不動産売却のコツ2022.08.04

借地権付き建物は売れない?売却する方法やメリット・デメリットも

こんにちは!
イエステーション北章宅建 札幌北店の蛸星です。

借地権付き建物とは、通常の土地付き一戸建てと異なり、建物と土地の所有者がバラバラの状態の建物のこと。
売却することももちろん可能ですが、権利関係が複雑なので少し注意が必要です。

そこで今回のコラムでは、借地権付き建物の売却について解説。
借地権付き建物とは何か、売れないケースや売る方法、売却時の注意点などをご紹介します。

 

借地権付き建物とは? 売れない場合もある?

借地権付き建物とは、所有権ではなく「借地権」を持っている土地の上に建っている建物のこと。
借地権とは土地を利用する権利の一つで、「土地を借りてそこに建物を建てられる」という権利です。
つまり、地代を支払って地主から借りている土地に家を建てている状態です。

借地権付き建物は売却が可能。
ただし、言葉の通り「建物+借地権」のセットで売却することになり、売却にあたっては地主の許可を得て、承諾料を支払う必要があります。

地主の許可を得られない場合には、売却はできません。

借地権は1992年8月施行の借地借家法(しゃくちしゃっかほう)で定められています。
現行の借地権には「普通借地権」「定期借地権」「一時使用目的の借地権」、そして借地借家法施行(1992年)前の「旧借地権」のあわせて4種類があり、それぞれ契約期間の条件や更新の有無などが異なります。

借地権は少し複雑な話ではありますが、こちらのコラムで詳しくご紹介しているのであわせてご覧ください。
借地権とは?旧法・新法による借地権の種類や調べ方などを解説

 

借地権付き建物のメリット・デメリットも知っておこう

借地権付き建物のメリットは、一般的な土地付き一戸建てよりも価格が安いことです。
土地が所有権ではなく借地権ですから、権利や用途が限られているため、建物代を含めても購入費用の総額をぐっと抑えることができるのです。
少ない予算での一戸建て購入を考えている人にとっては、メリットが大きいといえるでしょう。

さらに、土地の所有権を持たないので土地の固定資産税がかかりません
土地の固定資産税は土地の所有者、つまり地主に課税されますので、借地権者は支払う必要がありません。

ただし、建物の固定資産税は通常通り課税されます。

また、普通借地権の場合は契約期間満了後も更新することが前提のため、更新し続ける限り土地を半永久的に使用できることになります。
地主側からの更新拒絶には地代の不払いなどの正当な理由が必要で、地主都合で更新拒絶をするには多額の立ち退き料が必要となるケースもあるなど、基本的には借りている側の権利が守られる契約となっています。

一方、借地権付き建物のデメリットは、地主へ地代(借地料)を支払い続けなくてはならないことが挙げられます。
安く購入できたとしても、借地権契約をしている限り地代の支払いは続きますし、地代の相場は地主が負担している固定資産税より高いともいわれています。
土地の価値や周辺相場の高騰があると、地代の値上げを要求される可能性も。

また、リフォームや建て替え、売却などの際には、地主の許可を得て、承諾料を支払う必要があります
増改築承諾料は更地価格の2~4%程度、建て替え承諾料は更地価格の3~5%程度(ただし、木造から鉄筋造など借地条件の変更を伴う建て替えの場合は10%前後)、売却承諾料は借地権価値の5~15%程度が相場といわれています。

ただし、この承諾料は法律などで決まっているわけではなく両者の合意で取り決めるため、承諾料の折り合いが合わずに話が進まないというケースも。

このように土地の用途が限られているため、売却する際にも買い手が見つかりにくい可能性もあります。
なお、土地には権利の一部しか有していないため担保価値が低いとして、住宅ローンなどの審査が通りにくいのもデメリットのひとつでしょう。

 

借地権付き建物の売却方法にはどのようなものがある?

借権付き建物を売却しようと思った場合、どんな方法をとるのが良いのでしょうか?
代表的な3つのケースをご紹介します。

【1】第三者に売却する

借地権付き建物は、「建物+借地権」で個人の買主や法人へ売却できます。

ただし、先ほどもご説明した通り地主の了承を得て、承諾料を支払わなくてはいけません。
売却費用として承諾料がかかる分、売却利益が少なくなるのがデメリット。

不動産買取業者に買い取ってもらうこともできますが、対応してくれる不動産会社も限られてくるでしょう。

【2】地主に売却する

地主に売却すれば、借地権が地主へ戻ることになります。
地主側としても借地権が戻ってきて土地の権利が完全な形に戻り資産価値が高まるため、メリットが高いといえます。

借地権付き建物売却は、まずは地主へ声をかけてみましょう。

建物を解体して、更地に戻すことを求められるケースもあるようです。

【3】地主から底地権を買い取り、セットで売却する

底地権とは土地を貸し出す権利のことで、「借地権+底地権」で土地の所有権となります。
借地権を持っている状態で地主から底地権を買い取ると、土地の完全な所有権を得ることになります。

地主と交渉をして底地権を買い取ることができれば、一般的な土地付き一戸建てとして売却できるので高値で売却しやすくなるでしょう。

 

借地権付き建物を売却する際の注意点

借地権付き建物を売却する際は、買主へそのメリットとデメリットをしっかり説明しましょう。

借地権契約にあたっては、地主と借地人とで土地の用途について細かいルールを取り決めていることも多く、それらについてもきちんと説明をしておく必要があります。
売却後に説明のない制限などが判明した場合は、「契約不適合責任」に問われる可能性も。

地代変更や更新拒絶のリスク、リフォームや売却に承諾が必要な点なども理解したうえで、購入してもらうようにしましょう。

契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)については、下記のコラムでも詳しくお話ししております。
あわせてご参考ください。
不動産売却で注意すべき瑕疵担保責任とは?責任への対策方法も解説

 

まとめ

・借地権付き建物とは?
借地権付き建物とは、地主から借りている土地に建てている自分名義の建物のことです。土地の所有権ではなく借地権を所有しています。借地権付き建物の売却は可能で、「建物+借地権」のセットでの売却となります。ただし売却にあたっては地主の了承と承諾料の支払いが必要で、了承を得られない場合は売却できません。

・借地権付き建物のメリット・デメリット
借地権付き建物のメリットは、一般的な一戸建てよりも価格が安いこと、土地の固定資産税がかからないこと、借地権契約を更新する限り土地を使えることです。一方、デメリットは地代の支払いが続くこと、リフォームや建て替え、売却には地主の了承と承諾料の支払いが必要なこと、土地の担保価値が低いとして融資が受けにくいことです。土地の権利や用途が制限されているため、売りにくいのもデメリットのひとつです。

借地権付き建物の売却方法
借地権付き建物の売却では、①第三者へ売却する ②地主へ売却する ③地主から底地権を買い取り、通常の土地付き一戸建てとして売却する という3つの方法があります。

借地権付き建物を売却する際の注意点
借地権契約では土地の用途などについて地主といろいろなルールを設けていることが多いので、買主へもそれらの説明が必要です。メリットだけでなくデメリットも丁寧に説明をして、しっかり理解を得たうえで購入してもらう必要があります。

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札幌北店 蛸星 香奈実日々、お客様とのふれあいを通じて、新たな発見ができることを楽しみながら仕事をしています。 ご売却、ご購入に限らず、お住まいでお悩みのことがありましたら何でもご相談ください。 過去の経験や知識を活かし、お客様の希望をかなえられるよう、より良い提案をさせていただきます。どうぞ宜しくお願いいたします。

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