不動産売却のコツ2025.11.13
築30年の一戸建ての売却は難しい?売却成功のコツ・注意点を解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 小樽店の小林です。
築30年の一戸建ての売却を検討されているものの、「築年数が古いと売れないのでは?」「どのくらいの価格で売れるのだろう」と不安に感じていませんか?
築30年の一戸建ては確かに築浅物件と比べると売却に工夫が必要となります。
しかし、適切な売却方法を選択し、買い手の不安を取り除くことで売却可能です。
今回のコラムでは、築30年の一戸建ての売却が難しいと言われる理由、評価のポイント、最近の動向からご説明します。
スムーズに売却を成功させるためのポイント、売却時の注意点、トラブル回避策まで幅広くご紹介しますので、ぜひご参考にしてください。

築30年の一戸建ては売却が難しいって本当?評価する際のポイントから確認
結論からお伝えすると、築30年の一戸建てでも売却は十分に可能です。
ではなぜ、「築30年の一戸建ては売れにくい」と言われるのでしょうか。
売却が難しい理由、評価する際のポイント、近年成約件数が増えている理由についてもご紹介します。
売却が難しい理由①建物の評価が下がりやすい・資産価値の減少
一戸建ては、築年数が経つほど建物部分の価値が低下する傾向があります。
実際に、国土交通省の資料「中古住宅流通・リフォーム市場の現状」によると、戸建住宅は年数が経つほど市場価値が低下していく傾向が示されています。
中古戸建住宅の価格査定の例として、住宅の市場価値は「中古マンション(減価償却年数47年)は築20年の時点で約60%程度の価格になる」のに対し、「木造戸建て住宅(減価償却年数22年)は築20年前後から建物の資産価値がほぼ残らなくなる」といわれています。
そのため、「築30年を超えた一戸建てでは建物の価値が付きにくい」ケースが多いといえるでしょう。
しかし、築30年を超えた一戸建てでも、構造に問題がなければ住み続けたり、売却したりすることは可能です。
築年数と売却相場の関係は「家の売却額相場と築年数の関係は?築年数別の特徴や例外も解説」で詳しくお伝えしています。
売却が難しい理由②「建物が古い=不安」という印象が生まれやすい
建物が古いことで、次のような心配が買い主に生まれやすくなります。
- 耐震性は大丈夫だろうか
- 設備は古く、不具合があるのでは?
- 雨漏り・シロアリなどの心配は?
- 将来的に修理が必要になるのでは?
- 住宅ローン審査に影響するのでは?
これらの不安から買い手が慎重になり、候補が絞られやすいという傾向があります。
築30年以上の一戸建てを評価する際のポイントは?
築30年の一戸建てを評価する際のポイントは以下のとおりです。
- 建物の状態:構造、安全性、劣化状況、リフォーム履歴など
- 土地の価値:立地、土地面積、周辺環境、利便性など
- リフォームの有無・可能性:古くても改善されていれば資産価値が上がる
- 市場の需要:エリアの人気、住宅需要、中古住宅の流通状況など
築30年以上の一戸建ての最近の動向は?近年成約件数が増えている理由を確認
築年数が経つほど建物価値が下がる傾向にありますが、それは売却価格にも影響します。
「古い物件=売れない」というわけではありません。
実際、契約数や成約件数の統計を見ると、築年数を重ねた戸建てが一定数流通しています。
REINS(不動産流通機構)公表の「首都圏 中古戸建の成約データ(2025年7〜9月)」には、築20年までの成約価格平均は4,281万円であるのに対し、30年以上の物件では2,696万円と、築年数が進むほど価格が下がる傾向が読み取れます。
しかし、成約件数に目を向けてみると、築20年までの物件は578件であったのに対し、築30年以上では1,798件と大幅に上回っており、積極的に取引されていることがわかります。
築古でも取引される理由としては、以下のとおりです。
- 建物の評価が下がっても、土地の価値は残りやすい
- 立地・駅距離・周辺環境・生活利便性といった土地の条件が良ければ需要がある
- 建物の価値より「土地重視」で購入する人が増えている
- 新築住宅の価格が上昇しているため、手頃な価格で購入できる中古住宅の需要が高まっている
- 中古住宅をリフォームして住むことが一般的になり、築古物件でも価値が見直されている
- テレワークの普及などにより、広いスペースを求めるニーズが高まり、築古でも条件が合えば購入するケースが増加
つまり、築30年の一戸建てでも「土地・立地重視」「価格重視」「リフォーム前提」といった買い手が希望する条件がそろえば、売却の可能性は十分にあるのです。
こちらのコラムもあわせてご確認ください。
築40年の一戸建ては売れない?スムーズに売却するポイントをご紹介
築30年の一戸建てを売却する5つの方法と特徴を比較
築30年の一戸建てを売却する方法には、主に次の5つがあります。
- 中古住宅として売却する
- 「古家付き土地」として売却する
- 更地にして売却する
- リフォーム・リノベーションを行なってから売却する
- 不動産会社による「買取」を利用する
①中古住宅として売却する
建物をそのまま残し、住める状態の住宅として売却する方法です。
【メリット】
- 解体の手間や費用がかからない
- 建物の状態が良ければ、すぐ住みたい・そのまま利用したい買い主が見つかりやすい
- 室内の雰囲気が伝わるため、内覧でイメージしてもらいやすい
【デメリット】
- 劣化や不具合があると、価格交渉されやすい
- 契約不適合責任(瑕疵があった場合の責任)が発生する
- 設備の老朽化があると、買い主が敬遠しやすい
リフォーム実施済みで建物の状態が良い場合や、できるだけ費用をかけずに売却したい人に向いています。
②「古家付き土地」として売却する
建物を残したまま、「古家付き土地」として建物価値は評価せず、土地の価値を中心に売る方法です。
【メリット】
- 解体費用を売主側で負担しなくて良い
- すぐに売却活動を始められる
- 買い主が「使うか解体するか」を選べる
【デメリット】
- 更地より売却価格が低くなりやすい
- 解体を前提に値下げ交渉されることがある
解体費用をかけたくない人や、建物がある程度使える状態の物件に向いています。
③更地にして売却する
建物を解体し、土地だけの状態にして売却する方法です。
【メリット】
- 土地として需要が広く、買い手が見つかりやすい
- 購入後の活用イメージがしやすい
- 住宅需要があるエリアでは売れやすい
- 老朽化した建物による不安がなくなる
【デメリット】
- 解体費用が必要である
- 地盤状態次第で追加費用(造成費)が発生する可能性がある
- 解体後は「住宅用地の税制優遇」が外れ、固定資産税が高くなる
建物が老朽化している場合や、土地需要が高い地域の物件に向いています。
④リフォーム・リノベーションを行なってから売却する
売却前に内装や設備を整え、建物の価値を高めてから売る方法です。
【メリット】
- 内覧時の印象が大きく向上する
- 同じ地域の築古物件との差別化ができる
- 「すぐ住める状態」で販売できるため、買い手の負担を軽減できる
【デメリット】
- リフォーム費用がかかり、回収できないケースもある
- 買い主の好みとリフォーム内容が合わない可能性がある
多少の費用をかけてでも高く売りたい人や、建物の状態が良好な物件に向いています。
⑤不動産会社による「買取」を利用する
不動産会社に直接買い取ってもらい、仲介を挟まずに売却する方法です。
【メリット】
- 販売活動が不要なため、売却までのスピードが早い
- 仲介手数料が不要である
【デメリット】
- 市場価格より安くなる(相場の7〜8割)
早く確実に現金化したい人や、空き家の管理が難しい人に適しています。
築30年の一戸建てをスムーズに売却するためのポイント
築30年の一戸建てをスムーズに売却するためのポイントは、買い手が感じやすい不安をできるだけ取り除くことです。
①「買い手の不安をできるだけ減らす」対策を行う
築年数が経っている物件ほど、「見た目はどう?」「状態は大丈夫?」「すぐ住める?」という心配や不安が増えるため、売却前の準備が重要になります。
買い手が安心して購入を検討できるように、次のような対策をしておくと効果的です。
【スムーズな売却につながる具体的な対策例】
- 室内を片付け、生活感を減らす:広さ・明るさが伝わり、第一印象が良くなる
- キッチン・浴室など、水回りを中心にクリーニングを行う:清潔感が出て劣化の印象が薄れ、「丁寧に使われてきた家」という印象を与えられる
- 必要に応じて壁紙や設備の簡易補修を検討する:大きなリフォームをしなくても「すぐ住めそう」と感じてもらえる
- ホームインスペクション(住宅診断)を実施:雨漏り・シロアリといった不安要素の有無を事前に確認し、買い手に説明できる
- 過去の修繕記録や設備交換の履歴をまとめておく:管理状況が明確になり、安心材料になる
- 土地の境界を確認し、曖昧な点がないようにしておく:将来のトラブルを防ぎ、買い手の警戒心を減らせる
これらの対策は、どれも「買い手の不安を減らす」ことが目的です。
ただ、どの対策を実際に行うべきかは物件状態によって変わるため、不動産会社に相談しながら進めると、市場の需要に適した方法を選べ、ムダな費用をかけずに済みます。
②複数の不動産会社に査定を依頼し、査定結果や対応の様子を比較する
複数の不動産会社に査定を依頼し、査定額だけでなく、対応の丁寧さや提案内容を比較することが大切です。
1社のみの査定では相場がつかみにくいため、複数社に依頼することで次のようなメリットが得られます。
- 相場価格を正しく把握できる
- 販売戦略や提案内容の違いがわかる
- 連絡の取りやすさ・説明のわかりやすさなど、担当者の相性を確認できる
信頼できる不動産会社を見つけられれば、売却の計画や必要な対策もスムーズに進み、築30年の一戸建てでも安心して売却活動を進められるでしょう。
築30年の一戸建て売却時の注意点は?トラブル回避策もご紹介

築30年の一戸建ては、建物の老朽化や書類の不備などにより、思わぬトラブルにつながることがあります。
ここでは、古い住宅ならではの注意点を3つに整理し、あわせて回避策も紹介します。
①契約不適合責任を問われるリスクに注意
築30年以上の一戸建ては、建物の経年劣化だけでなく、長く住んでいることで土地や設備まわりにもさまざまな問題が起こりやすくなります。
- 雨漏りがある
- シロアリ被害(床下・柱など)がある
- 設備の故障(給湯器・配管・電気設備など)
- 建物の傾きがある
- 屋根・外壁のひび割れ・老朽化がある
- 土地の境界が不明瞭になっている(境界標の紛失/越境している可能性)
こうした問題を事前に伝えていなかった場合、売却後に「聞いていない」とトラブルになり、契約不適合責任として修理費用や損害賠償を求められる可能性があります。
【トラブルを避けるための対策】
- 把握している不具合は必ず告知する
- 修繕履歴・点検記録を整理しておく
- 必要に応じてホームインスペクション(住宅診断)を実施する
- 境界が曖昧な場合は、土地家屋調査士に相談して境界を確認しておく
築古物件は「気づかない不具合」が残っているケースも多いため、事前の確認と正確な情報提供がトラブル防止につながります。
②解体してから売る場合はデメリットにも注意
建物を解体すると、以下のようなデメリットもあるため、更地売却は慎重に検討することが大切です。
- 解体費用がかかる
- 「住宅用地の特例」が外れ、固定資産税が高くなる可能性がある
- 地盤の状態によっては造成費用が発生することがある
空き家の解体について詳しくは「空き家の解体費用はどれくらい?更地にせずに売る方法はある?」で解説していますので、ぜひあわせてご参照ください。
③トラブルを防ぐには、信頼できる不動産会社選びが重要
築30年の一戸建ては、築浅物件とは異なる販売戦略が必要なため、築古住宅の取扱いに慣れた不動産会社を選ぶことが重要です。
- 築古住宅・古家付き物件の販売実績がある
- 地域の相場や需要に詳しい
- メリットだけでなく、デメリットも正直に説明してくれる
- インスペクションや測量の相談にも乗ってくれる
- 連絡が早く、説明がわかりやすい
実績のある会社であれば「どの方法なら売れやすいか」を明確に提案してくれるため、トラブルを避けつつ、安心して売却を進められるでしょう。
まとめ
●築30年の一戸建てでも売却は可能
築30年を迎えた一戸建ては建物の評価が下がりやすいものの、土地の価値は残るため、売却を目指せます。
●築30年の一戸建ての売却方法は複数の選択肢がある
中古住宅として売る、古家付き土地として売る、更地にして売る、リフォーム後に売却する、不動産買取を利用するなど、状況に応じて選べる手段はさまざまです。
●築30年の一戸建てのスムーズな売却には事前準備が重要
複数社への査定依頼で相場を把握し、ホームインスペクションの活用や内覧準備、境界の確認など、買い手の不安を取り除くための準備を進めることで、売却活動がスムーズになります。
●トラブルを防ぐには、リスク把握と不動産会社選びが重要
契約不適合責任への備えや、築古住宅ならではのリスクの把握、実績のある不動産会社の選定により、売却後のトラブルを未然に防ぐことができます。
北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
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著者
小樽店 小林 康之弊社は数ある不動産会社の中からお客様に選んでいただくために、マーケティングやブランディングなど常に改善を行っております。自分自身もそんな会社に負けないようにアップデートし学び続け、お客様との信頼関係を作るよう努力し、その輪を広げて行きたいと考えております。
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