不動産売却のコツ2023.05.26
違法建築物件の売却は可能?注意点や確認方法も解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 小樽店の小林です。
現在施行されている法律・条例の定めに違反している建物を「違法建築物件」と呼びます。
不動産の売却を検討中の方には、「所有している家が違法建築だったら、売却はできないのだろうか」と不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回のコラムでは、違法建築物件の売却は可能か徹底解説。
売却の際の注意点や、違法建築かどうか確認する方法もご紹介しますので、ぜひあわせて参考にしてください。
そもそも違法建築とは?
違法建築とは、現在施行されている「建築基準法」や「都市計画法」などの法律や、自治体の条例の定めに違反している建築物を指します。
なぜ違法建築物件が発生するの?
違法建築物件が生まれる原因は、大きく2つに分かれます。
1つは、設計あるいは施工の段階から、法令等の定めに沿った建築がされなかったから。
もう1つは、増改築を行ったことで、基準から外れてしまったことが理由です。
家を建てる際には建築物が法的に問題ないか、設計段階では「建築確認」、建築後は「完了検査」にて確認が行われます。
新築時だけでなく、増改築時にも確認は必要ですが、増築面積が10㎡未満なら確認が不要(防火地域及び準防火地域外のみ)です。
そのため基準をオーバーしていることに気付かず、違法建築となってしまうケースもあることを知っておきましょう。
法改正で現行法に適合しなくなった建築物は違法建築物件?
時代の移り変わりに沿って、これまで何度も法律・条例等の改正が行われたため、改正前には適合していたのに、改正によって不適合となった建築物もあります。
古い法律に準拠して建設された建物は、「既存不適格建築物」と呼ばれるものの、そのままの状態で居住や使用の継続は可能です。
ただし、増改築や建て替えをする際には、法令等に適合させなければいけません。
適合させずに増改築などを行うと、違法建築になってしまうので注意が必要です。
違法建築物件の売却は可能?
違法建築物件であっても、買い主が見つかれば売却は可能です。
増改築や建て替え時に現行法に合わせるようにする規定はありますが、売却を禁止する定めはないからです。
売却方法は、「更地にして売る」「建物がある状態で売却する」という2種類に分かれます。
それぞれ解説していきます。
更地にして売れば「違法建築」の問題は解決できる
違法建築は建物部分に関わる問題なので、建物を解体して更地にし、土地として売却すれば、スムーズに売却が可能になります。
更地にすれば、新築を希望する買い手に需要が高く、立地条件によっては高値で売れる期待も持てるでしょう。
ただし、解体にかかる費用が必要なことと、更地にしてしまうと固定資産税の特例を受けられなくなる点には注意が必要です。
固定資産税の特例がなくなると固定資産税額が跳ね上がるため、すぐに売却できなければ高額な固定資産税を納め続けることになります。
また、その物件が「再建築不可物件」でないかどうかも事前に確認しましょう。敷地が道路に面していないと、解体してしまっても新たな建物を建てることができないからです。
詳しくは、後ほど解説する「違法建築物件を売却するときの注意点も確認」の項目で説明していますので、ぜひご参照ください。
一度取り壊したら取り返しがつかないので、建物に需要はないのかよく検討し、買い手が見つからない場合の最終的な手段として慎重に行うことをおすすめします。
建物がある状態で売却するには?
建物を残して売却したい場合、「違法建築」の現状では一般の買い手に購入を回避され、なかなか売却できないリスクも。
リスクを解消するには、違法ではなくなるように改築を行う方法があります。
例えば、床面積を算出する「容積率」、建設できる面積を求める「建ぺい率」などの法定基準をオーバーした部分や、増築部分を取り壊したりすることです。
建物の築年数が古く、居住用として使用できるか迷う場合は、「古家付き土地」として売却する方法もあります。
建物は解体を前提にして、土地に建物がおまけで付いているという売り方です。
売却価格は土地部分のみとなりますが、解体費用がかからない、古家も欲しいという買い手もターゲットにできるメリットがあります。
建物を現状のまま売るなら「買取」がおすすめ
不動産の売却には、買い手を不動産会社に探してもらう「仲介」が一般的ですが、不動産会社に直接売却する「買取」という方法もあります。
買取のメリットは、すでに取引相手が決まっているため仲介よりも売却スピードが早いこと。
そして、買取後にリフォームなどをして再販するのが前提のため、解体費用もかからず、現状そのままで売却できることもメリットです。
買取を検討される方は、不動産一括査定サイトなどを利用して複数の不動産会社に査定依頼を行い、査定結果や対応を比較しましょう。
買取実績があるか、査定結果の根拠をきちんと示してくれるか、査定金額だけでなく、対応力もあわせて、信頼できる1社を選ぶことが大切です。
違法建築物件を売却するときの注意点も確認
違法建築物件を売却するときは、次の点にご注意ください。
1.違法建築物件であることをきちんと買い主に告知する
2.「再建築不可物件」に注意する
3.違法建築物件は住宅ローンが利用できない可能性が高い
1つずつ解説します。
1.違法建築物件であることをきちんと買い主に告知する
違法建築物件であることを買い主に伝えないまま売却すると「違法建築なら購入しなかった」と、売り主の「契約不適合責任」を問われる恐れがあります。
契約不適合責任を問われると、契約内容にない不具合などがあった場合、契約解除や損害賠償を求められる場合があるので、必ず買い主に「違法建築である」と納得してもらった上で売買契約を結ぶことが重要です。
2.「再建築不可物件」に注意する
前項目でも触れた重要なポイントです。
接道義務を果たしておらず「再建築不可」となった物件で建物を取り壊すと、新築や増改築、建て替えができなくなります。
接道義務とは、建築基準法(第42条、43条)に定められた次の条件を指します。
- 敷地が幅員4m以上の道路(前面道路)に接していること
- 敷地が前面道路に2m以上接していること
上記を満たしていない敷地は、現状の建物をリフォームすることはできますが、新たな建物を建てたり、大がかりな増改築をしたりすることができません。
再建築不可物件は不動産会社に買取を依頼したり、隣地と合わせて土地を広くして接道義務を満たして売却したりするなどの方法で売却することも可能ですので、まずは不動産会社にご相談いただくことをおすすめします。
再建築不可物件については、「再建築不可物件でも売却できる?売却する際のポイントをご紹介!」にて解説していますので、ぜひあわせて参考にしてください。
3.違法建築物件は住宅ローンが利用できない可能性が高い
金融機関が住宅ローンの審査を行う際、建築基準法に適合しているかどうかも審査項目に含まれます。
違法建築物件を購入する際に、融資を受けるのは困難なケースがほとんどです。
多くの買い主は、現金一括払いではなく、住宅ローンを利用して不動産を購入します。
違法建築物件は住宅ローンが利用できないという点でも、売却が難しいことにご注意ください。
家が違法建築かどうかを確かめる方法
「家が違法建築かわからない、不安だ…」という場合には、まず調べたい物件の「確認済証」や「検査済証」があるか確認しましょう。
確認済証とは、建物の計画概要に建築確認を受けて、内容が法的に問題なければ公布される証明書のこと。
検査済証は、確認を受けた計画図面通りに建築されたか確認する完了検査を受けて、問題ないと認定された際に受け取れる証明書です。
確認済証・検査済証があれば、少なくとも建てられた当初は法令等に適合している証明となります。
既存不適格建築物の可能性はありますが、増改築等をしていなければ、違法建築ではないと判断できます。
紛失した場合は、再発行はできませんが、建物を所轄する自治体の役所にて有料(300〜400円ほど)で、交付したことを証明する「建築確認台帳記載事項証明書」を取得可能です。
照会の際、建築確認年月日・確認番号がわからなければ、建築確認当初の地名や地番、申請者の名前などがわかる書類(登記済証や登記事項証明書、公図など)を提示することで代えられます。
しかしながら、場合によっては、証明書が発行できなかったり、検査済みの日付が古かったり、その後の増改築により判断が難しかったりするケースもあります。
自分で行うのは不安な場合は、建築士など専門家に依頼して調査してもらうと良いでしょう。
専門家に依頼すれば、違法建築かどうかも判断してもらえますし、違法建築だった場合の対処も相談できます。
まとめ
●違法建築とは、現行法に違反している建築物を指します。設計・施工の段階から法令等の定めに沿った建築がされなかった、増改築を行ったことで基準から外れてしまったといった発生原因が考えられます。
●違法建築物件は、更地にしたり、改築したりすることで違法建築の問題を解消する方法もあります。現状のまま手間をかけずに早く売却したい場合は、不動産会社に直接売却する「買取」がおすすめです。
●売却の際は、買い主に違法建築である旨を告知すること、住宅ローンの利用が難しいことを知っておきましょう。再建築不可物件でないかにも注意してください。
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