不動産売却のコツ2026.04.28

土地の井戸に告知義務はある?売却前に知っておきたい対応と注意点

こんにちは。イエステーション北章宅建 美唄店の小河です。

売却を予定している土地に井戸がある場合、「告知義務はあるのか」「伝えることで売却価格や成約に影響しないか」と心配される方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、井戸は「地中埋設物」として物理的瑕疵(かし)に該当する可能性があり、買い主へ事前に伝えておくべき重要な情報とされています。
今回のコラムでは、土地の井戸にまつわる告知義務の範囲、井戸のある土地の売却前の対応方法、売却をスムーズに進めるためのポイントを解説しますので、ぜひご参考にしてください。
井戸の水

 

土地に井戸がある場合の告知義務とは?対象範囲とリスクを解説

不動産の売買では、買い主の判断に影響する情報を事前に伝える「告知義務」が売り主に課されます。

土地に井戸がある場合も、この告知の対象となるケースが一般的です。

告知が必要な範囲や、告知を怠った場合のリスク、そして告知の方法を確認しておきましょう。

 

井戸は「地中埋設物」として告知義務の対象になる

井戸は「地中埋設物」として物理的瑕疵にあたり、買い主にその存在・状態を事前に伝えることが求められるとされています。

井戸があることで地盤強度に影響が及んだり、建物を建てる際の妨げになったりする可能性があるからです。

なお、すでに埋め戻したあとであっても、敷地内の井戸は告知の対象となります。

施工の質によっては、埋め戻し後も地盤沈下のリスクが残ることがあります。

また、「かつて井戸があった土地」という事実が買い主に心理的な抵抗感を与えるおそれもあるためです。

 

告知義務を怠った場合のリスク

告知を行わずに土地を売却した場合、売り主は引き渡し後に「契約不適合責任」を問われる可能性があります。

契約不適合責任とは、引き渡した物件が契約内容に適合していない場合に売り主が負う責任のことです。

告知義務違反によって生じうる主なリスクは次の通りです。

  • 損害賠償を請求される
  • 契約を解除される
  • 地盤改良工事の費用負担を求められる

契約不適合責任について詳しくは、「「契約不適合責任」とは何?分かりづらい不動産用語を解説します」をご参照ください。

 

告知の具体的な方法

井戸の告知は、書面に記録しておくことが基本です。

売買手続きのなかで作成する「物件状況報告書(告知書)」に、井戸の所在や現状(使用中・廃止・埋め戻し済みなど)を正確に記載します。

不動産会社に売却を依頼する段階から担当者に情報を共有しておくと、重要事項説明書への記載もスムーズに進めやすくなるでしょう。

適切な告知は買い主との信頼関係を築くことにもつながり、成約後のトラブル回避にも有効です。

物件状況報告書の作成や告知の方法については、「物件状況報告書とは?告知の義務についてや作成のポイントを解説」をあわせてご参照ください。

 

井戸がある土地を売却する際の対応方法と注意点

井戸がある土地を売却する際は、主な対応の選択肢として、「埋め戻し工事を行なってから売却する」「現状のまま告知して売却する」という2つの方法があります。

それぞれの特徴と、埋め戻しの工事手順・注意点を確認しておきましょう。

 

①「埋め戻し工事を行なってから売却する」メリット・デメリット

埋め戻し工事後に売却する方法には、次のメリット・デメリットがあります。

 

【メリット】

  • 井戸が適切に処理され、住宅用地として活用しやすい
  • 建築計画が進めやすく、買い主にとっての検討ハードルが下がりやすい
  • 購入後の追加工事の必要性が低くなり、売却後のトラブルを防ぎやすい

 

【デメリット】

  • 埋め戻し費用や工事の手間がかかる
  • 工事内容によっては、追加費用や期間が想定より増える場合がある

住宅用地として早期売却を目指したい場合や、価格交渉をできるだけ避け、スムーズに売却を進めたい場合などに適しています。

なお、埋め戻し工事の費用は、井戸の深さや直径、工事に用いる材料の種類によっても変動しますが、10万〜30万円程度が一つの目安です。

 

②「現状のまま告知して売却する」メリット・デメリット

現状のまま告知して売却する方法には、次のメリット・デメリットがあります。

 

【メリット】

  • 埋め戻し工事が不要で、費用や手間をかけずに売り出しできる
  • 売却までの準備期間を短縮しやすく、早めに売り出しを開始できる
  • 買主側で用途に応じた対応方法を選択できる

 

【デメリット】

  • 買い主の不安から、購入検討を見送られる可能性がある
  • 売却までに時間がかかる場合がある
  • 価格交渉の材料となり、希望価格で売れないことがある

事前の手間をできるだけ省きたい場合には適した方法といえるでしょう。

また、売却を急いでおらず、ある程度時間がかかっても問題ない場合や、多少価格が下がっても売却したい場合にも向いています。

 

埋め戻し工事の流れ

埋め戻し工事は、一般的に以下の手順で行います。

 

①井戸内の排水・清掃

残水をポンプで汲み出し、底に堆積したゴミや汚泥を除去します。

 

②息抜き(パイプの設置)

地盤の隆起・沈下を防ぐため、地下に溜まったガスを逃がし、底から地上まで通じるパイプ(竹や塩ビ管)を設置します。

 

③埋め戻し作業

井戸の穴に、砂利や砂、土を順に詰めていきます。

地盤を安定させるために、層ごとに転圧(締め固め)しながら埋めます。

注意点として、埋め戻し作業は、実績のある専門業者への依頼をおすすめします。

適切な材料の選定や転圧作業には専門的な技術が必要です。
不適切な施工は、地盤沈下のリスクを高めるおそれがあります。

特に埋め戻した箇所の上に建物や駐車場を設ける予定がある場合は、施工の質が安全性に直結するため、慎重な業者選定が求められます。

 

④井戸枠の撤去・整地

地上部のコンクリート枠を解体・撤去し、周辺の地面と同じ高さに整えて完了です。

整地後は、息抜きのパイプのみ見えている状態になります。

なお、法的義務ではありませんが、一連の工程の前に、お祓い(魂抜き)の実施が行われることもあります。
近隣の神社に依頼し、水神様への感謝と工事の安全を祈願するのが一般的です。

 

埋め戻し工事の注意点

工事の記録(施工写真・報告書など)は必ず保管しましょう。

埋め戻しの時期や工法がわかる書類を手元に残しておくことで、売却時の説明がスムーズになり、契約後のトラブル防止にもつながります。

また、井戸の用途や規模、地下水に関する条例の有無などにより、「井戸廃止届」の提出が必要となる場合があります。

自治体ごとに取扱いが異なるため、工事前に市区町村の窓口(環境課・水道課など)へ確認しておくことをおすすめします。

地中埋設物の調査や撤去については、「土地売却時に地中埋設物が見つかったら?調査方法や撤去について知ろう」も参考にしてください。

 

井戸がある土地の売却方法とスムーズに進めるポイント

ポイント
埋め戻すかそのまま売るかの対応の方針が決まったら、次は「どのように売却するか」を検討しましょう。

井戸付き土地の売却方法は、大きく「仲介」と「買取」の2つに分かれ、それぞれ向いているケースが異なります。

 

仲介で売却する|埋め戻してから売却する方法と相性が良い

仲介での売却は、埋め戻しなどによって土地の状態を整えておくことで、よりスムーズに進めやすくなります。

なぜなら、仲介は一般の買い主(個人)に向けて売り出す方法であり、多くの場合、住宅用地としての利用を前提に検討されるためです。

「そのまま家を建てられるか」「追加工事が必要にならないか」といった点が重視されやすく、土地の状態が整っているほど需要が高まるでしょう。

一方で、井戸がそのまま残っている状態では、建築時の対応や追加費用を懸念されることがあり、購入判断が慎重になる傾向があります。

できるだけ高く売りたい場合や、住宅用地としての需要を見込んで早期売却を目指したい場合には、埋め戻し工事を行なった上で、仲介で売却する方法が適していると考えられます。

 

不動産会社に売却する(買取)|現状のままでも売却を進めやすい

買取での売却は、埋め戻し工事を行わず、現状のままでも進めやすい方法です。

なぜなら、買取は不動産会社が直接土地を購入し、その後の再販や整備を前提としているため、一般の買い主のように「すぐに建築できるか」といった条件が重視されにくいからです。

井戸が残っている状態であっても、そのまま買い取ってもらえるケースがあります。

また、買い主を探す必要がないため、売却までの期間が短く、手続きも比較的シンプルに進めやすい点も特徴です。

一方で、買取は不動産会社がリスクや整備コストを見込んで価格を設定するため、仲介に比べて売却価格は低くなる傾向があります。

売却価格よりも、早期売却を優先したい場合や、費用や手間をかけずに手放したい場合には、埋め戻しを行わず現状のまま買取で売却する方法が向いているケースが多いでしょう。

 

スムーズに売却するためのポイント

井戸付き土地の売却では、事前の情報整理や準備が不十分だと、売却の遅れやトラブルにつながることがあります。

次のポイントを押さえておくことで、手続きをスムーズに進めやすくなります。

 

①井戸の状態や位置などの情報を整理しておく

不動産会社とのやり取りや価格査定がスムーズになり、認識のズレによるトラブル防止につながります。

 

②告知内容を事前に整理しておく

井戸の所在や状態(使用中・廃止・埋め戻し済みなど)をあらかじめ整理しておくことで、買い主への説明がスムーズになり、認識の違いによるトラブルを防ぎやすくなります。

 

③井戸付き土地の取り扱いに慣れた不動産会社に相談する

状況に応じた売却方法や価格設定のアドバイスを受けられ、判断ミスやトラブルの予防につながるでしょう。

井戸の取り扱いや売却方法で判断に迷う場合は、不動産会社に相談すると、状況に合った進め方を提案してもらいやすくなります。

 

まとめ

●土地に井戸がある場合、埋め戻した後でも告知義務の対象となる
埋め戻し後も含め、敷地内にある井戸は「地中埋設物」として物理的瑕疵に該当する可能性があり、買い主に事前に伝えておくべき重要な情報とされています。
告知を怠ると、契約不適合責任として損害賠償や契約解除を求められるリスクがあります。

●土地の売却前に井戸の対応方法と情報整理が重要
井戸を埋め戻してから売却するか、現状のまま売却するかによって、売却のしやすさや価格に影響が出る場合があります。

●井戸のある土地は、状況に合った売却方法を選ぼう
仲介・不動産会社による買取など、それぞれ特徴が異なるため、価格重視かスピード重視かといった目的に応じて最適な方法を選択しましょう。
また、井戸の状態や告知内容を事前に整理しておくことで、売却時のトラブル防止につながります。

北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
空き家に関する相談や無料査定、相続問題など、どんなことでもお気軽にご相談ください。

 

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著者
土地の井戸に告知義務はある?売却前に知っておきたい対応と注意点

美唄店 小河 利也北章宅建は、地域に根ざした不動産会社として、不動産売買に関わる様々な手続きをお手伝いしています。地元の街にある身近でお気軽に来店できる相談先として、これからも皆様のそばで全力サポートをさせてください。 皆様の声に耳を傾け、住まいのお悩みを解決に導く、ベストアンサーをご用意してお待ちしております。

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