不動産管理コラム
不動産管理のこと2026.05.27
アパート経営を共有名義で行う際のリスクと対処法は?解消方法も確認
こんにちは。イエステーション北章宅建 不動産管理部の小幡です。
「アパートを共有名義で相続したけど、このまま経営を続けて問題ないだろうか」
「共有名義はトラブルになりやすいと聞くが、具体的にどんな問題が起きるのか知りたい」
このような不安をお持ちの方も少なくないでしょう。
共有名義のアパート経営は、単独名義に比べるとトラブルが起きやすいといえます。
ただ、すでに共有名義になっている場合でも、状況に応じた対策や解消方法を取ることは可能です。
今回は、アパート経営を共有名義で行う際に知っておきたいリスクと対処法、さらに共有名義を解消する方法まで詳しくご紹介します。

アパート経営を共有名義で行うとどうなる?メリットと起こりやすいトラブルを解説
共有名義でアパート経営が始まる主なケースには、次のような状況がよく見られます。
- 親が亡くなり、複数の子が遺産としてアパートを共同で相続した場合
- 夫婦や兄弟姉妹が購入資金を出し合って取得した場合
- 相続税対策や資金負担の分散を目的として共同購入した場合
きっかけはさまざまですが、共有名義には一定のメリットがある一方で、経営を続けるなかでトラブルにつながりやすい面もあります。
まずは、共有名義の良い面と注意点を整理しましょう。
共有名義の主なメリット
共有名義は、一概に避けるべきものではなく、状況によっては次のようなメリットもあります。
- 購入・取得時の資金を複数人で分担できる
- 相続時に持分で分けやすく、公平性を保ちやすい
- 収益を持分割合に応じて分配できる
このように取得時の資金負担や相続・収益の分け方を整理しやすい点は、共有名義のメリットといえるでしょう。
共有名義で起こりやすいトラブル
一方で、アパート経営は取得して終わりではなく、修繕や管理、将来の売却まで長期的な判断が必要です。
共有名義では、その都度共有者同士で足並みをそろえる必要があるため、経営を続けるなかでやりにくさが表面化することがあります。
主なトラブルのパターンを見ていきましょう。
①経営方針をスムーズに決めにくくなる
修繕のタイミングや家賃設定、管理会社の選定など、アパート経営では継続的な判断が求められます。
共有名義の場合、共有者ごとに考え方が異なると、こうした経営方針をスムーズに決められないことがあります。
特に、持分が2分の1ずつの2人による共有では、意見が割れると判断がまとまらず、対応が止まりやすい点に注意が必要です。
②修繕や売却を思うように進めにくい
不動産全体を売却するには、原則として共有者全員の同意が必要です。
また、修繕や改良も内容によっては共有者間の合意が必要となるため、意見がまとまらないと、必要な対応を進めにくくなります。
その結果、建物の維持管理や資産整理の判断が遅れ、経営上の負担が大きくなる可能性もあります。
③収益や経費の分け方で不満が生じる
家賃収入は、持分割合に応じて共有者へ分配するのが基本です。
一方で、実際の経営では修繕費や管理費などの支出も発生するため、収益の分け方や経費負担の考え方をめぐって不満が生じることがあります。
特定の共有者に管理の手間が偏っている場合は、「負担に対して取り分が見合わない」と感じ、関係悪化につながるケースも考えられます。
④税金や維持費の負担をめぐって揉めることがある
共有名義の固定資産税は、共有者全員が連帯して納税義務を負います。
そのため、誰かが納付に消極的だったり、負担の認識がずれていたりすると、ほかの共有者との間でトラブルになりかねません。
修繕費などの維持管理費についても、負担割合や支払い時期を事前に決めていないと、意見の食い違いが生じやすくなります。
⑤相続を重ねると共有者が増える
共有者が亡くなると、その持分がさらに複数の相続人に引き継がれることがあります。
世代を重ねるごとに共有者が増えると、修繕や売却などの判断に関わる人数も増え、合意形成がより難しくなります。
共有名義だからといって、必ずしも経営が行き詰まるわけではありませんが、将来の売却や相続、管理のしやすさまで見据えると、早めに方針を整理しておくことが大切です。
アパートを親から引き継ぐ流れや経営継続のポイントについては、「アパート経営を親から引き継ぐ流れや経営継続のメリットなどをご紹介」もあわせてご参照ください。
アパート経営で共有名義を避ける・トラブルを防ぐ方法
共有名義は、相続時の公平性や資金負担の分散を考えると、一見選びやすい方法に感じられるかもしれません。
しかし、長期的な管理や将来の売却・相続まで見据えると、共有名義にするかどうかは慎重に判断する必要があります。
まずは、共有名義にしなくても目的をかなえられる方法がないかを検討してみましょう。
共有名義を回避する主な方法
共有名義を避けたい場合は、状況に応じて次のような方法が考えられます。
①誰が相続するかをあらかじめ決めておく
アパートを家族に相続したい場合は、オーナーが存命のうちに取得者を決め、遺言書などで意思を明確にしておく方法があります。
相続時に方針が定まっていれば、「ひとまず共有名義にする」という判断を避けやすくなります。
②生前に売却して現金化しておく
親族間でアパート経営を引き継がない方針が固まっている場合は、生前に売却し、現金化しておくのも一つの方法です。
不動産より現金のほうが分けやすいため、相続時の共有名義を防ぎやすくなります。
③遺産分割協議で分け方を工夫する
相続後であっても、遺産分割協議によって共有名義を避けられる場合があります。
例えば、一人がアパートを取得してほかの相続人に代償金を支払う「代償分割」や、売却代金を分ける「換価分割」といった方法があります。
④家族信託を活用する
将来の管理や相続に備えたい場合は、家族信託の活用が選択肢になることもあります。
家族信託とは、信頼できる家族に財産の管理や処分を任せる仕組みです。
管理や売却の判断をする人と、家賃収入を受け取る人を分けられるため、共有名義のように意思決定がまとまりにくくなるリスクを抑えられます。
共有名義を続ける場合の対策
よく検討した上で共有名義を選ぶ場合や、やむを得ず共有状態を続ける場合は、将来のトラブルを防ぐために、あらかじめルールを決めておくことが重要です。
例えば、次のような点を共有者間で確認しておきましょう。
- 管理方針や役割分担を書面で明確にしておく
- 収益分配や経費負担のルールを設定しておく
- 売却の条件やタイミングを事前に話し合っておく
共有名義は、最初に取り決めをしておくかどうかで、将来の負担感が大きく変わります。
相続や税金に関わる内容もあるため、不動産会社や弁護士・税理士などの専門家に相談しながら進めると安心です。
今後のアパート経営をどう進めるか考えている方は、「今後のアパート経営はどうすべき?リスクや成功のポイントを紹介」も参考にしてみてください。
共有名義になったアパート経営を解消する方法とは?

すでに共有名義でアパートを所有している場合でも、状況に応じて共有状態を解消する方法はあります。
大切なのは、今後もアパート経営を続けたいのか、それとも資産整理や共有関係の解消を優先したいのかを整理することです。
希望する方向性によって、選ぶべき方法は異なります。
①ほかの共有者の持分を買い取り、単独名義にする
今後も自分でアパート経営を続けたい場合は、ほかの共有者の持分を買い取り、単独名義にする方法があります。
単独で所有できれば、修繕や管理、将来の売却についても自分で判断しやすくなります。
ただし、買取価格や資金準備について共有者間で調整が必要になるため、事前に十分な話し合いが欠かせません。
②不動産全体を売却し、代金を分ける
共有者全員がアパート経営を続けない方針で一致している場合は、不動産全体を売却し、持分割合に応じて代金を分ける方法があります。
現金化することで分配しやすくなるため、資産整理を優先したい場合に検討しやすい選択肢です。
ただし、不動産全体を売却するには、原則として共有者全員の同意が必要です。
③自分の持分を第三者へ売却する
ほかの共有者は売却に消極的でも、自分だけ共有関係から離れたい場合は、自分の持分を第三者へ売却する方法もあります。
共有持分のみであれば、ほかの共有者の同意を得ずに売却できます。
一方で、新たな第三者が共有者に加わることで残る共有者との関係に影響する可能性もあるため、事前に十分な検討が必要です。
④共有物分割請求を行う
共有者間の話し合い(協議)がまとまらず、共有状態の解消が難しい場合の最終手段として、裁判所に共有物の分割を請求する方法があります(民法第258条第1項)。
裁判所は、まず共有物を物理的に分ける現物分割、または特定の共有者に取得させ、他の共有者に金銭を支払わせる代償分割(価格賠償)が可能かどうかを検討します。
これらの方法が不可能であったり、分割によって物の価値が著しく下がるおそれがある場合に限り、共有物を売却して代金を分ける競売(換価分割)で共有関係の解消が図られます。
ただし、この手続きは時間や費用がかかる上、裁判所の判断によるため、必ずしも希望通りの結果になるとは限りません。
まずは、弁護士などの専門家を交えて話し合い、ほかの解決策がないか慎重に検討することが大切です。
共有名義の解消には、売買に伴う税金や登記、法的手続きの確認も必要になります。
状況によって適した方法は異なるため、弁護士・税理士・不動産会社と連携しながら進めると安心です。
古くなったアパートの継続か売却かで迷っている方は、「古いアパート経営のお悩み解決。継続か売却かの選択肢」もあわせてご参照ください。
まとめ
●アパート経営の共有名義は、長期的リスクも踏まえて判断する
共有名義のアパート経営は資金負担や収益を分けやすい一方で、意思決定の停滞や相続による共有者の増加など、将来的なトラブルにつながるリスクがあります。
●アパート経営を共有名義にする前に、共有を避ける方法や事前対策を検討する
共有名義の回避には、単独名義での承継、生前売却、遺産分割協議、家族信託など、目的に応じた選択肢があります。
共有名義を選ぶ場合も、管理方針や収益分配、売却条件をあらかじめ整理しておくことが大切です。
●共有名義のアパート経営は、今後の方針に合わせて解消方法を選ぶ
アパート経営を続けたい場合はほかの共有者の持分を買い取る方法があり、資産整理を優先するなら全体売却や持分売却などが考えられます。
状況によって適した方法は異なるため、専門家への相談もご検討ください。
北章宅建では、都市部以外の賃貸アパート・戸建てを中心に不動産管理を行なっております。
不動産管理のことでお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
著者
小樽駅前店 小幡 将大賃貸物件に関するお悩みや不安、ご相談ごとは、どんなに小さなことでも私たちにお任せください。入居者様にとっては毎日の暮らしを支える住まいであり、オーナー様にとっては大切な資産です。だからこそ、お一人おひとりに寄り添い、誠実で丁寧な対応を心がけています。「ここに相談して良かった」と思っていただけるサービスを、これからも提供してまいります。
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