不動産売却のコツ2022.11.17
固定資産税を滞納した不動産を売却する方法は?注意点も確認
こんにちは。イエステーション北章宅建 美唄店の小河です。
不動産は所有するだけで毎年固定資産税がかかり、支払期限を過ぎてしまうと滞納となってしまいます。
「滞納した場合、不動産は売れるのだろうか」「滞納したら、家や土地はどうなるの?」
固定資産をお持ちの方の中には、このような疑問・不安を感じている方もいるでしょう。
結論から言えば、滞納しても売却方法はあります。
そこで、今回は固定資産税を滞納した不動産の売却方法をパターン別に解説。
滞納してしまった後に不動産はどうなるのかといった疑問や、納税に関する注意点もあわせて解説していきますので、ぜひ参考にしてくださいね。
固定資産税を滞納した不動産はどうなる?
固定資産税を期限までに納付しないと滞納になり、期限を過ぎれば延滞金が発生します。
延滞金とは、期限の翌日から納付の日まで、税額に一定の率をかけて徴収されるもの。
かけ率は地方によって異なりますが、例えば北海道の「道税の延滞金」では次のように定められています。
期間 | 期限の翌日から1カ月以内 | 期限の翌日から1カ月超 |
2022年1月1日~ | 2.4% | 8.7% |
さらに、滞納後の対応をきちんと行わない場合は、所有する不動産を差し押さえられてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
続いて、滞納後の具体的な流れを確認しましょう。
固定資産税の滞納~差押えまでの流れ
滞納後にすぐ差押えがされるわけではなく、実際の流れとして、最短でも2カ月ほどかかるのが一般的です。
差押えまでは、次のような段階を経て実行に移されます。
①督促状が送付される
納付期限から20日以内に、税務署や各自治体の役所から督促状が送付されます。
この時点で納付が完了すれば、不動産の差押えはされませんが、督促状の発行から10日を経過する日までに納めない場合、差押えの実行が可能となってしまいます。
ひとまずの差押え回避のために、督促状が届いたら、税金が納付できない状況であっても税務署に連絡し、今後の支払いをどうするか相談することが重要です。
②財産調査、不動産の差押えが行われる
税務署・役所による滞納者の身辺や財産の調査が行われ、対象となる財産が発見されると、差押えが実行されます。
③公売にかけられる
公売とは、国や自治体が差し押さえた財産を滞納税に充当するために、競売を行うことです。
公売にかけられた不動産は「入札」と「せり売り」の2通りの方法で、一般の相場よりも2〜3割ほど安く取引されます。
固定資産税を滞納した不動産は売却できる?パターン別に紹介
固定資産税を滞納した場合も、不動産を売却する方法はあります。
売り出すタイミングが、不動産が差押えを受ける前か後かによって売却できる条件が違うため、それぞれのパターンごとに売却方法を紹介します。
パターン①:差押え前の売却方法
不動産を差し押さえられる前であれば、滞納している固定資産税の納付を完了させることで、売却が可能となります。
法律の面から言えば固定資産税を払わなくても売り出しはできますが、いつ差し押さえられるかわからないリスクがある家や土地を、購入したいと思う買主は少ないです。
すぐに完納が難しい場合は分納できる可能性もあるため、税務署や役所の窓口にて相談しましょう。
パターン②:差押え後の売却方法
差し押さえられた物件は、不動産登記簿謄本(登記事項証明書)に「差押」と記載されてしまうため、購入希望者にもその事実が伝わります。
そのため、すでに不動産の差押えを受けた場合は、滞納分の税金を納めて「差押の登記」を解除してもらう必要があります。
納税が難しい場合は「売却した代金を滞納分に充てる」「分納で支払う」など条件を付けたり、税務署や役所に事情を話して交渉したりすると、解除してもらえる場合もあります。
金銭的に支払いが厳しい場合はどうすればいい?
税金の納付が問題ない場合は、滞納分を完納し、不動産会社に仲介を依頼して買い手を探してもらったり、直接買い取ってもらったりなど一般的な売却方法が利用できます。
しかし、そもそも税務署や役所に相談しても支払いの猶予がもらえなかったケースや、支払いを分納にしても完納できるかわからない場合もあるでしょう。
金銭的に厳しい状況では、固定資産税の納付とあわせ、住宅ローンの返済も滞っている場合も考えられます。
住宅ローンにおいても、返済が遅れると家が競売にかけられる恐れがあるため、金銭的に余裕がない場合は、差し押さえられる前に「任意売却」するのも手段の1つです。
任意売却とは?
任意売却とは、住宅ローンなどの返済ができない場合、競売にかけられる前に不動産を市場価格で売却できる方法です。
- 住宅ローンを払えない、または長く返済ができていない
- 家を売ってもローンを完済するのが難しい
上記2つの条件下において、金融機関など住宅ローンの貸主(債権者)の合意を得た上で行うことができ、差押え状態であっても売却が可能になります。
任意売却は、通常の売却より1割〜2割程度安くなるのが一般的です。
任意売却にて市場価格で売却できれば、公売や競売よりも高い売却益が期待できるメリットがあるため、税金や住宅ローンの支払いに困った場合は検討してみましょう。
固定資産税を滞納した不動産の注意点
滞納している固定資産税の納付に関して、覚えておきたい注意点があります。
それは、税務署や役所の窓口にて相談し、分納が可能となった場合でも、納めている途中に差し押さえられる場合があること。
理由は、「分納はあくまで例外的な措置だから」です。
分納中にも延滞金は発生しますし、財産調査が行われて滞納分に充当可能な財産が発見されれば、差押えにて現金化が図られる可能性があります。
一時的な猶予をもらえたというだけなので、手元に現金化できる財産がある場合は、差し押さえられる前に売却を進めましょう。
また、補足として滞納分を支払ってからの売却活動となりますが、売却中にも固定資産税はもちろんかかります。
固定資産税は不動産の所有者が支払いますが、厳密に言うと、1月1日時点での所有者にその年の4月から翌年3月の年度分の納税義務が発生します。
つまり、物件を1月2日に買主に売却したとしても納付書が届くため、売主が支払いを行う必要があるということです。
通常は税額を日割り計算して買主と売主の負担を分けますが、納税義務は売主にあるため、注意が必要です。
売却後の固定資産税の清算については、「不動産売却をしたら固定資産税は誰が払う?日割り計算は可能?」で詳しく解説しています。
まとめ
●固定資産税を滞納すると、延滞金が発生するだけでなく、督促状が届いても10日以上放置していると、差押えの実行が可能となり、公売にかけられてしまいます。手元にお金がなく納税できない場合でも、税務署や役所に連絡して、支払いをどうするか相談することが大切です。
●固定資産税を滞納しても、不動産を売却することは可能です。不動産が差し押さえされる前であれば、滞納分を完納しましょう。すでに差し押さえられた場合も、完納して「差押の登記」を解除してもらう必要があります。
●税務署や役所に相談すれば分納できる可能性もありますが、そもそも支払いが厳しい場合は、「任意売却」するのも手段の1つ。公売よりも高い売却益が期待できるメリットがあります。
●固定資産税の納付については、分納している途中でも差押えの可能性があることに注意が必要です。滞納分を支払ってから売却に入っても、売却中にも固定資産税はかかるため、売却後も売主が納税する場合があることも覚えておきましょう。
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著者
美唄店 小河 利也特に担当している岩見沢東部、三笠市、美唄市、奈井江町は地元という事もあり、細かな対応に自信があります。 不動産売買仲介のみならず、買取、賃貸仲介、管理等不動産に関する事はどのような事でもご相談ください。どうぞ宜しくお願いします。
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