不動産管理コラム
不動産管理のこと2023.09.27
マンション管理における長期修繕計画とは?必要性や注意点を解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 不動産管理部の佐々木です。
マンション管理における「長期修繕計画」というものを耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
マンションの価値や機能を長期的に保ち続けるためには、長期修繕計画がとても重要となります。
そこで今回は、マンションの長期修繕計画について解説。
長期修繕計画とは何かということから、必要性や作成方法、注意点などを、詳しくご紹介します。
マンション管理における長期修繕計画とは?必要性はある?
マンションは時間とともに劣化したり、設備機能が低下したりしていきます。
マンションの価値や機能を長期的に維持していくためには、定期点検や大規模修繕などが必要です。
「長期修繕計画」とは、いつどのような修繕工事が必要になるのか、発生する費用など収支とともにまとめた計画表のこと。
計画の内容を明確かつ詳細にして記録しておく必要があり、その計画は入居者(区分所有者)全員が確認できるように保管する必要があります。
将来に向けて10〜30年分ほどの修繕計画を立て、入居者が安心して暮らせる環境を保持します。
多くの人々が暮らすマンションの安全性を保つためにも、長期修繕計画は必要なのです。
マンションの長期修繕計画を立てる目的
マンションで長期修繕計画を立てる目的として、主に次の3つがあります。
1.将来発生する工事・点検の内容と費用を把握するため
2.修繕積立金の設定額の根拠を提示するため
3.計画修繕工事を問題なく進めるため
それぞれの目的について、詳しくご紹介します。
目的①将来発生する工事・点検の内容と費用を把握するため
マンションは少しずつ劣化していくため、定期的な工事や点検が必要不可欠です。
建物の安全性や価値を維持するためには、適切なタイミングで工事や点検を行う必要があります。
しかし、いざ工事や点検を行うとなった場合に、予算がなければ対応できません。
そうならないためにも、あらかじめ長期修繕計画を立てて、工事・点検の時期や内容を把握し、費用を確保しておく必要があるのです。
目的②修繕積立金の設定額の根拠を提示するため
修繕に必要な費用は、マンションの入居者(区分所有者)が負担し、修繕積立金として積立します。
しかし、入居者に修繕積立金の支払いを要求しても、その金額に根拠性がなければ納得してもらえません。
入居者に納得して修繕積立金を負担してもらうためにも、あらかじめマンションの長期修繕計画を立て、周知する必要があるのです。
ただし、長期修繕計画を立てても、予想以上に劣化が進んでいる場合などは、工事の修繕費用が高くなることがあります。
その際は、修繕積立金の値上げが必要となる場合も。
入居者に修繕積立金の変更を理解・納得してもらうためにも、きちんと詳細まで計画された長期修繕計画が必要不可欠です。
なお、マンションの修繕工事は修繕積立金で行うのが一般的です。
しかし、想定外の修繕費用が発生した場合は、マンション購入時に購入者より修繕費用として一時金でまとめて徴収した「修繕積立基金」を切り崩して補填するケースもあります。
目的③計画修繕工事を問題なく進めるため
マンションの修繕工事は、あらかじめ計画を立てるなど準備期間を含めて、数カ月または1年以上かかるケースが多いです。
修繕工事をスムーズに進めるためにも、長期修繕計画で工事の全体像を把握・共有し、時期や資金などをしっかり理解しておくことが大切です。
マンションの長期修繕計画の作成と見直し
マンションの長期修繕計画は、そのマンションにとって最善の計画を立てるために、マンションごとに作成します。
マンションの設備の耐用年数や美観を保てる期間などを推定し、「建物、施設、設備の対象部位」「工事内容」「修繕周期」「単価数量」「工事推定費用」「修繕実施予定年度」などを定めます。
なお、質の高い長期修繕計画を作成するには、国土交通省のガイドラインに沿って行うのがおすすめです。
標準的な様式を策定している上、修繕積立金の不足を防ぐための推定修繕工事項目や、将来的に修繕積立金の大幅な引き上げを防ぐための均等積立方式による積立金の算出についても記載されています。
長期修繕計画は10〜30年分ほど計画を立てますが、途中で耐震など制度の改訂や想定外の修繕工事などが起こる場合があります。
その場合は修繕計画の見直しが必要です。
想定外の事態に柔軟かつスムーズに対応していくためにも、5年ごとに長期修繕計画を見直しておくと安心です。
国土交通省や物件がある都道府県が定めた基準に沿って管理を行なっているマンションを認定する「マンション管理計画認定制度」では、「長期修繕計画の策定および見直し」も認定の基準として定められています。
マンション管理計画認定制度について、詳しくは「マンション管理計画認定制度とは?評価項目や申請方法などをご紹介!」にて解説していますので、あわせて参考にしてください。
マンションの長期修繕計画の注意点
マンションの長期修繕計画を立てる際には、いくつかの注意点があります。
まずは、修繕積立金と修繕積立基金の金額に注意を。
一般的に、修繕積立金の負担を減らすために、修繕積立基金が設けられています。
マンションの大規模修繕工事が何度も発生した場合、修繕積立金では賄えないことも。
あらかじめ、想定外の工事発生も念頭において修繕積立基金の金額を定めたり、修繕積立金の額を増額したりするなど、費用不足にならないよう注意が必要です。
修繕積立金の増額する場合などは、管理組合で検討ならびに入居者の賛同を得る必要があるため、早めに決議をとるようにしましょう。
また、長期修繕計画をしっかり立てていても、計画通りに進まないケースが多いです。
修繕工事が計画よりも前倒しになった場合は、思ってもいなかった時期に費用が発生することに。
修繕積立金や修繕一時金の徴収などは、工事が前倒しになることも想定して計画しておくと安心です。
まとめ
●マンション管理に長期修繕計画は必要不可欠
長期修繕計画は修繕工事の時期や内容、発生する費用などをまとめた計画表で、入居者が安心して暮らせる環境を保持するために必要不可欠です。マンションで長期修繕計画を立てる目的は主に、「将来発生する工事・点検の内容と費用を把握するため」「修繕積立金の設定額の根拠を提示するため」「計画修繕工事を問題なく進めるため」の3つです。
●長期修繕計画は見直しタイミングも重要に
質の高い長期修繕計画を作成するには、標準的な様式の策定や推定修繕工事項目などを記載している、国土交通省のガイドラインに沿って行うと良いでしょう。長期修繕計画は10〜30年分ほど計画を立てますが、耐震制度の改訂や想定外の修繕工事などが起こることもあるため、その際は修繕計画の見直しが必要になります。
●想定外の工事に備えて工事費用の用意を
マンションの大規模修繕工事が何度も発生した場合は、修繕積立金では賄えないことも。費用不足にならないように、想定外の工事発生を想定して修繕積立基金の金額を定めたり、修繕積立金の増額を検討したりすることが大切です。また、長期修繕計画で立てた計画よりも、修繕工事が前倒しになる場合に備えて、修繕積立金や修繕一時金の徴収は早めに検討しておきましょう。
北章宅建では、賃貸アパート・マンション・戸建など不動産管理を行なっております。
マンションの長期修繕計画に関するお悩みも解決しますので、お気軽にご相談ください。
著者
栗山店 佐々木 博明不動産オーナー様の大切な資産の管理と、入居者様の住環境維持に努めてまいります。些細なことでもお気軽にご相談ください。 どうぞ、よろしくお願い致します。
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