相続や名義のこと2026.03.31
農地の相続で困ったら?必要な手続きと選択肢を解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 後志店の梅津です。
「農地を相続することになったものの、農業を続ける予定がない…」
「相続にはどんな手続きが必要なのだろうか」
そんなお悩み・不安を抱えていらっしゃいませんか?
農地は一般的な宅地と異なる法律の制約があり、手続きも複雑です。
今回のコラムでは、農地を相続した際に必要な手続きの基本から、相続後の選択肢とそれぞれのメリット・デメリット、農地を手放したい場合の方法と注意点まで解説します。
状況の整理や今後の検討の際に、ぜひ参考にしてください。

農地を相続したらまず何をする?必要な手続きと基本ルール
農地を相続した際は、下記の3つの手続きが必要です。
- 相続登記
- 農業委員会への届出
- 相続税申告(相続税が発生した場合)
相続登記と相続税申告は一般的な宅地でも必要な手続きですが、農地の場合はこれに加えて農業委員会への届出が義務となります。
農地は農地法という法律の下で管理されているからです。
宅地のように自由に売ったり、駐車場や住宅地として使い方を変えたりすることができない点も大きな違いです。
相続後の方針を考える前に、まずそれぞれの手続きの概要を確認しておきましょう。
必要な手続き①相続登記(法務局への申請)
相続登記は、亡くなった方名義の農地を相続人の名義に変更する手続きです。
2024年(令和6年)から義務化されており、原則として相続を知った日から3年以内に法務局へ申請する必要があります。
期限内に手続きを行わないと、10万円以下の過料が科される場合があるため、早めに対応しましょう。
手続きが不安な場合は、司法書士などの専門家に相談するとスムーズに進められます。
なお、義務化前に相続が発生していた土地については経過措置(2027年3月末までに登記)があります。
相続登記について詳しくは「不動産の相続登記、必要書類はこれ。自分でできる相続の手続き」で解説しています。
必要な手続き②農業委員会への届出
農地を相続したら、農地がある市区町村の農業委員会への届出が必要です。
届出書を提出する期限は法律上「遅滞なく」とされており、明確な期限は定められていません(農地法第3条の3)。
そのため、相続を知った後は、できるだけ早めに手続きを進めることが大切です。
届出を怠ると10万円以下の過料が発生する場合があります。
届出書の様式は農業委員会の窓口やホームページで入手できます。
必要な手続き③相続税申告(必要な場合)
農地も含め、相続財産の合計額が基礎控除額「3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)」を超える場合は、相続を知った翌日から10カ月以内に税務署への申告と納税が求められます。
農業を継続する場合や農地バンクへ貸し付ける場合は、農地にかかる相続税の支払いを一定期間猶予できる「納税猶予制度」が使える可能性もあります。
農地に関する税制特例の詳細は、農林水産省の「農地に関する税制特例について」をご参照ください。
農地を相続した場合の選択肢は?メリット・デメリットもご紹介
手続きが一段落したら、次に考えるのは「今後、農地をどう扱うか」という問題です。
農業を続けるつもりがない方にとっては、選択肢が多くて迷ってしまうかもしれませんが、以下のような方法があります。
- 自分で農業を続ける
- 農地を農家などに貸し出す
- 農地バンク(農地中間管理機構)を通じて貸す
- 農業従事者へ農地のまま売却する
- 農地転用を行い宅地として売却する
- 相続放棄をする(相続開始後3カ月以内に家庭裁判所へ申述が必要)
相続後の活用・処分の選択肢について詳しくは、「実家の田んぼをどうする?相続後の手続きと活用・処分の選択肢を紹介」もあわせてご参照ください。
それぞれの方向性を検討する前に、農地を相続することのメリットとデメリットを確認しておきましょう。
農地を相続するメリット
相続した農地で農業を営めば、米や作物の販売による農業収入を得られる可能性があります。
自分で農業を行わない場合でも、近隣の農家などに貸し出せば、賃料収入を得られるでしょう。
農地を相続するデメリット
農地を相続する主なデメリットは、管理や維持の手間・費用がかかることです。
農地は放置すると雑草が繁茂し、害虫や鳥獣の発生源となって近隣農家とのトラブルに発展するリスクがあるため、定期的な草刈りなど管理が不可欠です。
また、農地を所有している限り固定資産税などの維持費も毎年発生し、農業収入がない状態では、維持コストだけがかかり続けることになるでしょう。
農地を相続したくない場合はどうする?相続放棄する際の注意点
農業をする予定がない、農地の管理が負担になる、といった理由から相続を避けたいと考える方も少なくありません。
ただし、農地を相続したくないからといって、そのまま放置しておくことはおすすめできません。
相続登記は義務であることはもちろん、管理されない農地は雑草や害虫の発生源となり、周囲とのトラブルのもとになりかねないからです。
対応方法の一つとして「相続放棄」を検討される方も多いでしょう。
ただし、相続放棄には注意点が2つあります。
まず、相続放棄は農地だけを選んで手放すことはできません。
預貯金や自宅といったプラスの財産も含め、全ての遺産を放棄することになります。
また、相続開始を知った日から3カ月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があり、期限が短いため、検討している場合は期限に余裕を持って専門家へ相談することをおすすめします。
農地を手放したい場合の方法と注意点

農業をする予定がなく農地を整理したい場合、下記の方法が考えられます。
方法①農業従事者へ農地のまま売却する
農地として活用してくれる農家や農業生産法人への売却という選択肢です。
農地のまま売却できるため転用の手続きが不要で、比較的シンプルに進められます。
手続きとしては農業委員会への許可申請が必要ですが、もともと近隣で農業を営んでいる方であれば農地の場所や状態をよく知っており、買い手として話がまとまりやすいケースもあるため、近隣の農家に声をかけてみることも一つの方法です。
ただし、買い手は農業従事者に限定されるため、地域によっては売却先を見つけるのが難しい場合があります。
農地売却の手続きや条件については、「農地を売却する方法とは?手続きの流れと売買の条件を解説」で詳しく解説しています。
なお、農地の売却・名義変更は複雑なケースも多く、「どこに相談したら良いかわからない」というご相談が寄せられることがあります。
詳しい事例内容は、下記をご覧ください。
農地の土地(一部)の名義変更が出来ないと言われたが何とか売却したい。
方法②農地転用を行い宅地などとして売却する
農地を宅地や駐車場などに転用(地目変更)してから売却する方法です。
農地のまま売るよりも買い手の幅が広がり、農業従事者以外にも売却できるため、売却先を見つけやすくなるメリットがあります。
ただし、転用には原則として農業委員会や知事等への許可申請が必要で、地域や農地の種別によっては許可が下りないケースもあります。
また、転用後の用途は申請時に確定しておく必要があるため、「とりあえず宅地で申請して後から考える」といった対応はできない点にも注意が必要です。
実際に、北章宅建では農地の転用・売却に関するご相談に対応した事例がございます。
地目が農地となっている土地を売却したい。
地目変更に関する手続きの詳細は、「不動産売却で地目変更は必要?手続きの流れや注意点も解説」をご参照ください。
方法③農地バンクを活用して貸し出す
農地中間管理機構(農地バンク)に農地を預けることで、農業を続けたい農業従事者と結びつけてもらう方法もあります。
すぐに売却先が見つからない場合や、農地を維持しながら賃料収入を得たい場合に向いています。
方法④相続土地国庫帰属制度を利用する
相続土地国庫帰属制度とは、相続した土地を一定の条件のもとで国に引き渡すことができる制度です。
ただし、土壌汚染や建物・工作物がある土地、権利関係に争いがある土地など申請できない要件も多く、審査手数料(1筆あたり1万4,000円)と負担金(原則20万円程度〜)も必要です。
農地バンクへの貸し出しや売却が難しく、どうしても手放す方法が見当たらないという方は、要件を確認した上で検討してみましょう。
制度の詳細は法務省「法務省:相続土地国庫帰属制度の概要」をご参照ください。
まとめ
●農地を相続した後の手続きは早めに確認しよう
農地の相続後は、「相続登記」「農業委員会への届出」「相続税申告(必要な場合)」が必要です。
●農地の相続にはメリット・デメリットがある
農業収入や賃料収入を得られる可能性がある一方、管理の手間や固定資産税など維持コストもかかります。
●相続放棄は農地だけを対象にできない
相続放棄を行う場合は、全ての財産を手放すことになる上、期限は3カ月以内と短いため、早めの判断と専門家への相談が必要です。
●農地を手放す場合は自分に合った方法を選ぼう
農地を手放す手段として、売却・転用・農地バンク活用・国庫帰属制度の利用など複数の方法があります。
それぞれ条件や手続きがあるため、不動産会社など専門家に相談しながら進めるとスムーズです。
北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
空き家に関する相談や無料査定、相続問題など、どんなことでもお気軽にご相談ください。
著者
後志店 梅津 大樹不動産の売買では、高く売れるか等、金銭的な部分にだけ目が行きがちですが、不動産は定価がなく、不動産会社は、売主様が所有する不動産を、仲介業務という形で、間接的に、買主様に売却する仕事です。つまり、弊社で不動産を仕入れする訳ではありませんので、売主様から伺った情報、買主様へ受け渡す(伝達する)というのが、主な業務となります。 不動産会社は、営業会社になりますので、「売り上げ至上主義」や「気合・努力・根性」の業界ですが、弊社は、取引の安全性や、情報伝達の正確性に重きをおいております。 安心して、不動産売却をお任せ頂けるよう、心掛けておりますので、不動産売却を検討中のお客様に置かれましては、弊社へのご依頼も、ご一考頂けますと幸いです。
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