からアパート経営を引き継ぐパターンとして、相続や生前贈与、事業継承、家族信託などがあります。親が亡くなった際に親から子へとアパートの建物・土地を受け継ぐ相続は、アパート経営を引き継ぐパターンとして最も多いです。
●親からアパート経営を相続する際の流れ
親からアパート経営を相続する流れは、まずはローンの残高を確認しましょう。次にアパートの相続人・分割方法を決め、相続人が準確定申告をします。そして、相続登記を行い、相続税を申告・納付しましょう。入居者にオーナー変更の連絡をすることは義務ではありませんが、一度挨拶しておくことをおすすめします。その後、今後アパート経営を引き継ぐか否か判断しましょう。
●親からアパート経営を引き継ぐメリット・デメリット
アパート経営を継続するメリットは、「収益になる」「資産を保有できる」こと。初期費用をかけることなく、定期的な家賃収入を得られるのは大きなメリットです。一方、デメリットは「将来的に収益が下がる可能性がある」「ローン残高がある場合は返済する必要がある」ことです。
●親からのアパート経営をどうするか検討を
親からアパートを引き継ぐメリットもデメリットを踏まえた上で、アパートの経営を引き継ぐのか、売却するのか、アパートを取り壊して土地を別の方法で活用するなど、どうしていくかを検討しましょう。アパートを引き継ぐ場合は、不動産管理会社を見直すタイミングでもあります。
北章宅建では、都市部以外の賃貸アパート・戸建てを中心に不動産管理を行なっております。
不動産管理のことでお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
著者
栗山店 佐々木 博明不動産オーナー様の大切な資産の管理と、入居者様の住環境維持に努めてまいります。些細なことでもお気軽にご相談ください。 どうぞ、よろしくお願い致します。
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