不動産売却のコツ2021.06.17
戸建を売りに出したいけれど、土地には借地権が。売却は可能?
築年数が古くなったとか、生活環境が変わったなど、人の数だけ、売却したい理由は多様にありますが、問題となるのが、土地に借地権が付随している場合です。
通常の売却とは異なるケースになるため、そもそも売却は可能かどうか、また、どのような手順で売却に進むことができるのかについてご紹介していきます。
借地権付き住宅のメリットとデメリット
まず借地権とは何かと言うと、「レンタルした土地の上に建物が建っている」状態のことです。
つまり、別に土地所有者がいることになり、地代を払った対価として建物を保持できているという考え方になります。
そんな借地権付き住宅には、デメリットが多い気もしますが、メリットも併せて見ていきましょう。
他物件と比べて手軽な価格で購入できる
これは買主となった場合のメリットですが、借地権付き物件の多くが、通常の物件に比べて安く売られているケースが散見されます。
つまり、買主として物件を探している場合、格安で手に入れたいのであれば借地権付きの物件を選ぶと大幅に費用を節約できるでしょう。
また、あなたが売主として借地権付き住宅を売り出す場合は、通常住宅よりも安い売却価格となるので、「安く仕入れたい」と思っている方がいれば、すぐに買主が見つかる可能性があります。
土地の部分に関しては免税
借地権付き住宅の一番のメリットとも言えるのが、土地の部分に関しては固定資産税がかからないという点です。
通常の住宅であれば、土地の分+建物の分を合算して固定資産税を支払わなくてはなりませんが、借地権付き物件の場合、当然土地はあなたのものではありません。
よって、土地の部分に関しては土地を保有している地主が固定資産税を払います。
土地の大きさにもよりますが、毎年のことなので、数十万円〜百万円単位の節約となると言っても過言ではありません。
地代を毎月支払う義務がある
借地権が付いていることによって土地を借りている状態なので、いわゆるレンタル料を毎月支払わなければなりません。
土地を借り始めた時期により適用される法律が変わるため、期間の定めは異なりますが、建物が上に建っている以上、決められた額の地代を支払い続けなければなりません。そのため通常の住宅よりも維持費がかかる印象となり、負担を感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
建物の改装、変更、増築などの際に相談が必要
もし現在の住宅を事業用に変更したいとか、増築、改築を行いたいといった場合、勝手に工事を進めることはできません。
借地上の建物に上記のような手を加えたい時は、いかなる場合であっても借地権設定者(地主)への相談が必要ですし、地主がNOと言えば、希望する工事は不可能だと思っておいてください。
資産価値が低い
通常の住宅に比べて「借地権が付いている」というだけで資産価値が大幅に下がってしまう可能性があります。
もちろん資産価値が下がった物件は買い手が付きにくいだけではなく、安い価格での売却が求められます。
資産価値を上げるためには、借地権そのものを買い取って通常の物件と同じような形(所有権)にするのが理想です。
借地権付きの住宅はどうすれば売却できる?
結論から言うと、借地権が付いていても物件を売却することは可能です。
いくつかの売却方法がありますので、このような物件をお持ちの方は以下の方法を検討してみてください。
借地権が付いたまま売却する
借地権があっても売却自体は可能であり、通常の売却と同じように二種類の方法があります。
一つ目が不動産会社に買い取ってもらう買取で、もう一つが不動産会社に販売活動を行ってもらい、一般に売却する仲介です。
仲介の場合は、「借地権付き」というイレギュラーな条件が付加されているため、すぐには買主が見つからない可能性がありますので、早く手放したいという方は、確実に買取してもらえる買取がおすすめです。
建物を借地権設定者に買い取ってもらう
土地の上に建物が建っている場合、建物そのものを借地権設定者(地主)に買い取ってもらうことも可能です。
買取というよりかは「返還」という言葉の方がしっくり来ると思いますが、この際建物の築年数や状況などを気にせずに、借地権設定者(地主)が了承すれば売買契約が成立します。
建物を解体して更地として売却する
最後に紹介するのが、建物を解体して更地として売却する方法です。
しかし、建物を解体するには当然借地権設定者の了承が必要ですし、更地として売り出したい場合、そもそもその土地をあなたが買い取る必要があります。
解体費用や土地の買取代金を考えると、結局高い費用がかかることになり、よっぽど立地や土地の状態が良い場合でない限り、金額的にプラスにはならないことが多いでしょう。
借地権が付いていても売却はできる
借地権付きの物件という時点で売却を躊躇してしまう方もいらっしゃると思いますが、結論として売却は可能です。
借地権設定者の了承を得て、不動産会社に買い取ってもらう方法が一番確実で、メリットが大きいと言えるでしょう。